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中国を制するネット3強 熾烈な戦いが金融分野へ

 中国でトップの検索サービスBaidu(百度)が、オンライン金融サービスプラットフォームに進出する。Bauduは同国では、Googleをも寄せ付けない中国産検索サービスで、中国の代表的ネット企業の一つだ。金融分野への拡大は、Baidu、Alibaba(阿里巴巴)、Tencent(騰訊)という中国の3大ネット企業の覇権争いを反映したものでもある。

「年間利回り8%」、Baiduの新サービス

 ReutersやWall Street Journalによると、Baiduは10月28日に金融センターを立ち上げ、富裕層向けにオンラインで金融商品を販売する。香港のアセットマネジメント会社China Asset Management(華夏基金管理有限公司)と協力。元金と収益を確保しながら、年間利回り8%を目指し、1元(約16円)単位で投資できるのが特徴という。

 Baiduは、2000年創立で、MP3などマルチメディアの検索で成長。現在、検索サービスとしては世界でGoogleに次ぐ2位。中国の検索サービスでは約7割のシェアを持つとされ、圧倒的なトップの地位にある。現在、やや出遅れているといわれるモバイル分野への拡大を進めており、今年8月には、モバイルゲーム会社の91Limited(91無線網絡)を約18億5000万ドルで買収すると発表した。この買収は携帯端末向けアプリの販売能力強化などが狙いで、中国のネット企業の買収額としては過去最高となる。

 だが、中国のインターネット企業はBaiduだけではない。特に、AlibabaとTencentを加えた3社が圧倒的な力を持っている。中国インターネット協会(ISC)のまとめでは、3社を合わせた営業収入は1000億元(約1兆6000億円)を超えるという。

 このうちAlibabaは、Taobao(淘宝網)やTmall(天猫)などのECサイトを運営する中国EC最大手で、中国のネット通販市場の約8割のシェアを持つとされる。創業者のJack Ma氏は、Yahoo共同創業者のJerry Yang氏やソフトバンク社長の孫正義氏と交流があることでも知られる。

 そしてTencentは、インスタントメッセンジャー「QQ」(ペンギンのマーク)で知られるネットサービス企業で、QQを起点に、オンラインゲームやSNSなど、あらゆるネットサービスに拡大している。最近では、特にモバイルコミュニケーションアプリの「WeChat」(微信)に力を入れている。WeChatの登録者は4億人にのぼるといい、LINEの強敵として立ちはだかっている。

(行宮 翔太=Infostand)