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富士通研究所、仮想環境のボトルネックを特定する性能分析技術を開発

 株式会社富士通研究所は12日、仮想環境でのボトルネックを特定する性能分析技術を開発したと発表した。同社によれば、こうした技術を開発したのは世界初になるという。

 仮想環境では、1台の物理サーバー上でハイパーバイザーや複数の仮想マシンが同時に稼働しているため、環境が複雑化しているほか、仮想マシンは実際にはハイパーバイザーにより切り替えられて動作しているので、単体の仮想マシンだけの性能監視・分析では性能が正確に把握できず、仮想環境のアプリケーションで性能劣化が起こっても原因特定が難しいといった課題があった。

 現状でも、既存の性能管理ツールも仮想化対応が進んでいることから、CPU・メモリ・I/Oなど、リソースレベルでのボトルネック個所までは確認できるようになっている。しかし、ハイパーバイザー内の処理から仮想マシン上のOSやアプリケーションの処理までを一括して正確に分析するようなツールはまだ存在していない。

 このため、問題を解決するためには、仮想マシンの移動やリソースの再配分を行って対処するしかなく、リソースの使用効率や運用管理コストの増加につながることが懸念されているという。

 しかし富士通研究所では、ハイパーバイザー上で各仮想マシンのユーザープログラムの動作情報を採取することにより、アプリケーションの一元的な挙動分析を実現した。

 具体的には、3段階のフェーズによって実現されている。最初の「測定フェーズ」では、各仮想マシン上のアプリケーションの動作情報を、該当する仮想マシン上ではなく、仮想マシンの切り替え処理を活用して、ハイパーバイザー上で一元的に採取する。

 次の「マップ情報生成フェーズ」では、測定フェーズで採取したデータをアプリケーション名や処理関数名といったシンボル名に変換するため、マップ情報を各仮想マシン上で作成する。

 そして、測定フェーズで採取した各仮想マシンでのアプリケーション動作情報と、マップ情報生成フェーズで生成したマップ情報を照合し、各仮想マシン上でのアプリケーションの実行内訳を、ハイパーバイザーの時間軸で一元分析する。

 こうして一元的にデータ採取と分析を行うことで、複雑化した仮想環境でも正確な実態把握ができるほか、ハイパーバイザーにこの機能を組み込めば、各仮想マシン上のOSやアプリケーションを変更せずに、仮想環境の性能分析と可視化を実現できるとのこと。

 この技術を活用して、ハイパーバイザー内の処理から仮想マシン上のOSやアプリケーション処理の性能を正確に分析し、挙動を把握すれば、リソースの使用効率の向上によるコスト削減も期待できるとしている。

 なおこの技術は、富士通Linux技術支援サービスで2013年4月より利用される予定だ。

(石井 一志)