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社会課題解決と事業成長を両立へ――NTT西日本グループ7社が語る「3つの領域」の最新事例

 NTT西日本グループは1月14日、グループ各社の事業内容や最新の事例を報道向けに紹介する事業説明会を都内で開催した。

 グループ会社の中から、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク、株式会社NTTフィールドテクノ、株式会社NTTマーケティングアクトProCX、株式会社NTTSportict、株式会社地域創生Coデザイン研究所、テルウェル西日本株式会社、NTTスマートコネクト株式会社の7社が、自社の事業について紹介した。

 開催のあいさつでは、グループの事業を、通信という「中核領域」、データセンターやAIなどの「隣接領域」、ロボティクスやドローンなどの「新領域」の3つの領域に分類。そしてグループが目指す姿として、「3つの領域トータルで社会課題解決と事業成長を同時実現」すると語られた。

NTT西日本グループ会社。黄色地の7社が、事業説明会の登壇会社
3つの領域トータルで社会課題解決と事業成長を同時実現

ジャパン・インフラ・ウェイマーク:ドローン点検サービスを紹介。小口径な下水道管点検事例や、鉄塔点検支援AIを新発表

 株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークは、ドローン点検サービスについて紹介した。

 同社は、橋梁や水道設備、鉄塔などのインフラをドローンで点検するサービスの会社だ。そのミッションとして「支える人を、支えたい」という言葉を、同社の北宅洋氏(社長室 戦略担当 担当部長)は紹介した。

 そのドローンとしては、米Skydio社と独占的パートナーシップ契約を締結。日本国内の点検に特化した機能を組み込んだ「Skydio R2 for Japanese Inspection(通称J2)」も共同開発している。

 代表的なサービスである橋梁点検サービスは、累計1166橋の実績があり、「国内1位ではないか」と北宅氏は言う。ドローンの専門家であると同時に橋梁の専門家でもあり、橋梁の専門家しかできない提案を行えることが特徴だという。

 また洗堀調査・溝橋点検サービスでは、自社開発のボート型ドローンが使われている。

 事業説明会の開かれた1月14日には、広島県呉市での600mm以下の小口径な下水道管点検において、浮子(うき)型ボートを用いた管路内撮影に成功したことが発表された。400×200×190mmの、動力のない一種のボート型ドローンにひもを付けて、マンホールから下水管に流して管路内を撮影した。

株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークの北宅洋氏(社長室 戦略担当 担当部長)
ジャパン・インフラ・ウェイマークの点検サービス
点検サービスで使うドローン
事業説明会で展示されたドローン
洗堀調査・溝橋点検サービス
事業説明会で展示されたボート型ドローン
小口径な下水道管点検おいて、浮子型ボートを用いた管路内撮影に成功したことを発表
事業説明会で展示された浮子型ボート

 点検以外には、支援サービスも紹介した。

 「Waymark Note」は、紙の野帳に記録したものを後からデジタル化していた現場記録を、現場でデジタルで記録してそのまま納品データにできるというものだ。

 また「Waymark Portal」は、鉄塔やマンホールなどの点検において、点検写真データをAIで解析するクラウドサービス。次に登壇するNTTフィールドテクノのAudin AIでも採用されている。

 この技術を基に、事業説明会の開かれた1月14日に「鉄塔点検支援AI」が発表された。ドローンの撮影により、鉄塔部材における、赤さび、剥がれ、透けといった鉄塔特有の損傷をAIが検出する。鉄塔を撮影すると背景に周囲が映り込むが、そうした中から鉄塔の対象を検出することで、精度の向上を実現している。2026年度より、NTT西日本株式会社の鉄塔の点検業務において実利用される予定だという。

ジャパン・インフラ・ウェイマークの支援サービス
デジタル野帳アプリ「Waymark Note」
点検写真データをAIで解析するクラウドサービス「Waymark Portal」
「鉄塔点検支援AI」を発表

