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佐賀県庁、テクマトリックスの「Office 365トラフィック制御サービス」でメールトラフィックを分離

 F5ネットワークスジャパン合同会社(以下、F5ジャパン)は14日、Office 365に対するメール同期トラフィックを分離するため、佐賀県がテクマトリックスの「Office 365トラフィック制御サービス」を導入したと発表した。また、その基盤としてF5ジャパンのADC(アプリケーションデリバリコントローラ)製品「BIG-IP」を導入している。

 佐賀県は2016年8月、TCO削減を狙い、県庁のメールシステムをOffice 365へ移行したが、Office 365をOutlookから利用すると、接続時にメール同期が行われるため、大きなトラフィックを生み出してしまい、メール以外のインターネット利用に対して悪影響を与える可能性を懸念していたという。

 中でも例年4月は、新年度に合わせて多くの職員の入れ替えがあり、2017年4月にも膨大なトラフィックが発生する可能性があった。

 そこでF5ジャパンでは佐賀県に対し、Office 365へのトラフィックをその他のインターネットトラフィックと分離することを提案した。

 その手法の1つとしては、Office 365へのアクセスを閉域網経由で行うといった方法もあるが、閉域網は利用料金が高額になりやすいため、コスト削減というOffice 365導入の狙いと反してしまう。

 一方、低コストでトラフィックを分離するには、物理的な回線を共用しながら、IPアドレスやFQDNに基づき、論理的にトラフィックを分離・制御する方法が適しているが、Office 365が使用するFQDNは増減することがあり、FQDNに対応するIPアドレスもひんぱんに変化するため、これに自動対応しながら帯域制御が行える仕組みが必要とされていた。

 こうした背景から佐賀県では、テクマトリックスの「Office 365トラフィック制御サービス」を採用した。このサービスは、Microsoftから Office 365アドレスリストを取得し、その内容を解析・加工した上で提供する「テクマクラウド」と、接続先に応じて経路制御を行うiAppsアプリケーション「o365 traffic controller」を組み合わせて提供している。

 今回構築したシステムでは、佐賀県が契約するデータセンターにo365 traffic controllerが稼働するBIG-IPを設置し、庁舎内からのインターネットアクセスを一度BIG-IPで受け、Office 365向けのものはデータセンターから出ている回線、その他は庁舎内から出ている回線をそれぞれ利用するように振り分けている。

 また、トラフィック制御に必要なFQDNとIPアドレスの情報はテクマクラウドからo365 traffic controllerへ配信され、設定も自動的に行われるため、運用負担の増大も回避できたとのこと。

 なお、新システムを利用することにより、Office 365へのアクセスとその他のインターネットアクセスのトラフィックを分離し、安定したパフォーマンスを実現。2017年4月の人事異動の際も、パフォーマンスの問題は発生しなかったとしている。