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Windows 10の寿命は残り1年半。課題抽出から運用管理までカバーするレノボの移行術とは?

Windows 10のサポート終了を2025年10月に控え、Windows 11への移行が急務となっている。ただ、作業は一筋縄ではいかない。業務アプリケーションの互換性確認を筆頭に、最適なPCの見極め、移行作業の事前の課題の洗い出しなど、実施すべきことが山積している。レノボ・ジャパンの元嶋亮太氏(企画本部 製品企画部 マネージャー)が、移行後のデバイス管理まで含めた、目指すべき移行作業の“姿”を解説する。

レノボ・ジャパン合同会社 企画本部 製品企画部 マネージャー元嶋亮太氏

余裕あるWindows 11移行は今が最後のタイミング

 PCの業務利用が始まって以来、情報システム部門の手を煩わせてきた厄介な作業のタイミングが再び訪れつつある。Windows OSのEOS(End of Support:サポート終了)に伴う、新OSへの移行作業だ。

 今回、EOSとなるのは2015年にリリースのWindows 10だ。その今後のスケジュールを確認すると、大型アップデートの機能更新は2022年10月にリリースされた「22H2」をもってすでに終了。残る品質更新プログラムの提供も2025年10月14日で終了し、一部のLTSCなどを除く通常のWindows 10の寿命はそこで尽きる。

 バグのないソフトウェアは存在しない中でのEOS後の継続利用リスクについては、改めて語るまでもないだろう。とりわけセキュリティパッチの提供停止によるセキュリティの不備は、サイバー攻撃が巧妙化を続ける中、ビジネスへの甚大な打撃にまで発展しかねない。

 残された猶予期間は約1年半。レノボ・ジャパンの元嶋亮太氏(企画本部 製品企画部 マネージャー)は、「まだ1年半あるとの捉え方もできます。ただ、移行作業には既存アプリやシステムの事前検証が不可欠で、場合によってはシステム改修も発生します。数千台規模のPCのOS移行には一般に、8カ月から1年を要することから考えても、今が余裕をもって作業にあたれる最後のタイミングだと捉えるべきでしょう」と解説する。

まずは最初の一歩の“互換性確認”を

 OS移行に対する方針や考え方は企業ごとに異なり、Windows 11の現状の利用状況にもそのことが端的に表れていると元嶋氏は指摘する。「移行を完了」させた企業が全体の13%、「導入中」が28%、「検討中」が31%を占める一方で、「移行計画なし」もいまだ24%もある。

 「先延ばしは当然、作業の時間的なずれ込みを意味します。新たな機器調達に思わぬ時間を要したケースも過去にはあり、リスク回避のため、まずは最初の一歩である既存アプリの互換性確認に乗り出してくださいとお客様にはお伝えしています。幸いなことにWindows 10とWindows 11には高い互換性があり、 多くの場合、動作に特に大きな問題は生じないはずです」(元嶋氏)

企業や組織におけるWindows 11への移行状況。24%がいまだ移行計画に着手していない

 今後、移行作業を進めるうえで不可欠となるのが、2025年10月14日まで時間を“稼ぐ”ためのWindows 10 22H2へのアップデートと、品質更新プログラムの確実な適用だ。一つ前のWindows 10 21H2はHome / Proについてはすでにサポートが終了している他、この6月で残るEnterprise系ラインアップに対するサポートも完全に終了した。

Windowsのリリースサイクル。Windows 10で2025年10月14日までサポートを受けるには22H2にアップデートしておく必要がある

 その後の作業には2つの選択肢がある。それが、「Windows 11がインストールされたPCへのリプレース」と、「既存PCのWindows 11へのアップグレード」だ。前者は最新PCにより従業員体験を確実に高められる半面で、少なからぬコストを要する。後者は逆に、移行コストを抑えられる反面で、最新PCの恩恵は受けられない。

 「両者とも一長一短があり、現在使用中のPCの仕様を確認した上で判断することが求められます」(元嶋氏)

“リプレース”と“アップグレード”の判断方法

 その中での判断の目安となるのが、既存PCの調達時期が新型コロナの”前”か”後”かである。

 新型コロナを機にした在宅勤務の広がりとともに、従業員間の円滑なコミュニケーションに向けWeb会議やビジネスチャットなどの新ツールの利用も急速に広がった。コロナ禍の収束とともに会社への”回帰”が進みつつも、それらのツールは今なお使い続けられ、日常業務に定着した。