NTTフィールドテクノ:修理車両のドライブレコーダー映像から道路などの状態をAIで検出する「Audin AI」

 株式会社NTTフィールドテクノは、AI路面診断サービス「Audin AI」を紹介した。

 同社は、NTT西日本の設備系会社で、30府県にサービスを提供している。その修理車両のドライブレコーダーの映像から、道路の路面やガードレールなどの状態をAIで検出して、道路管理者に提供するというのが「Audin AI」だ。国交省の点検技術支援カタログにも掲載されているという。

 事例についても、同社の鈴木亮平氏(ネットワークデザイン部 コーディネート部門 インフラビジネス担当課長)は紹介した。

 まず、路面に引かれた横断歩道や中央線などの白線の剥離の整備の事例だ。どこから手をつけたらいいか分からないという課題に対し、Audin AIの画像から剥離ランクを判定し、それをもとに白線整備計画を策定した。

 また、管理できていなかったカーブミラーについて、Audin AIのデータを用いて台帳を整備した。

 道路標識の点検の事例も、白線の事例と同様に、標識のかすれなどをAIでスクリーニングし、対処すべき標識を検出した。

株式会社NTTフィールドテクノの鈴木亮平氏(ネットワークデザイン部 コーディネート部門 インフラビジネス担当課長)
Audin AIの概要
Audin AIの事例

 Audin AIについての最近のトピック2件も鈴木氏は紹介した。

 1つめは、愛知県が実施する「スタートアップ活用まちづくり支援事業」に採択されたこと(2025年12月8日発表)。道路維持管理に課題を持つ東浦町、LiDAR活用技術を持つ株式会社マップフォーとの3者で取り組む。

 2つめはAudin AIの海外展開で、インドネシアでの社会インフラメンテナンス効率化・高度化支援ビジネス調査事業が、経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」に採択されたことだ(2025年10月24日発表)。インドネシアのバリ州では、道路開発協会バリ支部とMoUを締結している。

経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択
道路開発協会バリ支部とMoUを締結

NTTマーケティングアクトProCX:生成AIをコンタクトセンターで活用した事例を発表

 コンタクトセンターを中心とするビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の株式会社NTTマーケティングアクトProCX(プロクス)は、生成AIを活用したコンタクトセンターについて紹介した。

 NTTマーケティングアクトProCXは、生成AIをフル活用した次世代コンタクトセンター運営にいち早く挑戦を始めた、と同社の岩谷直樹氏(CXソリューション部 DCX推進担当 ソリューション推進担当部長)は説明する。

 そして、コンタクトセンターにおける生成AI活用を、顧客接点からマネジメントまで、9つのユースケースにまとめた。

 NTTマーケティングアクトProCXはこの9つを支援するBPOソリューションとして、導入前のAI・CXコンサルティングソリューションと、導入後の生成AI精度向上ソリューションを提供している。

株式会社NTTマーケティングアクトProCXの岩谷直樹氏(CXソリューション部 DCX推進担当 ソリューション推進担当部長)
コールセンターにおける生成AI活用の9つのユースケースと、2つのソリューション

 その事例についても岩谷氏は紹介した。

 事業説明会の開かれた1月14日に発表されたのが、神戸市税務部問い合わせ窓口の事例だ。税務部への電話問い合わせのうち、住民税に関する一般的・定型的な内容について、ボイスボットによる自動応答を試験導入した。NTTマーケティングアクトProCXは、VOC(Voice of Customer)分析に基づいたFAQ作成と、定期的なFAQ追加反映を実施した。実施期間は2025年8月12日~10月31日で、定型的な問い合わせのうち65%以上を自動回答することに成功したという。

 もう1つの事例は、USEN NETWORKSとの「次世代型コンタクトセンター」プロジェクトだ。膨大な業務マニュアルを起点として、処理時間や人材育成などさまざまな課題が発生していたのに対し、オペレータ支援AI(2024年10月発表)、エージェントによる自己解決(2025年12月24日発表)、マネジメントの効率化・高度化の3段階で対処している。

