「コストメリットだけでなくデスクトップ仮想化の価値を訴求する」~シトリックス
代表取締役社長のマイケル・キング氏 |
「デスクトップ仮想化によって、コストメリットだけではなく、端末や場所にとらわれないビジネスの価値を提供する」――。シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は25日、2011年の戦略説明会を開催。代表取締役社長のマイケル・キング氏が同社の注力分野を説明した。
キング社長によれば、ワールドワイドのCitrixは、対前年比16%増の18億7000万ドルを売り上げたが、アジア太平洋地域は全社の伸びを上回る同21%増の成長を遂げたという。そのなかでも特に、デスクトップ仮想化のソリューションが高い評価を得ているが、この理由については、「エンタープライズソリューションを提供できているし、最高の体験をお客さまに提供できた。大企業のニーズにきちんと応えられた」と説明する。
これを証明するように、国内の顧客はすでに2万3000社を超えており、ニッセイ情報テクノロジーでは、1万シートを超える環境に導入したとのこと。顧客のニーズの高まりを受け、実際の導入を担当するSIerとも非常に良好な関係を築けているほか、シトリックスの技術を利用してDaaS(Desktop as a Service)を提供するサービスプロバイダも、IIJ、NTTドコモを初め、増加の一途をたどっているという。
2010年、日本でのXenDesktopの販売成長率は500%を超えたという |
「いつでも、どこからでも、どのデバイスでも」アクセスできる環境を提供する |
このように、デスクトップ仮想化のソリューション、サービスが受け入れられている背景には、「場所やデバイスにとらわれず、いつでもどこでも仕事をしたい」という、企業における強いニーズがある。キング社長は、「デスクトップ仮想化がスタートしたときには、コスト削減が大きなテーマだったが、セキュリティや俊敏性、柔軟性など、ビジネスインパクトやヒューマンインパクトの方へ、この1年半でニーズは大きく変化した」と指摘。シトリックスの製品がそれに応えてきたと胸を張る。
“いつでもどこでも”を実現するためには、PCのみならず、スマートフォンやタブレット端末などを含め、さまざまなデバイスに対応する必要がある。シトリックスでは、この重要性に早くから着目しており、iPad、Android端末(英語版)など多くのプラットフォームに対して、クライアントソフト「Citrix Receiver」を提供。今後も、続々として登場してくるデバイスすべてをサポートできるよう努力していくという。
「当社の調査では、実に98%以上のビジネスユーザーが2つ以上のデバイスを使っており、1人に1つのデバイスという時代は終わった。好きなデバイスを好きな時に使いこなせるよう、ワールドワイドで当社が提唱しているBYO(Bring Your Own:個人所有端末の業務利用)を、日本でも積極的に推進していく」(キング社長)。
さらに“いつでもどこでも”のうちの場所の面では、キング社長が「会社外での仕事が当たり前になり、たまに、という頻度ではなくなっている。柔軟性を持った形で仕事ができれば、より長く仕事ができ、生産性が上がる」という点を指摘。「どこでも仕事ができることを実現するために、どこでも同じユーザー体験が得られるようにしていく」と述べ、HDXなどの技術をアピールしている。
また、大きな潮流になっているクラウドについても、当然力を入れていく。「クラウドはすべてのベンダーが商機と考え、大手ベンダーでは独自のクラウドスタックを提供しているが、お客さまは1社に抱え込まれるのは嫌だと思っている」としたキング氏は、オープンクラウドのアプローチによって、どのクラウドとも連携が取れるように引き続き取り組んでいくとした。
なお、このような戦略を具現化するために、シトリックスではパートナーを含めた、日本へのさらなる投資を進める意向を示した。「実例をお客さまが見られるように新しいブリーフィングセンターを(米国のサンタクララに)開設するほか、パートナープログラムの強化、(営業/エンジニア向けを含めた)トレーニングへのさらなる投資などを行っていく」(キング社長)。
具体的な施策としては、旧来のライセンスを最新のデスクトップ仮想化ライセンスに交換する「XenDesktop Trade-up」プログラムが発表された。ソフトウェア更新サービスが失効したCitrix XenAppであっても、割安な価格で移行可能になっており、シトリックスでは、全社規模でのデスクトップ仮想化の導入を図るとしている。