ニュース
フラッシュメモリストレージベンダーのViolin Memory、国内ビジネスを本格化
2012年6月に日本法人を立ち上げ、パートナーとの連携で導入拡大を図る
(2013/1/22 06:00)
「当社のストレージは基幹系のアプリケーションにフォーカスしており、目標は、基幹系において(EMCの)V-MAXを置き換えることだ」――。フラッシュメモリストレージを提供する米Violin Memoryは21日、2012年6月に日本法人「ヴァイオリン・メモリー株式会社」を設立していたことを発表。Violin Memory ソフトウェア担当CTOのジョナサン・ゴルディック氏は冒頭のように述べ、今後も積極的に販売活動を行っていくとアピールした。
Violin Memoryは、2005年に設立されたベンチャー企業。ベンチャーキャピタルではなく東芝、Juniper Networks、SAPなどのテクノロジー企業から出資を受けて、自社と同名のフラッシュメモリストレージ「Violin Memory」製品群を提供しているが、中でもエンタープライズ向けのフラッシュメモリを製造している東芝からは数千万ドル規模の出資を受け、戦略的パートナーとして事業を展開している。
製品の特徴は、ほかのストレージ製品と比べて高いIOPSと低いレイテンシを提供できる点で、ハイエンドの「Violin Memory 6600シリーズ」であれば、3Uサイズのストレージ1台で、100万IOPS、250マイクロ秒の低遅延という高い性能を提供できる。
こうした高性能を提供できる理由について、ゴルディックCTOはフラッシュメモリに最適化した技術を利用しているからだと説明する。現在、フラッシュメモリストレージの大部分はSSDの技術を利用しているが、「SSDはHDDのように振る舞うフラッシュであり、コントローラなどでボトルネックが発生してしまう」のだという。
それに対してViolin Memory製品では、従来型のディスクのアーキテクチャには捕らわれておらず、製品を構成する東芝のフラッシュ、Violinインテリジェントメモリモジュール(VIMM)、vRAID、筐体といった各レイヤにおいて独自のインテリジェント技術が盛り込まれているので、高い性能とともに、ホットスワップによる高い可用性・保守性を実現しているとのこと。
ゴルディックCTOは、「当社のストレージでは、フラッシュメモリの特性を理解した上で各コンポーネントが協調して動くことで、高速な状態を維持できるが、SSDを利用するほかのベンダーでは、フラッシュメモリの特性に最適化されていないため、最初の5分は早くとも、だんだん性能を維持できなくなってくる。アプリケーションの担当者はパフォーマンスを予測したいと考えているのに、SSDではそうした問題のためにパフォーマンスを予測できない。それに対して当社では、常に予測可能なパフォーマンスを提供できる」と述べ、他社との差異をアピールした。
またゴルディックCTOは、高い性能などのメリットが業界で評価されている例として、VMworldの基調講演と、TPC-C/E、VMmarkなどのベンチマーク結果を引き合いに出して説明する。前者では、EMCの5ラックのストレージを利用して100万IOPSのデモを行った2011年に対し、2012年は、わずか3Uサイズのストレージと1台のサーバーで100万IOPSのデモを行って見せたと紹介。「消費電力、スペース、冷却といった点でも、同じ性能の既存ストレージと比べて大幅な削減が可能になる」という点を強調する。
後者のベンチマークについても、多くのケースでViolin Memory製品が採用されているとしたほか、「競合であるOracleでさえも、自社のOracle Exadataを利用せずに当社の製品を利用している」と述べ、このことがViolin Memoryの強みを証明しているとした。
日本国内での販売については、日本法人の代表取締役社長である安田稔氏が、データベースやビッグデータ、バッチ処理高速化、クラウドサービスなどのインフラとして訴求するとしたほか、VDIのブートストーム対策、ストレージ仮想化の共通インフラ、トラフィックが一時的に集中しやすいECサイトのストレージといった用途についても、引き続き紹介を行っていくと説明した。
なお、現在はSCSK、東芝ソリューション、マクニカネットワークスといった販売代理店との連携のもとで製品の国内展開を行っている。今後はこれらに加えて、グローバルでのリセール契約を締結している富士通、OEM販売をすでに行っている日本HPなど、サーバーベンダーとの連携に積極的に取り組むとのこと。さらには、Microsoft、Symantec、Citrix、VMwareなどのテクニカルパートナーとも連携を進める考えで、「現在は“点”であるビジネスを、早い時期に“面”にしたい」との意気込みを述べた。