神戸市税務部問い合わせ窓口の事例
USEN NETWORKSとの「次世代型コンタクトセンター」プロジェクト

株式会社NTTSportict:自治体がAIカメラで地域スポーツ映像を配信できる「マチスポ」

 株式会社NTTSportictは、「マチスポ」ソリューションを紹介した。同社の山田裕也氏(取締役 事業企画部長)の言葉によると、「『100万人が見る1試合』ではなく『100人が見る1万試合』を届ける、スポーツDXを活用した地域活性化モデル」だ。

 山田氏は地域スポーツの課題として、参画人口の減少、指導者不足、発信機会の不足の3つを挙げた。

 これに対し、同社の開発・販売するAIカメラ「STADIUM TUBE」と、同社の映像配信プラットフォームをもとに、地域スポーツを自治体が自治体専用ポータルから簡単に映像化して配信できるようにするのが「マチスポ」だ。

 AIカメラ「STADIUM TUBE」は、競技場などに常設されたカメラ1台が、無人で試合の流れを追いかけて動画撮影する。その映像をクラウドから配信する。

 導入事例として、沖縄県石垣市では1年で500件を超える試合や練習を配信した。中でも沖縄県高等学校新人バレーボール大会では、視聴者2万1500人を集めたという。

 これにより、親が場所を選ばず応援したり、遠くに住む祖父母が孫の試合を観戦したり、後から映像を再生して今後のプレーや指導の参考にしたりできる。さらに、遠隔コーチングや、産学官連携による地域スポーツ創出、国際交流などの応用も山田氏は紹介した。

株式会社NTTSportictの山田裕也氏(取締役 事業企画部長)
「マチスポ」の概要
沖縄県石垣市の導入事例
事業説明会で展示されたAIカメラ「STADIUM TUBE」

 「マチスポ」の最近のトピックスを山田氏は紹介した。

 まず、事業説明会の開かれた1月14日に発表されたのが、石垣市の野球大会「第2回マチスポカップ」(1月10日~11日)だ。石垣島出身のプロ野球選手・平良海馬氏が共同運営として参画し、地域コミュニティのさらなる活性化を目指して開催され、地元の小口スポンサーも集まった。

 2つめのトピックスが、部活動の遠隔指導だ(12月18日発表)。ハンドボールの指導者が地元にいないのに対し、遠隔で日本体育大学から指導を実施した。

 3つめのトピックスが、AIカメラを活用した分析ツールだ。映像から背番号をもとに、自動で個人別のアタックシーンなどを集めたスタッツ情報動画を作る。同様に試合のハイライト映像も作れる。サッカーやバスケットボールなど11種目に対応している。

 このスタッツ情報をローカルメディアとしても発信。ダイジェスト映像や、各種ランキング、解説などが、試合の翌日には配信できているという。

「第2回マチスポカップ」の開催レポートを発表
部活動の沿革指導
AIカメラを活用した分析ツール

地域創生Coデザイン研究所:地域医療DXコンサルティングの事例を紹介

 地域創生領域を担う株式会社地域創生Coデザイン研究所は、事業の中から、地域医療DXコンサルティング分野の事例を紹介した。

 その取り組みは、現状把握から、課題特定、最適ICT選定、実証・効果測定、ICT導入、定着研修まで一連のもの。特に、いかに定着させるよう一連の施策を設計するかにコンサルの必要性がある、と同社の高橋洋司氏(主任研究員 チーフCoクリエイター)は語った。

 1つめの事例は、業務可視化による改善事例。看護師業務のスマホにアプリを入れて、誰がどんな看護をしたかデータを蓄積することで、現場のギャップや課題を掘り下げる。そして、改善の必要があれば、そのためのICTツールを提案する。例えば、記録業務が多い場合に電子カルテの音声入力を提案、配送業務が多い場合にロボットを検討、といったことだ。

