ニュース

NTT Com、Microsoft Lyncをクラウドで提供する国内初のサービスを発表

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は30日、日本マイクロソフトとのパートナーシップに基づいた新クラウド型ユニファイドコミュニケーション(UC)サービス「Arcstar UCaaS Microsoftタイプ」を発表した(UCaaSは、ユニファイドコミュニケーション・アズ・ア・サービスの略)。同サービスは、国内で初めて「Microsoft Lync」をクラウド上で提供するサービスとなる。

 NTT Comは、グローバルレベルで統一された安全かつ柔軟なICT環境を低コストで実現するという「Global Cloud Vision」の下、2011年よりクラウド型ユニファイドコミュニケーションサービスの「Arcstar UCaaS」を展開、これまでに159の国と地域にてサービスを提供してきた(4月からは169の国・地域にてサービスが利用可能)。

 Arcstar UCaaSは、「これまでばらばらに存在していた電話やメッセージ、プレゼンス情報、会議などのコミュニケーション基盤をひとつに統合し、業務効率化や生産性の向上に結びつけるほか、多様な働き方に対応する。また、クラウドで提供するため海外拠点でも利用可能で、グローバル化の進む企業にも最適なサービスだ」と、NTT Com 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の丸岡亨氏は説明する。

ユニファイドコミュニケーションサービスについて
NTT Com 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長 丸岡亨氏

 今回、同サービスの新たなラインアップとして、Microsoftタイプが追加されることになる。欧米では、NTT Comが2014年1月に買収したArkadin社が、Microsoftの技術をベースにした「Arkadin Total Connect」を2014年7月より提供しており、今回新たに国内で提供するサービスも、ArkadinのプラットフォームとNTT Comのノウハウを活用したものとなる。

 Arcstar UCaaS Microsoftタイプのデモでは、メールのトピックに基づいたチャットがすぐに開始できる様子や、マルチデバイス対応でiPadなどのタブレット端末からも会議に参加できる様子、オフラインの状態にある上司に同サービスを通じて直接電話連絡し、意思決定の迅速化につなげる様子などが披露された。

 デモでは、Arkadin アジアパシフィック担当マネージングディレクターのSerge Genetet氏もシンガポールから同サービスを通じて登場。「今回提供する新サービスは、NTT ComのネットワークとMicrosoft Lyncの両方の利点を組み合わせたもので、さまざまな国の顧客に大きなメリットをもたらす」と述べた。

デモ画面を通じて登場したArkadin アジアパシフィック担当マネージングディレクター Serge Genetet氏
デモ:複数人数の会議で同じ資料を共有している様子
Arkadinとの統合について
新サービスの価値

 日本マイクロソフト コミュニケーションパートナー統括本部 業務執行役員 戦略アライアンス担当の小滝亮太郎氏は、今回共同で新サービスを発表することになった背景について、「各社からさまざまなユニファイドコミュニケーションサービスが提供されており、機能的に大きな差はないが、NTT Comのこれまでの実績やサービスの使いやすさ、きめ細やかさなどが今回の協業を発展させるきっかけとなった」と話す。

 また、今回の発表におけるマイクロソフトとしての意義について同氏は、「マイクロソフトでは、いつでもどこでも仕事ができるようテレワーク環境を推進しており、Microsoft Lyncをその中核となる製品として位置づけている。これまでLyncはオンプレミスで自社運用するケースが一般的だったが、国内で初めてクラウド型のサービスが提供されることには大きな意味がある。また、マイクロソフトが提供するクラウド型グループウェア『Office 365』のユーザーから、ボイスコミュニケーションも統合してほしいという声があったため、Office 365を補完するサービスとしても位置づけられる」としている。

日本マイクロソフト コミュニケーションパートナー統括本部 業務執行役員 戦略アライアンス担当 小滝亮太郎氏

 Arcstar UCaaS Microsoftタイプは、4月13日より提供開始となる。今回の日本でのサービス開始により、同サービスは欧米を中心に14カ国で展開されることになるが、今後はアジアパシフィックでもサービスの開始を予定しているという。丸岡氏は、同サービスの売上目標について、「数年後には数十億円規模のサービスに育てたい」と述べた。

今後の展開

藤本 京子