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国内中堅中小企業IT市場、2015年度のIT投資には慎重な企業が増加~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は16日、国内中堅中小企業のIT市場に関するユーザー調査の結果を発表した。2015年度(会計年)のIT支出予算については、前年度から「増加する」と回答した企業の割合は34.0%で、「減少する」と回答した企業の割合13.5%を上回ったが、過半数の企業は「同じ/変わらない」としており、2014年度の調査からは「増加する」という回答の割合は下がっていることから、2015年度のIT支出予算には慎重な企業が増えていると分析している。

 調査は2015年4月上旬に実施したもので、中堅中小企業(従業員数999人以下の企業)が抱える経営課題としては、「売上拡大」を挙げる企業が最も多く、次いで「新規顧客の獲得」の回答率が高い。消費税増税などによる消費減退、円安による原材料価格高騰が深刻化する中で、いかに業績拡大を図るかを課題とする企業が多くなっている。

 ITを活用して課題解決を期待する課題としても、「売上拡大」を挙げる企業が最も多くなっており、今後は業績拡大を図るために積極的にIT活用を図る中堅中小企業が増加することが見込まれるとしている。

IT活用による効果が期待できる経営課題(上位10項目):中堅中小企業/大企業(出典:IDC Japan)

 また、クラウド、モバイル、ビッグデータ(データアナリティクス)といった「第3のプラットフォーム」関連ソリューションの利用動向では、「スマートフォン」「タブレット」の導入率が40%を超えており、今後の導入意向も大企業と比較して高い回答率となっていることから、今後も利用の拡大が見込まれると分析。「データアナリティクス」については、導入率は大企業と比較して低いものの、今後の導入意向は比較的高く、特に中堅中小企業では売上拡大など業績面の寄与を期待して導入を検討する企業が多くなっており、顧客管理、市場分析などの分野で利用拡大が見込まれるとしている。

 2015年の国内中堅中小企業IT市場については、多くの企業でIT支出の抑制傾向を見込んでいるが、中堅中小企業の多くでは、業績拡大を図るためにITの利活用に期待しており、特にモバイル、ビッグデータ(データアナリティクス)といった「第3のプラットフォーム」の活用も徐々に拡大していると説明。IDC JapanのITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITベンダーは、中堅中小企業向けビジネスを拡大させるためには、『第3のプラットフォーム』を活用した業績改善に寄与するソリューションおよび提供のための体制整備が求められる」と分析している。

三柳 英樹