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ライセンスをめぐって対立 HashiCorpと「Terraform」派生のOpenTofu

「競争上の脅威を取り除く」どころでなく

 オープンソース界隈はどう反応しているのだろう。

 4月16日~18日のLinux Foundationのイベント「Open Source Summit North America」でも、HashiCorpの動きが話題となった。The New Stackが伝えている。

 HashiCorpの通告書と同じ日、MongoDBの幹部でオープンソース業界の有名人であるMatt Asay氏のコラムがInfoWorldに掲載された。「OpenTofuはHashiCorpのコードを不正に使用した可能性がある」というものだった。

 HashiCorpが採用したBUSLは、MariaDBが2013年に作成したライセンスだ。コラムにはその後、「OpenTofuコミュニティはHashiCorpの知的所有権を不正流用してはいないようだ」と強調で注意書きが追加されたが、このタイミングで、Asay氏がHashiCorp寄りとも見える発言をしていたことにコミュニティは注目した。

 Linux Foundation執行ディレクターのJim Zemlin氏は、基調講演でAsay氏のコラムとHashiCorpの警告を取り上げ、「われわれはツールを使って客観的に申し立てを否定できた」と宣言している。Linux FoundationはOpenTofuを管理する当事者でもある。

 PivotNineの主席アナリストJustin Warren氏はForbesのコラムで、問題のコードを自身で分析した結論として、「OpenTofuの説明に同意する」と述べている。

 そして、事実の裏付けには慎重なレビューが必要だったが、「HashiCorpや弁護士の検討は、残念ながら十分でなかったようだ」と、OpenTofu側に軍配を上げる。

 また、「オープンソースコミュニティは、弱者の味方であることを好むという伝統がある」として、今回の措置でHashiCorpは「自らを攻撃的ないじめっ子と位置づけてしまった」と残念がる。

 その誤算は「正義の闘争感を楽しむ人々でいっぱいのプロジェクトにさらなるエネルギーを注入」し、競争上の脅威を取り除くという意図とは、ほど遠いことになってしまった、と締めくくっている。