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NTT Com、「ビジョン2020」に向けた2017年度のサービス戦略 ハイブリッドICT環境の最適化を重点施策に

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は11日、中期事業戦略「ビジョン2020」達成に向けた2017年度のサービス戦略を発表した。今年度は、顧客のハイブリッドICT環境を最適化し、デジタルトランスフォーメーションに貢献していく方針を掲げ、「高信頼・高品質なインフラストラクチャーの追求」と「SDx+Mソリューションの強化」の2点を重点施策として取り組んでいく考えを明らかにした。

 NTT Com 代表取締役社長の庄司哲也氏は、「当社は昨年度、2020年に向けた中期事業戦略『ビジョン2020』および事業ビジョン『Transform. Transcend.』を設定し、Software Defined技術を活用した柔軟性の高いサービス展開とマネージドサービスの強化を推進してきた。この取り組みの成果として、今年3月にはSDx+Mソリューションの本格提供を開始した。今年度は、『ビジョン2020』の2年目として、『Transform. Transcend.』の事業展開を実行フェーズに移していく」と説明。2年目を迎える「ビジョン2020」の事業戦略をさらに加速させていくと意気込む。

NTT Com 代表取締役社長の庄司哲也氏

 昨今の企業を取り巻くICT環境については、「クラウド時代が本格化し、企業では、さまざまな事業者のクラウドサービスを、ビジネスの特性や用途、目的に応じて組み合わせて利用することが当たり前となっている。一方で、企業のICT管理者にとっては、ICT環境が複雑化すればするほど、そのセキュリティ対策とマネジメントがさらに重要になってきている」と指摘。

 こうした現状を踏まえ庄司氏は、2017年度のサービス戦略として、ハイブリッド化するICT環境を最適化し、顧客のデジタルトランスフォーメーションに貢献していく方針を掲げた。そして、この戦略を推進するべく、「高信頼・高品質なインフラストラクチャーの追求」と「SDx+Mソリューションの強化」の2つの施策に注力していくと説明する。

 まず、「高信頼・高品質なインフラストラクチャーの追求」では、同社の持つ海底ケーブルネットワークやデータセンターを一元的に設計・提供し、信頼性や性能を徹底的に追求していく。この一環として、同社グループ企業であるNTTワールドエンジニアリングマリンが保有する最新鋭の海底ケーブル敷設船「きずな」が3月31日に竣工。NTT Comはもとより、国内外の通信会社やサービス事業者が、ネットワークやクラウドサービスなどを提供するために利用する海底ケーブルの敷設や保守を行っていく。

 また、世界18か国・地域で展開しているデータセンターサービス「Nexcenter」を支えるデータセンター設備を拡充する。5月にドイツ「ミュンヘン2 データセンター」、6月には世界最大級となる米国「テキサス ダラス1 データセンター」、そして12月に米国「バージニア アッシュバーン3 データセンター」を開設する予定で、これによりサーバールームの総面積を39.4万平方メートルまで増床するという。

NTT Com のデータセンター展開

 こうした高信頼・高品質のインフラストラクチャーをベースに提供する「SDx+Mソリューション」の強化に向けた取り組みについては、「昨年、企業や組織のサーバーに対するDDoS攻撃が、件数・規模ともに急激に増加した。そこで、大規模DDoS攻撃からサーバーを防御するソリューションとして、『マルチDDoS対策サービス』の提供を計画している。このサービスでは、当社のDDoS対策サービスだけでなく、複数事業者のDDoS対策サービスを連携させることで、より強固なサーバー防御を実現する」という。

 「また、コンテンツ配信事業者では、配信先の拡大にともない監視作業の負荷増大や運用ミスの発生といった課題を抱えている。この課題に対して、新たに複数のCDNを監視・コントロールできる『Software-Defined Multi-CDN Service』を提供する予定だ。これによって、迅速かつ安定したコンテンツ配信の運用が可能になる」と、今後提供する「SDx+Mソリューション」の新サービスについて説明した。

「マルチDDoS対策サービス」の概要
「Software-Defined Multi-CDN Service」の概要

 さらに今年度は、パートナー企業とのコラボレーションを積極展開し、ハイブリッドICTへの対応を強化していく考え。すでに、4月からハイブリッドクラウド基盤の展開で日本マイクロソフトと協業しており、「Enterprise Cloud」のオプションとして「Microsoft Azure」を提供開始している。

 また、APIによるパートナー企業とのアプリケーション連携をさらに加速するため、「API Gateway as a Service」を7月に提供するという。「当社のサービスとパートナー企業のSaaSをAPI連携することで、さまざまな業界に最適化したサービスを迅速に提供可能になり、顧客のビジネス価値向上に貢献できる」としている。

「API Gateway as a Service」の概要

 最後に庄司氏は、IoTに関する取り組みにも触れ、「今年度中に、『IoT×AI 未来予測ソリューション』を本格展開することを計画している。このソリューションは、IoTデバイスから収集したデータを、当社のAI技術と分析プラットフォームを活用し、未来予測データを提供するというもの。顧客は、未来予測データを利用して、さまざまな問題の解決につなげることができる」と、今後の展開について説明した。現在、「IoT×AI 未来予測ソリューション」の本格展開に向けて、複数社とPoCを実施しているという。

「IoT×AI 未来予測ソリューション」の概要