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国内企業のOSS利用実態調査、ユーザー企業における導入率は25%

メリットは「コスト削減」が52.1%で最多

 IDC Japan株式会社は10日、オープンソースソフトウェア(OSS)に関する利用実態調査結果を発表した。国内ユーザー企業を対象にしたアンケート調査を2012年12月に実施し、1次調査で1124社、2次調査で309社の有効回答を得た。ユーザー企業におけるOSSの導入率は25%だった。

 1次調査では、自社の情報システムにおけるOSSの導入状況について調査を実施。OSSを「本番環境で導入している」と回答した企業は25.3%と約4分の1を占めた。また「試験的に導入している」(5.7%)、「導入に向けて検証している」(5.8%)、「これから導入の検討をしていく」(13.3%)との回答を合わせるとOSSの導入に向けて取り組んでいる企業も約4分の1となった。

 OSSの導入状況を業種別に見ると、「本番環境で導入している」という回答率が最も高いのは通信/情報で30.6%、次いで公共/公益が28.9%、金融が25.6%と続いた。最も低かった業種は流通で20.8%だった。

 従業員規模別では従業員5000人以上で「本番環境で導入している」の回答率が37.2%と最多となり、大手企業でのOSS導入率の高さがうかがえた。最も低かったのは従業員数100~499人で19.9%だった。

 2次調査ではOSSを導入している企業に対して、より詳細にOSSの利用実態を調査。使用しているOSSの種類では「OS」が47.6%で最も多く、「Webサーバー/アプリケーションサーバー」「データベース管理システム」「メール/グループウェア/コラボレーションツール」が続いた。これから使用したいOSSとしては「仮想化ソフト」と「システム運用管理ソフト」が最も高く、30%を超えた。

 ユーザー企業がOSSを使用することによるメリットとしては、「導入コストを削減できる」が52.1%と最も多く、次に「運用保守コストを削減できる」が38.8%となり、コスト削減に対するメリットが評価されていた。次に「ベンダー依存を排除できる」「ソフトウェアの選択肢が広がり自社に最適なものを探せる」が続き、OSSのオープン性もメリットとしてとらえられていた。

 一方、デメリットとしては「緊急時のサポートが迅速に受けられない」が34.6%で最も多く、「ベンダーやSIerのサポートが継続して受けられるか不安である」が31.4%で続いた。OSSのサポートに対する懸念の高さを伺わせる。

 さらに最近注目を集めているOpenFlowやOpenStackのようなOSSのクラウド関連ソフトについて、サーバー仮想化を実施している、もしくは検証している企業112社に対して調査を実施。OpenFlowを利用してネットワークか層化を実施している企業は3.6%にとどまるが、利用に向けて検証している企業は17%、利用を検討している企業は41.1%となり、利用の意向が高いことが分かった。また、OSSのクラウド基盤構築/管理ソフトの利用を検討している企業は33.9%にのぼり、利用していきたいOSSとしては、OpenStack、CloudStack、OpenNebulaに高い関心が集まっていた。

(川島 弘之)