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ライセンスをめぐって対立 HashiCorpと「Terraform」派生のOpenTofu

 HashiCorpが、同社のインフラストラクチャー・アズ・コード(IaC)「Terraform」のフォークプロジェクト「OpenTofu」に対して「停止(Cease and Desist)通告書」を送った。同社は昨年、Terraformのライセンスを変更しているが、これにプロジェクトが違反し、著作権も侵害しているという内容だ。OpenTofuプロジェクト側は真っ向から反論し、意外な展開となった。

HashiCorpがフォークプロジェクトに警告

 「われわれの調査では、OpenTofuはBUSLライセンス条項の下でのみ利用可能なHashiCorpのコードを、条項に違反して使用している」。HashiCorpは、OpenTofuプロジェクトを管理するLinux Foundationに送付した4月3日付の排除通告書に、こう書いている。

 HashiCorpは、Terraformを2014年のリリースからオープンソースの「Mozilla Public License(MPL) v2.0」で開発してきた。だが、ビジネス上の理由から2023年8月、商用サービスでの利用を制限する「Business Source License(BUSLあるいはBSL) v1.1」に変更した。

 これを受けて、Terraformのユーザー企業の一部や開発者コミュニティは、Terraformをフォークして「OpenTF」という新しいプロジェクトを立ち上げた。フォークは、それまでのコード資産の上に、分岐して別バージョンの開発を進めるオープンソース開発の基本的なやり方だ。

 プロジェクトは9月にLinux Foundation傘下となり、「OpenTofu」と改称した。「Terraformのオープンソース代替」を掲げている。

 停止通告書では、BUSL適用後のTerraformのコードがOpenTofuに含まれていると主張。その全てのコードのリポジトリからの削除や、BUSLライセンスコードのプロジェクトへの提出がないか審査する監視人の任命、などを要求した。受け入れない場合は訴訟も辞さないと通告している。

 これに対し、Linux Foundation/OpenTofu側は4月9日に文書で回答し、公式ブログで声明を出した。

 Terraform側の主張は「事実無根」であり、問題とされるコードは「MPL-2.0ライセンスの古いコードからコピーされたものであることを明確に示すことができる」とした。