 「働き方の多様化とともに新ツールが普及した結果、PCにはより高い処理能力が求められるようになりました。レノボでもコロナ以降、その観点からの従業員体験の底上げに向け、ThinkPadの機能と性能向上に力を入れてきました」(元嶋氏)

 具体的な確認項目の代表がメモリだ。Web会議アプリケーションやブラウザはメモリを大量に消費し、セキュリティ対策などの常駐ソフトもメモリを食う。その点を勘案し、ThinkPadでは現在、標準で16GB、多くの機種では32GBのメモリも選択可能となっている。また、より対面に近いWeb会議体験の実現に向け、ThinkPad X/Tシリーズでは500万画素カメラを標準的に採用するほか、全シリーズでのノイズキャンセリング技術「Dolby Voice」によるマイク音質の最適化に取り組むなど、”映像”と”音”の品質向上にも力を入れている。

 「マイクロソフトが提供する『PC正常性チェック』をクリアしたPCなら技術的にはWindows 11へのアップグレードが可能です。ただし、これはあくまでもOSとしてのシステム要件を満たしているという意味であり、社員の現在のPCの使い方なども勘案し最終判断を下すべきです」(元嶋氏)

 例えば社外でのPCの利用機会が多い企業では、対応ネットワークもポイントになるという。Wi-Fi 6Eや5G/4G-LTEなどへの対応を通じて、より高速に、より広い範囲で通信が行え、作業の快適性を着実に高められる。

 一方で、元嶋氏によると今回の移行作業は、PCの管理基盤を整備する絶好の機会と捉えることもできるという。

5年前と現在の一般的なノートPCのスペック比較。メモリ容量やカメラ、Wi-Fiの性能は特にWeb会議のユーザー体験に影響する

PC管理基盤を整備し“モダンIT”への脱却を

 これまで企業では、PC配備にあたってのキッティング作業に少なからぬ手間と時間を費やしてきた。新たなPCを手配し(あるいは現場からPCを回収してアップグレードを行い)、情報システム部門(あるいは業務委託先のSIerなど)がOSイメージを作成して各種の設定作業を行ったうえで、PCを現場に配布するという具合だ。この手法を踏襲しては、働き方の多様化を背景にしたPC利用シーンの広がりによって、PCラインアップの増加が直接的に工数増加に直結してしまい、情報システム部門の作業負荷はさらに高まってしまう。

 加えて、PCが社内ネットワークの外でも利用されるようになり、アクセス先も社内システムのみならず、各種クラウドサービスなどにまで広がることで、外部攻撃による被害リスクは確実に増している。対応に向け、セキュリティポリシーの遵守に向けたPC管理/ガバナンスの強化がさらに強く求められるようになった。

 それらを踏まえ、元嶋氏が利用を提案するのが、マイクロソフトが提供するクラウドベースのデバイス展開ツール「Windows Autopilot」とエンドポイント管理ツール「Microsoft Intune」の活用である。

 まず前者は、Microsoft Entra ID(旧Azure AD)と連携し、PCの初回起動時にポリシーを含むOSの各種設定や業務アプリケーションのインストールなどの初期設定作業をクラウド経由で自動的に配信するものだ。PCの登録やプロファイルの作成・割り当てなどを事前に行うだけでキッティングを行え、従来作業の手間を抜本的に削減できる。その仕組みから、IT管理者の手を介することなく、従業員宅へのPCの直送も可能になる。

 また後者は、クラウドを介したPCやモバイルデバイスのセキュリティ/管理ツールだ。端末のポリシーや設定、アプリケーションのリモートによる一元的な可視化と管理を通じ、セキュリティとガバナンスの強化を支援する。

 「これら2つのクラウドを活用した管理基盤の整備により、PCを手間なく迅速に展開でき、厳格な管理を維持できるモダンなITが実現します。そのメリットから使わない手はなく、今であればWindows移行に合わせた導入法を検討する時間的な猶予も残されています」(元嶋氏)

