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トーア再保険、再保険引受の自動査定システムで「Progress Corticon」を採用

 株式会社アシストは26日、トーア再保険株式会社が、アシストの取り扱う米Progress SoftwareのBRMS(ビジネスルール管理システム)「Progress Corticon」を採用したと発表した。生命再保険向け引き受け自動査定システムのルールエンジンとして、5月より本稼働を開始している。

 損害保険会社では、大規模な自然災害や、大型船舶や石油コンビナートなどでの予期せぬ大事故が発生した場合に、保険金の支払総額が高額になる可能性があることから、リスクを分散するために、どの程度までの損害であれば経営に影響がないか判断した上で、引き受けた保険契約上の責任の一部もしくは全部を、「再保険」という形で別の保険会社に引き受けてもらっている。

 また再保険は、生命保険の疾病・死亡リスクにも活用されている。従来は保険の購入が難しかった、健康に不安のある保険申込者でも保険に加入できるよう、生命保険会社が死亡分野で引き受け範囲を拡大(条件緩和型保険)しつつある中で、再保険会社の引き受け査定技術を前提とした、生命再保険の利用件数が増加しているという。

 トーア再保険は、そのような再保険に特化し、かつ損保・生保の両方の再保険引き受けを行う総合再保険専門会社。各生命保険会社から引き受け査定を依頼される生命再保険業務を行う上で、これまでは、査定者が査定業務マニュアルを参照し、引き受け査定を実施してきた。しかし、人的リソースが限られる中、最近では、査定依頼件数の大幅な増加が見られるほか、多種多様な病気に対応するため査定ルールが複雑化。また、各社の保険商品も多様化したため、査定業務の効率化が課題になっていたという。

 そこで、査定ルールの整備やデータ化による業務効率化、ノウハウの蓄積・共有化、査定品質の均一化などを早急に実現するために、生命再保険向け引き受け自動査定システムの構築を検討し、2014年7月にシステム再構築プロジェクトを発足させた。そして、保険業界における導入実績や、査定を行う担当者自身が査定ルールの登録・変更などを容易に行える点、プログラム開発を行わずに、登録したルールにのっとって、査定者が作業するオンライン画面を表示できるなどを評価し、自動査定およびシステム内での画面遷移を定義するルールエンジンとして「Progress Corticon」を採用している。

 トーア再保険は、Progress Corticonを利用した引き受け自動査定システムの導入により、査定処理スピードが向上。さらに、査定ルールやノウハウが蓄積されることで、情報の共通化が可能となり、査定者の判断による評点のバラつきを抑制して、経験が少ない担当者でも熟練者と同様の査定が可能となったという。また、担当者の異動や退職によるノウハウ喪失のリスクに備えられているとのこと。

 なお今後は、蓄積された査定結果を分析し、さらなる均一化、標準化、効率化を推進する予定で、生命再保険以外にルールエンジンの利用範囲を拡張していくことも検討している。

石井 一志