シトリックス、管理機能を強化したVDI製品の新版「XenDesktop 5」

Galaxy SなどPC以外のさまざまなデバイスにも対応


 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は21日、デスクトップ仮想化(VDI)製品の新バージョン「XenDesktop 5」を発表した。2010年第4四半期より、認定パートナーから提供を開始する。価格はオープン。

 XenDesktop 5では、VDIのクライアントアプリケーション「Citrix Receiver」を大幅にアップデートした。従来のCitrix Dazzleの機能を統合し、画面転送アプリケーション、Microsoft App-Vで提供されるアプリケーション、SaaSのアプリケーションまで、同じ画面で管理できる。Citrix Receiverからアプリケーションを直接起動でき、起動するアプリケーションの登録などセルフサービスで自分の環境を整えられる。

 Citrix Receiverについては、PCのほかに、iPadやGalaxy Tabなどのタブレット端末や、Galaxy Sなどのスマートフォンなど、さまざまなデバイスに対応することも発表された。

新しいCitrix Receiverの画面。画面転送アプリケーションや、Microsoft App-Vのアプリケーション、SaaSのアプリケーションなどを同じ画面で管理し起動できるCitrix Receiverの検索画面。タイプするとアプリケーションが絞り込まれる

 クライアントの種類ごとに適したVDI環境を提供するFlexCastも強化された。クライアントハイパーバーザー技術のXenClientと、マスターイメージを管理し配信するXenDesktop Synchronizerによって、仮想デスクトップのOSイメージをノートPCに配信して「持ち出して」使うといったこともできるようになる。

 管理者向けの機能としては、新しく「Desktop Studio」と「Desktop Director」の2つの管理コンソールが用意された。Desktop Studioは仮想デスクトップを作成しクライアントに展開するための管理コンソールで、配布状況や稼動状況などのモニターもできる。また、PowerShellのSDKによってコンソールをカスタマイズしたり機能追加したりもできる。

 Desktop Directorは、リアルタイムで仮想デスクトップの状態を監視する管理コンソールで、Webブラウザベースで利用する。障害への対応において個々の仮想デスクトップの状況をドリルダウンしていって詳細な状況を調べていける。また、ユーザーのデスクトップ画面を共有して状況を確認できるシャドウイングも強化された。Desktop Directorの画面からユーザーに連絡をとることもできる。

管理コンソールのDesktop Studio。仮想デスクトップの作成や展開を管理するPowerShellで機能追加などができる
管理コンソールのDesktop Director。仮想デスクトップの状態を監視する個々の仮想デスクトップの状態をドリルダウンで調べる

 そのほか、画面転送技術HDXの性能改善やQoS対応、XenVaultによるデータの保護機能などが追加され、全体のデザインやユーザーインターフェイスも一新した。

 シトリックス 代表取締役社長のマイケル・キング氏は、VDIの市場がタスクワーカーからオフィスワーカーに広がっていることを受け、今後はモバイルワーカーにも拡大すると説明。VDIを加速させるために、利用企業にベストプラクティスを提供する「Desktop Transformationモデル」を推進すると語った。具体的には、ベストプラクティスのホワイトペーパーの配布、DaaSやデスクトップのコンサルテイング、無償の研修の3つのステップで実行する。

 パートナーとして登壇した、マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏は、いままでの両社の協業がVDIやWindows 7の普及に貢献してきたと説明。さらにXenDesktop 5では、両社の製品の棲み分けを整理するほか、System CenterとXenDesktopとの連携機能を強化すると語った。

シトリックス 代表取締役社長のマイケル・キング氏マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏
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(高橋 正和)
2010/10/21 14:44