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NEC、2015年度第1四半期連結決算は減収減益 マイナンバー関連事業は好調
(2015/7/31 06:00)
日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2015年度第1四半期(2014年4~6月)の連結業績を発表した。
売上高は前年同期比2.0%減の5865億円、営業損失は前年同期から30億円悪化の100億円の赤字、経常損失は同22億円改善したが77億円の赤字。当期純損益は同1億円改善の100億円の赤字となった。
NECの川島勇取締役執行役員常務兼CFOは、「売上高は計画値に対して100億円下回ったが、営業利益は想定通り、経常利益では50億円上回り、最終利益でも30億円上回った。エンタープライズが増加したものの、テレコムキャリアが減少した。足もとの国内IT投資の受注は改善方向にあるという認識である。ITサービスは、2014年度第4四半期以降、公共や流通・サービス業を中心に好調。PCサーバーは、2015年3月以降、4カ月連続で2けた増。特に6月は高い伸びをみせており、想定からしてもかなり上振れした。流通・サービス業および製造業における大型案件の影響があるが、その一方で、Windows Server 2003のサポート終了に伴うリプレース需要も影響している」とした。
また、マイナンバー関連については、「公共では年間150億円規模を想定していたが、第1四半期だけで、その半分に到達している。また、企業においてもかなり旺盛な引き合いがあり、順次対応が進んでいくことになる」とした。
一方で、前年同期では注力領域への投資金額が20億円規模であったが、今年度は45億円規模を投資。「SDNの拡販に対して投資した」という。
「SDNでは、スイスコムとSDN/NFV領域で協業し、ポルトガルテレコムとは共同で家庭内通信機器の仮想化に関する実証実験を実施、KDDI研究所のSDN/NFVの実証実験にも参加している。さらに、ヒューレット・パッカードとは通信事業者向けNFV領域で協業しており、ここではNECのネットワークの仮想化技術を活用していくことになる。SDNなどの海外市場、注力領域の成長に向けて、社会ソリューション事業に注力する」などとした。
セグメント別の業績は、パブリックの売上高が前年同期比0.6%減の1455億円、営業損失は前年同期から21億円減の5億円の赤字。マイナンバー関連需要の取り込みなどにより、公共向けが堅調に推移したものの、前年同期にあった大型案件の反動により官公向けが減少。さらに、体制強化による費用の増加も影響した。
エンタープライズは、売上高が前年同期比25.5%増の683億円、営業利益は前年同期の18億円の赤字から、28億円の黒字に転換。流通・サービス業向け、製造業向けで大型案件があったことで増収となったほか、システム構築サービスの収益性改善効果が増益につながった。計画比では売上高で50億円、営業利益では20億円、それぞれ上回ったという。
「IT投資意欲は、全体的によくなっている。製造業においても予想を上回る状況にある。IT投資意欲を衰退させるようなリスク要因もいまのところは見当たらない。今後の成長に期待したい」とした。
テレコムキャリアの売上高は前年同期比5.6%減の1426億円、営業損失は前年同期から76億円悪化し、33億円の赤字。海外向けに海洋システムなどが増加したものの、国内事業が減少。さらに、次世代ネットワーク技術であるSDN関連の投資費用が増加したことで減収減益の赤字となった。計画値に対しては、国内で100億円下回っており、営業損失でも50億円下回っているという。
システムプラットフォームの売上高は前年同期比4.0%減の1602億円、営業利益は23億円増の49億円。サーバーが堅調に推移したものの、企業向けパソコンが減少。だが、ハードウェアを中心とした収益性改善効果が増益につながった。計画値に対しては50億円下回ったが、営業利益では20億円程度上回っているという。
「パソコンは、前年同期にはWindows XPの影響があり、通常よりも上振れしていた。これに対する反動がみられている」とした。
その他部門の売上高は前年同期比12.4%減の701億円、営業損失は前年同期から19億円改善したものの69億円の赤字となった。携帯電話の出荷台数の減少や、物流サービス事業の非連結化が影響している。計画値に対しては、売上高が想定通り、営業損失では10億円程度下回ったという。
地域別売上高は、日本が前年同期比4.7%減の4509億円、米州が18.7%増の522億円、中華圏APACが8.4%増の570億円、EMEAが8.3%減の263億円となった。
ビッグデータ関連では、三井住友銀行に「お客さまの声」を自動分析するシステムを納入。クラウド関連では東海大学向けにクラウドサービスを活用したコミュニケーション基盤を構築。「具体的なシステム提案が増えている」とした。
また、エネルギー分野では、NECエナジーソリューションにおいて、大型蓄電システムへの取り組み成果があがってきていることを強調した。
通期見通しは変更なし
なお、通期見通しは、年度初めに公表した数値には変更はない。
売上高は前年比5.6%増の3兆1000億円、営業利益は同5.4%増の1350億円、経常利益は同7.0%増の1200億円、当期純利益は同13.4%増の650億円としている。
また、上期については、「売上高では前年実績を数%上回る。営業利益ではでは若干の増益を見込む。また経常利益では、前年同期にNECフィールディングの少数持ち分の取り込みにより、80億円の影響があったため、減益となるが、黒字化する」とした。
セグメント別の通期見通しにも変更はないが、上期の見通しについては、パブリックでは売上高が前年比横ばい、エンタープライズでは売上高が15%増、営業利益が40~50億円増。テレコムキャリアでは売上高および営業利益が前年並、システムプラットフォームは売上高が前年並、営業利益が30億円増。その他では、日立NECロジスティクスの非連結化で減収減益になるとした。
さらに、「SDN、ビッグデータ、クラウド、セキュリティといった点に注力していく。2015年度は、国内IT投資の好調ぶりを背景に、通期の営業利益および最終利益目標を確実に達成し、2015中期経営計画の最終年度として、さらなる上積みを目指したい」と述べた。