「実利用環境でのサイジングに使える」~富士通とシトリックスがXenDesktopのベンチマークを公開


 富士通株式会社とシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は、デスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」を使ったベンチマークレポートを公開した。富士通のハードウェアをベースにクライアント仮想化環境をサイジングする際の参考情報として利用できるという。レポートは、シトリックスのWebサイトからダウンロードできる。

 今回共同検証を実施した富士通とシトリックスは、もともと、シトリックス製品によるシンクライアントソリューションの提供など、10年以上におよぶパートナーシップの歴史を持つ。また、日本のSIerでは唯一、全世界で7社しかないCitrix本社の戦略的グローバルSIパートナーに認定されており、ワールドワイドでもたくさんの協業実績を持ち、長らく良好な関係を築いてきた。

 ここ最近の取り組みを見ても、富士通が「ワークプレイス-LCMサービス」の中で提供しているDaaS環境の基盤として、シトリックスの製品を採用。このほか、通信事業者が提供しているDaaS基盤の構築を富士通が担当したり、製造・流通業などの民間企業や公共団体へのソリューション提供を担当したり、といった、数多くのビジネスで協力関係を持っている。

 こうした関係を築いてきた両社は今回、XenDesktopを用いたベンチマークテストを実施した。この背景には、1000ユーザーを超える中・大規模デスクトップ仮想化案件の増加を受け、安心してユーザーに使ってもらうために、実運用環境に近い環境でのサイジング情報を得る必要性が生じたことがある。

 具体的な環境としては、富士通のx86ブレードサーバー「PRIMERGY BX900」1シャーシにサーバーブレード6枚を搭載し、エントリーSANディスクアレイ「ETERNUS DX80」1台と併用。ハイパーバイザーはXenServerを利用している。一方仮想デスクトップ環境は、「実際に導入できる」リアルな環境を想定し、現状の最新OSとオフィススイートであるWindows 7とMicrosoft Office 2010によって構成し、さらに、ウイルス対策ソフトもインストールしている。

 ベンチマークツールとしては、業界標準として利用されているオランダLogin Consultantsの「Login VSI 3.0」を用いて、ストレスなく利用可能とされる指標値(VSI Index)4000をしきい値として計測した。この結果、434同時接続ユーザーを収容可能との検証結果が得られており、またPRIMERGY BX900は1シャーシあたり最大18枚までブレードを搭載可能なことから、ブレードをフル搭載すると、約1300同時ユーザーを収容可能と推定されている。


ベンチマークデータ検証環境

 この結果をご覧になった方からすると、大規模案件が増えていることが検証の理由なのに、環境が少し小さいと思えるかもしれない。単純にベンチマーク結果だけを重視するのであれば、ハイエンド構成をチューニングして運用すればよく、実際のところ、これよりも数字を向上させることは可能だろう。

 しかし、「仮想デスクトップを大規模導入するとしても、5000、1万といったユーザーを一気に導入するのではなく、最初に検証をして部分的に導入し、それから拡大していくといった手法を採るのが一般的。実際に導入できる環境を踏まえ、あえてミッドレンジ構成で検証した」(シトリックス)点が、今回の検証の特徴となっている

 しかも、この検証環境はビルディングブロックの手法を採用していることから、これを並列に展開すると、どの程度の構成でどの程度のユーザーを収容できるか、ということもおおよその推定を行える。つまり、この結果を参考に、大規模環境にも対応することができる、というわけだ。

 さらには、ウイルス対策ソフトを環境に入れて検証していることも大きい。実運用ではウイルス対策ソフトを使わない運用は考えにくく、これによって、より参考にしやすい結果が得られている。

 なお富士通とシトリックスでは、この結果によって「仮想デスクトップにある、本当にうまくいくのか、という不安を取り除くことができたのではないか。富士通のハードウェアを使った、1000人規模でのデスクトップ仮想化システムの設計・構築に対して、指針が提供できた。ユーザー側、SI側の双方に有益な参考情報が提供できたと考えている」としており、このデータを積極的に活用していきたい考えだ。

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