Windows Server 2012研究所
Hyper-Vがさらに進化するWindows Server 2012 R2
(2013/6/25 00:00)
6月に米国ニューオリンズで開催されたMicrosoftのテクニカルカンファレンスTechED 2013 North Americaにおいて、Windows 8.1世代のサーバーOS「Windows Server 2012 R2」に関する発表が行われた。そこで、今回はTechED2013の資料からWindows Server 2012 R2に関して解説していく。
今回Microsoftは、一気にWindows Server 2012 R2の情報を公開するといった方式ではなく、情報を小出しにしているようだ。このため、Windows Server 2012 R2の全体像は、6月26日から米国サンフランシスコで開催されるBuildカンファレンスで明らかにされるだろう。
ちなみに、Buildの初日となる26日に、Windows Server 2012 R2とWindows 8.1のパブリックプレビューが開始され、多くのユーザーがダウンロードが可能になる。
Windows Server 2012 R2はハイパーバイザーの機能を強化
TechED 2013で説明されたWindows Server 2012 R2の機能でもっとも注目されるのは、ハイパーバイザーであるHyper-Vの機能強化だ。
Windows Server 2012では、仮想化で先行するVMware vSphereに機能面で追いついた。この状況を受け、多くの企業においてクラウドのベースOSとしての採用が検討されている。Windows Server 2012がリリースしてまだ1年もたたないため、全面的に採用している企業はまだまだ少ない。しかし、多くの企業で内部的にWindows Server 2012のテストを繰り返している。おおむね評判はよく、多くの企業において積極的に採用を計画しているという。
このような状況において、Windows Server 2012 R2が大幅にバージョンアップされるとは考えにくい。特に、ユーザーインターフェイスなどは、Windows Server 2012で採用されたUIを一部改良したモノになるようだ(Windows 8.1のUIがそのまま採用)。
Windows Server 2012 R2では、見た目や新機能の追加よりも、地味だが、Windows Server 2012で問題になっていた部分の改良などが中心になっている。
Windows Server 2012 R2のHyper-V(TechED 2013では、特にバージョン番号は明示されずに第2世代のVMとか、新世代のVMと呼ばれていた)は、レガシーフリーを目指して改良された。
Hyper-Vでは仮想マシンでOSを動かすため、PCのハードウェア環境をソフトウェアで仮想化(エミュレーション)して提供している。
ベースとなっているPC環境は非常に古い。そこで、Hyper-V専用のドライバなどの「Integration Service(統合サービス)」を各OSにインストールすると、仮想マシンがHyper-V環境にマッチして、パフォーマンス的にもアップする。
Windows Server 2012 R2のHyper-Vでは、古いエミュレーション環境を廃して、新しいハードウェア環境をサポートしている。これにより、機能がアップすることと、エミューション層が薄く(少なく)なるため、仮想マシンにおいてより高いパフォーマンスが提供できる。
まず、Windows Server 2012 R2のHyper-Vでは、BIOSベースではなく、UEFIベースへと変更されている。これにより、ブートデバイスがIDEではなく、仮想SCSIドライブとSynthetic Network Adapterに変更されている。
Synthetic Network Adapterは、VMBusに直接接続する仮想ネットワークドライバだ。レガシーのネットワークデバイスをエミュレーションせずに直接VMBusに接続するため、高いパフォーマンスが提供される。
また、仮想SCSIドライブがブートドライブになることで、Windows Server 2012からサポートされたVHDX(最大64TB、4Kセクタのサポート)をブートドライブにすることが可能になった。
もう一つ、UEFIベースに変更されたことで、Windows 8/Windows Server 2012でサポートされたUEFIのセキュアブート機能にも対応した。