デジタルアーツ、情報漏えいを水際で防げる「i-FILTER」新版

感染マルウェアが通信する外部サイトを遮断


デジタルアーツ 取締役COOの高橋則行氏

 デジタルアーツ株式会社は5日、Webフィルタリングソフト新版「i-FILTER Ver.8」(Windows/Linux版)を発表した。組織内のネットワークから機密情報を外部に流出しないようにする「出口対策」を盛り込んだのが特徴。10月31日より販売する。

 i-FILTERは、3億6000万ページを超すフィルタリングデータベースと、特許取得済みのフィルタリング技術「ZBRAIN」を搭載する企業向けWebフィルタリングソフト。業務中に不適切なWebサイトの閲覧を遮断するほか、Webメールや掲示板の書き込みなどからの情報漏えいも防止する。


情報漏えいを水際で防ぐ「出口対策」を採用


ラック チーフエバンジェリストの川口洋氏

 新版では、ラックの脅威情報リストを活用した新機能を搭載した。ラックは従来から、マルウェア解析により、感染PCが機密情報を送信する外部不正Webサイトの情報を収集している。この情報を活用することで、たとえ社内PCがマルウェアに感染しても、感染PCと外部の攻撃者の間で行われる通信をi-FILTERがブロックしてくれる。

 ファイアウォール、プロキシサーバー、アンチウイルスなどの対策が社内へのインバウンド通信を制御する「入口対策」なのに対し、新機能は情報が外部に漏れないように水際で防止する「出口対策」となる。

 ラック チーフエバンジェリストの川口洋氏は「最近、標的型の新種マルウェアによる被害が多くの企業で起きている。標的型で新種となると、届いた時点ではアンチウイルスでも検出できないことが多く、またメールに添付されたパスワードZIPにマルウェアを入れて送りつけられると、中身を確認する手段がないため、受信者にそのまま届いてしまう。これらを防ぐ従来の“入口対策”には自ずと限界がある」と指摘。こうしたことから「出口対策」の重要性が増していることが、新機能を搭載した背景という。

 i-FILTERは、6900社の企業・公共団体、2万5000校の学校・教育機関に採用され、PCバンドルや家庭向けゲーム機、インターネット対応テレビなどでの採用実績も豊富だ。そこへラックがサービスを提供することは、「当社だけではとてもリーチし切れないお客さまへ、当社の技術を展開できる」(川口氏)ため、ラックにとってもメリットは大きい。

 デジタルアーツ 取締役COOの高橋則行氏によれば、「Webフィルタリングソフトにサイバー攻撃に対応する出口対策機能を搭載したのは国内初」とのことで、「新たなWeb上の脅威に対応する」として訴求を強める方針。


IPv6変換や64ビットOSにも対応

 このほか、IPv4枯渇問題に対応するため、IPv6ネットワークへ直接接続できる「IPv6変換機能」を搭載した。他社製品では別途、IPv6変換用の製品を購入する必要があったりするのだが、iFILTER Ver.8では自身がWebプロキシとなって変換するため、追加でシステムを購入する必要がないという。

 また、最新の64ビットサーバーOS上でのネイティブ動作に対応。64ビットOSで利用できる広大なメモリ空間をフル活用することで、同時接続数の上限が従来版の800から2万にまで拡大し、接続処理待ちによるWebアクセス遅延を大きく低減できるという。

 マルチコアCPUへも最適化し、複数のコアで処理を平均化して偏りを作らないように工夫した。


そのほかの新機能

 新版の主な強化点は、上記の「出口対策」「IPv6対応」「64ビットOS対応」となるが、これ以外にも多くの新機能を搭載している。一例としては、ACLによるカスタムメイドフィルター機能、ポリシーチェック機能、ポリシートレース機能などだ。これにより、i-FILTERの機能・使用に縛られず、企業のセキュリティポリシーに沿った柔軟なアクセス制御を実現する。また、DNSキャッシュ機能やアンチウイルス製品(トレンドマイクロ/シマンテック/カスペルスキー)との連携機能も強化している。

 価格は、30ライセンスで20万4000円(税別)、50ライセンスで34万円(同)、100ライセンスで63万円(同)。既存ユーザーは無償バージョンアップが可能。デジタルアーツでは、今後1年間で2000社/100万ライセンスの販売を目指す。

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