移行後の“管理”も視野に入れ作業を一貫支援

 Windows 11移行に話を戻せば、今後、優先すべきは前述の事前検証などを通じた課題の洗い出しだ。その上で、移行作業や完了後の運用フェーズでAutopilotやIntuneをどう使うべきかの検討に移ることとなる。

効率的なPCのデプロイメントとマネジメントを支援するレノボのモダンITサービス

 レノボではそうした一連の作業を支援するサービスをいくつも用意している。まず、検証フェーズをカバーするのが「Windows 11 PoCサービス」だ。

 Windows 11 PoCサービスは、導入や移行の計画策定を技術的に支援する。利用予定のアプリケーションや認証機能、ネットワーク機能などを企業からヒアリングし、レノボのエンジニアが実際にPoCを実施したうえで、検証結果をレポートに取りまとめ、併せて展開計画を提案する。

 「我々が培ってきた知見を基に、環境ごとの移行のベストプラクティスを提示します。ご要望に応じ、展開作業まで伴走型で支援します」(元嶋氏)

 また、Windows AutopilotによるWindows 11への移行フェーズを支援するのが「Autopilot事前調査サービス」だ。

 Autopilot事前調査サービスは、企業が計画するキッティング作業を精査し、Autopilotでの作業の可否を調査報告書として取りまとめ、Windows Autopilotによる展開環境の構築を支援する。

 あわせて、レノボでは、BIOS設定を工場の出荷段階で実施したり、資産管理ラベルを事前に貼り付けたりといったサービスをすでに提供中だ。のみならず、セキュリティベンダーなどと連携し、Microsoft Intuneなどを活用した、運用フェーズで活用を見込めるエンドポイント管理やデータ管理、パッチ管理ソリューションなども幅広く用意する。
 「我々であれば長年培ってきた豊富な知見を基に、Window 11移行の課題の洗い出しから、Windows Autopilotによる移行作業の省力化、さらにその先の管理の厳格化まで一貫して支援することが可能です」(元嶋氏)

 そこでのThinkPadの機能面のポイントとして挙げるのが、インテル vPro プラットフォームへの対応だ。インテルAM機能により、遠隔での電源管理やハードウェアレベルのリモートデスクトップ、OSイメージ転送など、OSの状態に依存しないハードウェアレベルのPCの遠隔制御を実現しており、リモートワーク環境下における各種障害やサイバー攻撃などへの迅速な対応とガバナンス強化を支援する。

 従業員の生産性向上のためのPC、さらにWindows 11移行と、その後の管理まで視野に入れたサービスまで包括提供するレノボ。これから移行作業が本格化する中で、同社は企業の望みをさまざまに叶える頼もしい”右腕”として活躍の場をさらに広げていきそうだ。

新プロセッサーでAI性能を強化! ハイブリッドワークに適した「ThinkPad X1 Carbon Gen 12」

高い堅牢性と使い勝手の良さで長年モバイルワーカーの高い支持を得てきたレノボの「ThinkPad」。その代名詞とも言える「ThinkPad X1」シリーズの最新モデル「ThinkPad X1 Carbon Gen 12」は、インテル AI Boostを統合したインテル Core Ultraプロセッサーによるハイパフォーマンス、重量約1.08kg~の軽量・スリムな筐体とアスペクト比16:10の14型大画面を両立させた一台だ。Thunderbolt 4×2、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、4G LTE/5G Sub6といった最新インタフェースに加え、2つのUSB Type-Aポート、HDMI、音声入出力も備えており、ドッキングステーションなしでも多彩なデバイスを利用できる。このほかにもレノボでは、ユーザーのニーズに応える多彩なラインアップを提供しているが、特にハイブリッドワークで効果を発揮するのが、「インテル vPro テクノロジー」対応CPU搭載モデルだ。このテクノロジーはリモート管理機能やセキュリティ機能を強化するものであり、リモートからOSのパッチ適用を実施したり、ファームウェアを書き換えるマルウェアなどをブロックすることができる。ハイブリッドワーク環境下でのセキュリティ強化に資するものと言えるだろう。

ThinkPad X1 Carbon Gen 12
インテル Core Ultra 7 プロセッサー:新たなAI体験を

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レノボ・ジャパン合同会社
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