日本ラドウェア、アプリケーションスイッチの仮想化を拡張した「ADC Fabric」

新ハードウェア「Alteon5224/10000」も提供


ADC Fabricの概要
AppShapeでは、ベストプラクティスとして定義されている、アプリケーションごとの初期設定などを自動設定してくれる

 日本ラドウェア株式会社は15日、仮想化技術を利用したアプリケーションスイッチ(Application Delivery Controller:ADC)ソリューション「ADC Fabric(VADI 2.0)」を発表した。

 日本ラドウェアでは、ADCの物理アプライアンス1つの専用ハードウェア内で複数の仮想ADC(vADC)を稼働させる「ADC-VX」、仮想アプライアンスの「Alteon VA」を提供しており、これらを総称して「VADI(Virtual Application Delivery Infrastructure)」と呼称している。

 今回発表されたADC Fabricは、次世代のVADIという意味を込めて「VADI 2.0」とも呼ばれているように、この仮想化の取り組みを発展させたもの。従来のVADIとの大きな違いは、負荷分散対象となるサーバーアプリケーション用のテンプレート「AppShape」が提供される点だ。

 アプリケーションをロードバランスするためには、当然のことながらそのアプリケーションに応じて初期パラメータを設定する必要がある。しかしAppShapeでは、SAPやSharePointなどのアプリケーションごとにテンプレートを提供するため、この設定を非常に簡略化できるという。

 また、VADIを管理・設定するための管理ツール用プラグインを拡充。以前より提供されているvCenter向けに加えて、VMware vCloud Director向け、Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)向けが新たに追加された。こうしたプラグイン拡充によって、仮想環境対応の統合用管理ツールからADCを統合管理するための選択肢が広がり、運用の簡素化のメリットをより多くのユーザーが享受できるようになる。

 イスラエルRadwareのアヴィ・チェスラCTOは、「サーバーやネットワークがファブリック化したことで、俊敏性の向上やコスト削減を達成しているが、この中間にあるADCもファブリック化することで、さらなる俊敏性の向上やコスト削減が可能になる。また、vADC同士は完全に分離されているため、セキュリティが確保されるだけでなく、リソースも確保され、SLAのコントロールも行える」と、VADIのメリットを説明。

 その上で、「従来のサイロではADCが欠けていたが、AppShapeを使うことで、アプリケーション向けのADCが追加され、仮想的なアプリケーションサイロを実現する。AppShapeでは、業界の最高のベストプラクティスを取り込んだレポーティングやモニタリングを行える」と、その特徴をアピールした。


イスラエルRadwareのアヴィ・チェスラCTO仮想化されたアプリケーションサイロを実現するという

 なお今回は同時に、vADCに対応した新たなハードウェアとしてエントリーモデルの「Alteon5224」と、ハイエンドモデルのスイッチ「Alteon10000」も発表された。従来の「Alteon5412」はミッドレンジモデルに位置づけられる。

 新製品のうちAlteon5224は、1~16Gbpsのスループットを備え、最大24vADCの搭載が可能。一方のAlteon10000は20~80Gbpsのスループットを持ち、最大480vADCを搭載できる。いずれも、ソフトウェア機能で性能を制限し、ライセンスの購入によってオンデマンドで性能を拡張できるといった、従来の日本ラドウェア製品の特徴は踏襲する。

 参考価格は、5つのvADCを搭載できるAlteon5224の場合、398万円(税別)から。いずれもすでに提供を開始しているが、Alteon10000については、480のvADCを搭載できるファームウェアの提供が4月になるとのこと。


Alteon5224Alteon10000
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