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レッドハット、クラウド管理基盤ソフト「CloudForms 3.1」などを国内で提供

 レッドハット株式会社は8日、ソフトウェアライフサイクル(SLC)管理製品「Red Hat Satellite 6」と、クラウド管理プラットフォーム製品「Red Hat CloudForms 3.1」を日本で発表した。米国で、それぞれ9月と8月に発表された製品。

 記者説明会では、米Red Hatのクラウド管理事業部門長であるJoe Fitzgerald氏が両製品を説明した。なおFitzgerald氏は、2012年に米Red Hatに買収された米ManageIQの共同創業者兼CEO(当時)で、CloudFormsはManageIQの製品の後継にあたる。

米Red Hat クラウド管理事業部門長 Joe Fitzgerald氏
Red Hatの管理製品群

ライフサイクルを管理するRed Hat Satellite 6

 9月にリリースされたRed Hat Satellite 6は、サーバーなどへのソフトウェアのプロビジョニング、パッチ、構成管理、サブスクリプション管理といったライフサイクルを管理する製品だ。Satelliteは、Red Hatのソフトウェア配信サービス「Red Hat Network」で使われているサーバーが元となった製品で、Satellite 6では全面的に作り直された。

【お詫びと訂正】

  • 初出時、Satellite 6は「オープンソース版である『Spacewalk』の製品版にあたる」と記載しておりましたが、レッドハット社より、Satellite 6はSatellite 5からフルスクラッチで作り直しているため、Spacewalkベースではないとの指摘をいただきました。お詫びして訂正いたします。

 Fitzgerald氏はSatellite 6の機能として、ソフトウェアや設定などの「プロビジョニング」、バージョン管理などの「ソフトウェア管理」、ソフトウェアのサブスクリプションと利用状況を把握する「サブスクリプション管理」、現在のシステムの構成をトラッキングして望ましい状態に保つ「構成管理」の4つを挙げた。

 これらの機能は、既存のプロジェクトである、構成管理の「Puppet」、プロビジョニングの「Foreman」、リポジトリ管理の「Pulp」、コンテンツ/ライフサイクル管理の「Katello」、サブスクリプション管理の「Candlepin」がベースになっているという。

 Satellite 6では、ベアメタル(物理サーバー)や仮想マシン、クラウドを1つの手順で管理できるようになった。また、プロビジョニングされていないシステムの検知や、レポートなどを元にシステムを自動的に修正するドリフト修正、サブスクリプション管理の機能が加えられた。そのほか、ハイブリッドクラウド構成など、Satellite Serverから離れた場所などでソフトウェアを管理するCapsule Serverも加わった。

Red Hat Satellite 6の機能と、関連するソフトウェア

オープンソース化されてから初リリースとなるCloudForms 3.1

 8月にリリースされたCloudForms 3.1は、クラウド管理プラットフォーム製品だ。ManageIQ社のコードを元に6月にオープンソース化されており、3.1はオープンソース化されて初めての製品リリースとなる。

 CloudFormsは、RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)やVMware、OpenStack、Microsoft SCVMM、AWS(Amazon Web Services)など、プライベートクラウドからパブリックウラウドまで統合して管理する製品。

 プラットフォームごとの3.1での変更としては、特に開発スピードの速いOpenStackのものが多く、エージェント不要のイメージの検査と分析、CinderとSwift用の発見やレポート、マルチテナント、イベントとアラート処理の強化などが挙げられている。また、VMwareではvSphere5.5サポートやパフォーマンスとセキュリティの強化、SCVMMへの対応、RHEVでのRHEV 3.4サポートやcloud-initサポート、AWSでのVPS・ELB・RDSのサポートなどがある。

 共通の新機能としては、UI/UXの強化や、ワークフロー作成の合理化、ChefやPuppetなどとの統合機能、SELinuxベースのセキュリティ強化、PaaSプラットフォームであるOpenShiftのデプロイやスケーリングなどが挙げられた。

 Fitzgerald氏はまた、CloudFormsがVMwareのVMworldで「Best of VMworld」の2位となったことも紹介した。

 CloudFormsは現在、オープンソース版の「ManageIQ」が元になって開発されている。Fitzgerald氏は、ManageIQコミュニティにほかの企業からも多くのコントリビューションがあることや、次期リリースの設計に関する「Design Summit」が今週米国で初開催されたことなどを紹介。「近日中には、日本からのメンバーの参加を発表できると思う」と語った。

Red Hat CloudFormsのプラットフォームごとの変更点
オープンソースのManageIQコミュニティ

高橋 正和