 2つめの事例は、ビジネスチャット導入による改善事例。看護師や医師が電話で連絡をとっているのを、スマートフォンとビジネスチャットに換えるという実証取り組みだ。これにより、電話回数と時間を5~7割削減。さらに、終礼廃止も、そのための業務形態のコンサル込みで実施し、1日あたり、10~15分×10名=100~150分を削減したという。

 今後のテーマとして高橋氏は、医師減少と需要増加に対応するための遠隔医療を挙げた。特に、中山間地域のために、診察車両が患者宅近くまで赴き、医師がオンラインで診断する医療MaaSを取り上げ、定着のために運用計画をしっかり作ることが重要だと語った。

株式会社地域創生Coデザイン研究所の高橋洋司氏(主任研究員 チーフCoクリエイター)
業務可視化による改善事例
ビジネスチャット導入による改善事例
医療MaaS

テルウェル西日本:清掃品質を数値化・データ化しコンサルティング

 清掃を中心とするビルメンテナンスのテルウェル西日本株式会社は、清掃DXコンサルティングについて紹介した。

 清掃業界の課題として、ビルオーナーなどの顧客にとっては清掃品質などの水準が分からないこと、ビルメンテナンス会社にとっては人によって清掃品質に差があることなど、評価を人の感覚に頼っているのが問題だとして、数値化される必要があると、同社の岡本和也氏(営業推進部 コアビジネスプロデュース部門 ロボティクス事業担当)は語った。

 同社では、建物や環境の汚れデータや、清掃ロボットの性能データ、最新の清掃技術に関するデータをデータベース化して、清掃を設計している、と岡本氏は説明した。

 岡本氏はそのほか、インスペクション評価の事例や、清掃ロボット導入支援などについても紹介した。

テルウェル西日本株式会社の岡本和也氏(営業推進部 コアビジネスプロデュース部門 ロボティクス事業担当)
清掃業界の課題
清掃×データサイエンス
環境・建物データの蓄積

NTTスマートコネクト:IT資産情報・リスク管理・対処と業務可視化がワンストップでできる「wakucone plus」

 NTTスマートコネクト株式会社は、「IT資産情報・リスク管理・対処」と、「業務実態の可視化」がワンストップでできるSaaSサービス「wakucone plus」(2025年11月5日リリース)について紹介した。

 現在の企業のIT環境について、セキュリティインシデントを防ぐ内部統制強化や、生産性向上の必要性や、そのためのDX推進における社内変革のハードルの高さなどを、同社の永井康寛氏(ビジネスイノベーション部 シニアマネージャー)は語った。

 wakucone plusでできることには、IT資産情報・リスク管理・対処の「内部統制強化」と、業務実態の可視化による「生産性向上」がある。内部統制強化としては、LANSCOPEのライセンスを標準でバンドルしている。生産性向上としては、PC操作ログをAIで分析して繰り返し作業のパターンなどを抽出し、DX化できる業務を発見する。

 永井氏は、wakucone plusのポイントとして、ダッシュボードでセキュリティリスクの情報を一元表示して一目で分かること、LANSCOPEのライセンスを標準バンドルしていて、リスクへの対応も即座に可能なこと、現状把握してDX推進にも役立つことの3つを挙げた。

 さらに開発中の機能として、AIが月次で従業員の働き方や作業傾向の変化をサジェストしてくれる機能も紹介した。

NTTスマートコネクト株式会社の永井康寛氏(ビジネスイノベーション部 シニアマネージャー)
wakucone plusでできること
ポイント1:セキュリティリスクが一目で分かる
ポイント2:LANSCOPEのライセンスを標準でバンドル
ポイント3:DX推進にも役立つ
開発中の機能:月次での働き方や作業傾向の変化をAIがお知らせ