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施設の「賑わい・集客力」は定量化できるか? 「空間デザイン」にビッグデータ活用

空間デザインの乃村工藝社と日立が協業

 株式会社乃村工藝社と株式会社日立製作所(日立)は25日、乃村工藝社の空間デザインに日立のビッグデータ利活用のノウハウを組み合わせて、新たな価値を創造するための協業に合意した。

 乃村工藝社は、集客環境づくりの調査・コンサル、企画・デザイン、設計、制作施工、各種施設・イベント活性化、運営管理などを手がける1892年創業の企業。一方、日立はプライバシーに配慮しながら人間行動の測定を可能とするセンサー技術、人間行動モデリング・解析技術、ITプラットフォーム技術を通じて、ヒューマンビッグデータの利活用に取り組んでいる。

 近年では、センサー技術の進展や、そこから生まれる大量のデータを処理するコンピューティング能力の向上を背景とし、人が集まる空間から発生するビッグデータを分析することで、価値のある情報として活用できるようになってきている。これにより、人と空間の関係を測定し、得られた情報をフィードバックしていくことで、例えば、商業空間の人の流れを測定してより良い店舗空間づくりへと活用したり、ビル内での人の流れを測定してビル設備をより良く制御することで省エネを実現したりと、社会貢献が可能になるのではと期待が高まっている。

 今回の協業では、乃村工藝社が現在提供している空間デザインのノウハウと、日立の技術・知見を融合し、空間価値を定量評価するためのデータベースとなる「空間データ・マネジメント・プラットフォーム(仮称)」を開発。同基盤を活用したソリューションを両社で提供していく予定という。

 新たなソリューションを適用することで、例えば、公共施設や商業施設内の空間を行き来する人の行動を測定して定量的に分析し、これまで評価が難しかったという空間の賑わいや集客力などの価値を見える化。施設内など空間全体を把握した効率的な施設運営に貢献できるという。そして将来的には、交通分野や街づくりをはじめ、社会インフラとしてさまざまな事業領域を対象とし、快適な社会空間、生活者の暮らしを豊かにするための仕組みづくりも視野に検討するとしている。

「空間データ・マネジメント・プラットフォーム(仮称)」活用例

 なお本協業は、乃村工藝社の空間における企画・デザイン・リサーチを専任とするチームと、日立のビッグデータ利活用のための専任組織であるスマート・ビジネス・イノベーション・ラボによって推進される。

 乃村工藝社は今後も空間の創造・活性化領域でのビッグデータ利活用を進める。日立も本プロジェクトの成果を提供するほか、ビッグデータ利活用事業を積極的に推進し、2015年度に事業全体で売上高1500億円を目指す。

川島 弘之