日本企業のクラウド移行をVblockで推進~VCEがネットワールド、ネットワンを国内販売パートナーに


VCEのCEOであるプラビーン・アッキラージュ氏

 VCE Company LLCは11月9日、都内で会見を行い、同社のクラウドインフラストラクチャシステム「Vblock」の国内販売パートナーとしてネットワールドおよびネットワンパートナーズの2社を選定したことを発表した。両社は付加価値再販業者(VAD)として、Vblockの輸入、導入、インストールなどを含めた基盤構築サービスを自社で設定した価格でもって顧客に提供する。VCEのCEOであるプラビーン・アッキラージュ(Praveen Akkiraju)氏は「クラウドの普及とともにデータセンターをシンプル化させる動きが加速している。垂直統合型のVblockであれば、顧客はインフラに余計な心配をすることなく、シンプルなプライベートクラウドを構築できる。この破壊的で差別化された技術を、ネットワールドとネットワンの力をもって日本のお客様に届けたい」と語り、日本市場に対する強い意欲を見せている。

 VblockはEMCのストレージ、VMwareの仮想化技術、シスコのサーバーとネットワークを1つの筐体で統合したプライベートクラウドを構築するためのインフラ基盤だ。2009年、シスコとEMCがVMwareとインテルの投資を受けてVCEを設立し、Vblockの開発/販売を続けてきた。クラウドの普及に伴い、「この3年で500を超える企業にVblockの導入を果たし、年間売上も10億ドルを計上している」(アッキラージュCEO)という高い成長を遂げている。成長の理由としてアッキラージュCEOは「Vblockを導入した場合、従来のデータセンターに比べて5倍の速さで導入/展開作業が行え、コストは1/3で済む」と、垂直統合型インフラであるVblockのシンプルさを強調する。

管理と運用の簡素化Vblockを取り巻くパートナーとのソリューション

 これまで日本市場においては、アクセンチュア、ソフトバンク、ディメンションソフトウェアといったパートナーと戦略的アライアンスを提携してきたが、今回のネットワールドおよびネットワンとVAD契約を締結したことにより、顧客やSIerからのオーダーを両社が受けて販売を行うことになる。VCEのアジア太平洋地域担当バイスプレジデントのポール・ハラピン(Paul Harapin)氏は「日本企業は現在、イノベーションに対して非常に意欲的になっている。イノベーションを支えるのはクラウドであり、そのためのよりよいパートナーを顧客は求めている。両社との提携は、我々の事業を次のレベルに押し上げてくれるもの。日本での新しいビジネスの可能性にものすごく期待している」と語っている。

 新たなVblockパートナーとなったネットワールドとネットワンだが、両社の社長も会見に登壇し、それぞれコメントを寄せている。

 ネットワールド 代表取締役社長 森田晶一氏「EMCとは長年のパートナーとしてビジネスを展開してきており、その流れで今回の提携となった。Vblockについては最初、3社の技術を単純にくっつけただけではあまり意味がないのではと思ったが、よく聞くとVCEはすでに独立したコンピュータメーカーであることがわかってきた。クラウドの普及はITのチャネルにとっても大きな変革。我々もこの新しい技術でもって意欲的にチャレンジしていきたい」

 ネットワンパートナーズ 代表取締役社長 齋藤普吾氏「シスコのシステムを中心にお客様に届けてきたが、シスコ、EMC、VMwareの3社が手を組んで垂直統合型のシステムを出すと聞いたときは本当に驚いた。データセンターのシンプル化が叫ばれる中、垂直統合型システムに対する注目度は高く、当社としても非常に興味のあるところ。お客様にどんな新しい価値を提供できるか、楽しみにしている」


ネットワールド 代表取締役社長 森田晶一氏ネットワンパートナーズ 代表取締役社長 齋藤普吾氏

 ひとつの筐体にコンピュータリソースを最適化して詰め込んだ、いわゆる垂直統合型システムとしては、Oracle ExadataやIBM PureData Systemなどの名前が挙げられる。Vblockを含め、これらの製品に共通するキャッチフレーズは「ITのシンプル化と最適化」「TCO削減」「短い導入期間」といったものだ。競合製品が多い中、Vblockの強みは親会社の3社のインフラテクノロジがいずれも業界トップであること、そして「SAP ERPやOracle Database、Microsoft SharePointといった主要な基幹アプリケーションはすべて展開できる」(アッキラージュCEO)という対応アプリケーションの多さにある。加えて、オーダーを受けてから出荷、導入作業が完了するまでの期間が最短で45日という短さも魅力のひとつだ。

 だがVCEは現時点では日本法人を置いていないこともあり、日本での知名度がいまひとつだった点は否めない。これまでは親会社の3社の日本法人がVblockの国内販売の窓口としてあたっていたが、今回のネットワールドおよびネットワンとの提携により核となる販売チャネルを得たことで、日本の顧客へのラストワンマイルをようやく獲得したと言える。今年8月、ソフトバンクテレコムが同社のクラウドサービスにVblockを採用したことが話題を呼んだが、これに続く革新的な事例を今回の提携から引き出せることができるかが、日本市場での成功の鍵となりそうだ。

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