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富士通研究所、無線通信を使うIoT機器の設置にかかる期間を短縮するフィールドエンジニアリング技術を開発

 株式会社富士通研究所は25日、無線LANやBluetoothなどの無線通信を使うIoT機器を現場に設置するために必要な期間を短縮し、安定した稼働を実現するフィールドエンジニアリング技術を開発したと発表した。技術は、2016年度上期中に、富士通株式会社のコンサルティングサービスとして提供する予定。

 IoT機器を導入する現場では、人やモノの移動で電波環境が大きく変動したり、広く普及しているスマートフォンなどが発する電波との干渉が発生するため、無線通信が不安定になる場合があり、対処には専門家による試行錯誤が必要となるなど、現地調整に手間がかかることが導入・運用時の課題になっている。

 富士通研究所では、IoT機器を設置する現場のレイアウトと行き来する人の状況を自動で取り込んで電波シミュレーションを行い、無線機器の設置位置を自動決定する技術と、IoT機器の設置現場で使われている電波を自動分析し混雑の状況を可視化する技術を開発した。これらの技術により、従来の3分の1程度の期間で無線機器を設置でき、素早いIoTサービスの実現が可能になるとしている。

電波シミュレーション技術

 無線機器の設置位置を簡単に自動決定できる電波シミュレーション技術としては、現場の複数の地点についてレーザースキャン測定をするだけで、複数の測定データについて歪みを自動補正して滑らかに結合し、電波シミュレーションに必要な3次元レイアウトデータを自動作成する技術を開発。これまで手作業で1週間程度かけていた作成作業を、測定時間を含めて2時間程度に短縮した。

 また、往来する人数を映像から人の流れを認識する技術を用いて自動計測し、人数別にパターン化したシミュレーション結果を適用することにより、約3日要したシミュレーション時間を一般的なPCで15分以下に短縮した。

 さらに、IoT機器を設置した現場で実際に使われている無線通信を自動識別して表示し、通信規格ごとに、チャネルや場所ごとの混雑状況を可視化する技術を開発。これにより、IoT機器の適正な設置位置やデータ送出間隔、チャネルの設定などを、専門家でなくても簡単に決められるようにした。

電波干渉可視化技術

三柳 英樹