NTT Com、グローバルで利用可能なクラウド型コミュニケーションサービス「UCaaSプラン」


UCaaSプランの概要
NTT Com 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の若井昌宏氏

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は30日、企業向けコミュニケーションサービス「Arcstar ユニファイド・コミュニケーション・サービス」のラインアップに、グローバルで利用できるユニファイドコミュニケーション(UC)クラウドサービス「UCaaSプラン」を追加すると発表した。8月31日より提供を開始する。また同時に、海外拠点からの外線発着信を行える「SIP Trunkingプラン」の提供国を拡大することも発表された。

 このうち「UCaaSプラン」は、IP電話機能や、IMなどによるメッセージング機能、プレゼンス機能、遠隔会議(Web/ビデオ/電話会議)機能などを統合し、クラウドサービスとして提供するもの。固定電話やPC、スマートフォンなどのさまざまな端末を活用した、円滑なコミュニケーションを行えるという。

 具体的には、社内の固定電話、移動時の携帯電話など、業務で用いる電話の全着信を1つの電話番号に統合し、ユーザーがどこにいても、指定した端末に着信させられるようにする。また、「プレゼンス機能によって相手の状況を把握した上で、通信手段を選んでコミュニケーションに入っていける」(NTT Com 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の若井昌宏氏)とのことで、適切なコミュニケーション手段の選択によって、生産性向上に貢献するとした。

 さらに、「Arcstar グローバルIP-VPNサービス」提供国を中心に、世界158カ国での提供を予定するため、グルーバルで同じサービスを利用できる点も大きなメリット。「どの拠点でも同じ機能を利用でき、いろんなデバイスで、状況にあわせて利用できる」(若井氏)のみならず、国ごとに取りかかっていたシステム構築・管理の集約による効率化や、同一のコミュニケーション手段の利用による、シームレスなコラボレーションの実現が可能になる。

 加えて若井氏は、NTT Comならではの強みとして、「安心して使っていただける通信環境とセットにして、(UCサービスとの)両輪で使っていただけること」を挙げる。構築から保守・運用までを一元サポートする同社の体制と、自社で設備を持たず、運用を事業者に任せて利用していけるクラウドサービスの強みをあわせることで、高いサービス品質を維持しつつ、コスト削減を実現するとした。

 そのコスト面では、従来型の導入と比べて、ランニングコストを含め約2割の削減が見込めるとするほか、海外との通話については、同日より提供が拡大される「SIP Trunkingプラン」との併用により、半分程度に費用削減ができるのではないかとのこと。その「SIP Trunkingプラン」は、従来のシンガポールから、香港、英国、豪州など15カ国に提供地域を拡大し、さらに2011年度末までには、30カ国への拡大を予定している。

 料金は月額課金だが、使う機能やID数、規模によって変動する、企業ごとの基本料金と、拠点にゲートウェイを設置する場合に必要なゲートウェイ料金、利用サービスによって異なる定型メニュー料金の3つから構成される。例として、基本料金は3万6000円/企業から、ゲートウェイ料金は1万800円/拠点から、定型メニュー料金は900円/IDから。NTT Comでは、2015年度に100億円の売り上げを目指す。


NTT Comの強みと導入メリットUCaaSプランの提供範囲

 なお「UCaaSプラン」のインフラとしては、シスコシステムズの「Cisco Hosted Collaboration Solution」を採用した。これについて若井氏は、「グローバルのシェア、実績、高い開発力を評価してアライアンスを組んだ」とコメント。

 一方シスコシステムズ 副社長 アジア地区サービスプロバイダー事業統括の堤浩幸氏は、「クラウドは1社では提供できず、NTT Comなどとのパートナーシップを通じて大きくしていくビジョンだ。各サービスプロバイダとの協業でクラウドビジネスを提供しており、当社と、通信キャリアのリーダーのNTT Comが協業することで、最新のテクノロジーと高品質なネットワークにより、グローバルでワンストップでの提供が実現する」と述べている。


シスコシステムズ 副社長 アジア地区サービスプロバイダー事業統括の堤浩幸氏NTT Comとシスコのシナジー
関連情報
(石井 一志)
2011/8/30 16:32