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「日本企業に勝ち組になってもらいたい」~日本IBMがビッグデータ活用サービスを強化

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は25日、ビッグデータから価値を抽出するビジネスコンサルティングを強化すると発表した。

 グローバル・ビジネス・サービス事業本部 ストラテジー・アナリティクスの池田和明パートナーによれば、ビッグデータを活用するためには3つの課題があるという。1つ目の課題は、「玉石混交の大量データから、“玉”をいかに抽出するか」ということ。TwitterやFacebookといったソーシャルデータを収集する企業も増えているものの、データを大量に集めても、その中に意味のあるデータがなければ、価値を見いだすことはできない。

 また2つ目の課題は「意味のありそうなデータへアクセスできたとして、では何の意味があるのかを引き出す」こと。3つ目の課題は、そうして得た洞察を実際に生かすため、「戦略を立てて、必要があれば組織や業務プロセスを変え、実行に移す」ことだ。

データ活用に関するクライアントの課題
グローバル・ビジネス・サービス事業本部 ストラテジー・アナリティクスの池田和明パートナー

 しかし、洞察を得るところまでと、戦略を立てて実行に移すところの間には、大きな壁があるという。それは、企業内でそれらを担当する部門が異なる場合が多いからで、データの収集や管理は主にIT部門の役割だが、いざ実行に移そうとすると、そこは経営層の役割になる。以前は、日本IBMがサービスを提供する場合も、情報を集めて洞察を得るところまでのサービスは「ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーション」部門が、実行に移すところの支援は「戦略コンサルティング・サービス」部門が担当しており、両者が有機的に結びついてはいなかった。

 そこで日本IBMでは2014年2月に、両部門を統合した「ストラテジー&アナリティクス」部門を発足し、顧客企業に対して一貫した価値を提供できる体制を整えている。池田氏が、「今まで扱っていなかったデータから、なるほどということが見えきても、それが生かされなかったという歯がゆさがあった。しかし戦略コンサルティングの力を入れることで、実行に移していただけるようになる」と語るように、データの収集・分析からビジネスへの活用といったフェーズまでを一貫して担当する部門を設けることで、顧客企業側での変革を進めやすくする狙いだ。

 米IBMではこれまでも、自社の経営陣にアドバイスするアナリティクスチームを設けて、大きな成果をあげており、例えば販売員の最適配備により、2013年には3億ドルの収益が増加したほか、30倍のROIを記録したとのこと。2月の組織改編では、こうしたチームについても「ストラテジー&アナリティクス」に取り込んでいるため、今後は顧客企業にもその価値を積極的に提供する考えで、池田氏は、「これからの世の中では、こうした(データを活用できる)企業が他の企業に対して圧倒的な差をつけると考えている。日本のチームとしては、こうした知見を生かして、日本の企業にぜひそうなっていただきたい」とのメッセージを発信していた。

 なお、ストラテジー&アナリティクスの担当する領域は、1)マーケティングやセールスの領域を変革する「市場と顧客」、2)サプライチェーンやバックオフィスの事務作業の効率化を図る「オペレーションとサプライチェーン」、3)経理や財務などの「ファイナンス」、4)情報システム部門自体や、他領域でのデータ活用を支援する「テクノロジー」、5)組織改革を支援する「組織と人材」の5つである。

5つの領域
IBM自らの知見も生かす

石井 一志