IIJとACCESSの子会社ストラトスフィア、SDNプラットフォームを製品化


 株式会社ストラトスフィアは10月9日、ネットワーク仮想化プラットフォーム製品の商用版第1弾として「Stratosphere SDN Platform 1.0」の提供を10月31日に開始すると発表した。

 近年、マシンの仮想化が進んでいる一方で、ネットワークは物理ネットワークの制約に縛られたままとなっている。これを解決するための技術として、ネットワークを仮想化するソフトウェア群であるSDN(Software Defined Network)技術が注目を浴びている。

 ストラトスフィアは、株式会社インターネットイニシアティブ(以下IIJ)と株式会社ACCESSが今年4月に出資比率50%ずつで設立した合弁会社。SDN(Software Defined Network)をベースとした基盤ソフトウェアの研究開発を行い、SDNプラットフォームの製品化を早期に行うと発表していた。

 「Stratosphere SDN Platform 1.0」は、IIJおよびACCESSが両社の販売チャネルを通じて、データセンター事業者やクラウド事業者、サービスプロバイダ等を主要ターゲットに販売する。すでに複数の顧客企業が評価版の検証を行なっており、大手データセンター事業者が商用版の採用を決定しているという。

「Stratosphere SDN Platform 1.0」構成イメージ

 「Stratosphere SDN Platform 1.0」(以下SSP 1.0)は、広域に分散した仮想マシン群を接続するネットワークを仮想的に構築、制御するソフトウェアで、今回のSSP 1.0では、エッジ・オーバーレイ方式(トンネリング方式)を採用。既存のネットワーク環境をそのまま利用しながら、物理ネットワークから独立して運用、制御することが可能な仮想ネットワークを構築する。

 ストラトスフィアでは、顧客企業は、SSP 1.0を導入することにより、物理ネットワークの制約から解放され、場所に依存することなく、遠隔地にあるデータセンター間でも相互に必要な台数の仮想マシンの増設や移行が可能となるとしている。より柔軟なクラウド環境の構築が可能となると同時に、ネットワーク運用の自動化により、運用負荷とコストを大幅に削減可能だという。

 SSP 1.0は、OSはCent OS、ハイパーバイザーはLinuxのKVMおよびVMwareのESXi、オーケストレータはCloudStack、ハードウェアはx86アーキテクチャのサーバーに対応。今後のアップデートでハイパバイザーはXen Serverなど、オーケストレータはOpenStackなどへの対応を予定している。

 ネットワーク仮想化のための主要な機能をモジュール化しており、顧客のニーズに応じた多様な組み合わせでSDN環境の導入が可能で、VLANで運用されている既存L2ネットワークも円滑に移行できるという。

 SSP1.0ではまた、SDN環境の管理・制御の機能を、エンドユーザ、サービスプロバイダ、インフラ提供者のそれぞれのニーズに合わせた形で統合しAPIとして提供。今後は、SSP 1.0の制御機能を司るSDNエンジンを拡張することにより、エッジ・オーバーレイ方式だけでなく、ホップ・バイ・ホップ方式に対応する機能拡張や、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)やPBB(Provider Backbone Bridge)などのバックボーンプロトコルとの相互接続、SDNを使ったWANサービスを実現するSDN-BGPなど、次世代のコア・ネットワーク技術に順次対応していくとしている。SDN-BGPは、OpenFlowで管理されているネットワークを、BGP(Border Gateway Protocol)を用いて既存のISPネットワークと相互接続するための方式。


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