ネティーザ、性能向上や運用管理強化を実現する自社アプライアンス向け新ソフト

高度分析機能「i-Class」も提供


米Netezza 製品管理&製品マーケティング担当副社長、フィル・フランシスコ氏

 日本ネティーザ株式会社(以下、ネティーザ)は15日、DWHアプライアンス「Netezza TwinFin」「Netezza Skimmer」向けのソフトウェア「リリース 6.0」を発表した。「システムのパフォーマンスとキャパシティを2倍以上向上している点が特徴」(米Netezza 製品管理&製品マーケティング担当副社長、フィル・フランシスコ氏)という。国内では、保守契約を締結しているユーザー向けに、10月末より無償で提供される。

 ネティーザでは、創業以来一貫してDWHアプライアンスを提供してきたが、今回提供される新ソフトウェアは、最新プラットフォームのTwinFin、ならびにその小型モデルであるSkimmer向けに提供されるもの。

 新機能としては、まず圧縮機能を大幅に向上させている。従来は、1つのロジックで圧縮をしていたが、今回は複数のロジックを使い分け、データタイプや内容によって、一番適したロジックが自動適用されるようになった。さらに、文字列を含めてすべてのテータタイプに対して圧縮が可能になったことで、「4~32倍という高い圧縮率を実現した」(フランシスコ氏)という。

 またフランシスコ氏は、「従来より、ネティーザの圧縮技術は、CPUではなくFPGAによって解凍を行うため、CPUに負荷をかけず、圧縮率がそのままスピードに還元できる」という点を強調。容量の効率的な利用とスピードの向上を同時に実現したとした。

強化された圧縮機能通信業界の顧客の実データを使った検証では、強化された圧縮機能利用時(右)は、圧縮未使用時(左)、前バージョンの圧縮利用時(中)と比べてサイズがかなり小さくなっていることがわかる

 2つ目の強化点としては、I/Oの削減に効果的な「クラスタ・ベース・テーブル」を搭載した。これは、大規模テーブルに対する多次元クエリを高速化する機能で、従来のZonemap機能を拡張。テーブル単位で指定された項目の類似するレコードを集め、Zonemapを使用することで、ディスクのI/Oを削減できるようにした。どの程度効果があるかは、もちろんクエリに依存するが、フランシスコ氏によれば、ニューヨーク証券取引所の実データを使ったテストでは、最大30倍程度のパフォーマンス向上が見られたという。

クラスタ・ベース・テーブルの概要ニューヨーク証券取引所の実データを使った検証で、最大30倍程度のパフォーマンス向上が見られたという

 3つ目の強化点は、管理機能の強化。現在は、クラウド環境など共用環境での利用が増えているため、グループごと、ユーザーごとに振り分けられる最小・最大のリソースを定義できるようにした。従来は、最小リソースは定義できたが、ユーザーの利用リソースの制限まではできなかったという。また同時に、こうしたリソースの配分を含めて、状態を詳細に監視できるポータル的なツールを用意し、使いやすさについても継続して追求するとのこと。

 最後は、高度な分析プラットフォーム「i-Class」の提供。通常、ネティーザのアプライアンスはSQL処理によるBIレポートなどで使われているが、SQLで処理できないものについても、優れた並列処理ができるネティーザのプラットフォームで高速にやりたい、というニーズが存在する。i-Classはこれを可能にするもので、Java、Python、C++、R、Hadoopなど、さまざまな言語とアプリケーションをサポートする。

 ネティーザの代表取締役社長、ダグラス・エッツェル氏は、「通常は、データをデータベースから抽出し、マイニングツールで分析し、それをまた戻す、といった作業を行っているが、データが大きくなると、(移動の際の)ボトルネックが大きくなって大変」と、現状の分析作業の問題点に言及。「米国のカタリナマーケティングでは、当初、データを当社のアプライアンスから出して戻して、という作業をしていたが、途中からアプライアンスの中で実行することにより、同じスタッフの数で、数倍のモデル作成を可能にした」と、その適用効果を紹介した。

 ネティーザでは、用途に応じたパッケージを40~50提供するほか、オープンソースで出回っている汎用ライブラリに対応させることで、2000以上の関数をアプライアンス上で実行できるようにする考え。同時に、ユーザー企業自身、あるいはパートナーが独自のアプリケーションを使えるよう、開発用のSDも用意する。

従来の工程(左)と比べて、i-Class利用時(右)は作業工程を単純化できるほか、データの移動がなくなることで、ボトルネックを廃した分析が可能になるという
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