三愛石油、TISのSaaS型EDIサービスを採用~わずか2カ月での移行を実現


 TIS株式会社は21日、三愛石油株式会社が、SaaS型EDI(電子商取引)サービス「TIS EDI Ondemand Service by ACMS」(以下、T.EDI.O.S.)を利用開始したと発表した。

 総合エネルギー商社の三愛石油では、全国1300店舗のサービスステーションがガソリン・灯油などの発注に利用しているEDIシステムを、メインフレーム上で独自に構築し、1990年台半ばから自社で運用してきた。しかし東日本大震災を契機に、EDIをメインフレームから切り離してロケーションを移転し、BCP対策を強化する方針が決まったという。

 今回採用された「T.EDI.O.S.」は、TISの企業向けIaaS「TIS Enterprise Ondemand Service」を基盤に、EDIパッケージ「ACMS」を月額利用型のSaaSで提供するサービス。三愛石油は、障害が発生した時にはほかの仮想サーバーで自動復旧できるバックアップ機能を持つ点や、サービス基盤のあるTISのデータセンターの高い堅牢性、そしてSaaS型提供のコストメリットを評価し、このサービスを採用した。

 移行検討の当初は、新システムをオンプレミス型の物理サーバーで新たに設置したり、ハウジングサービスを利用してEDIサーバーの運用を外部に委託したり、といった案も検討されたという。しかし、それらの案ではハード、ソフトの新たな投資が発生するため、コストを抑制しつつシステムの安全性を確保したいといったニーズを満たせない点に課題があった。さらに、旧システムでは、一部のシステムを自社のマシンルームで管理しており、運用負荷が発生していたことから、この負荷をなくすためにもクラウドサービスを選択したという。

 また、EDIの通信環境を持たない取引先とのデータのやりとりにメールを使っていたことも、担当者の負荷となっていたため、TISのメールシステム「Web@Postman」と「T.EDI.O.S.」を連動させ、メールによるデータ通信を独自機能として追加。この課題を解決している。

 加えて、BCP対策の強化と業務効率化を目的として、これまでEDIを利用していなかったガスの取引もEDIに統合することが決まっており、新環境の導入を2012年10月までに実現する必要があったことも、クラウドサービスの採用を後押しした。オンプレミス型では、ハードウェアやソフトウェアの個別調達により半年から1年の準備期間が必要となるところ、SaaSを活用したことで、今回の新システムの稼動に向けた移行作業は2カ月で完了したという。

 なお三愛石油では、10月に新EDIシステムに移行したガスの取引だけでなく、ガソリン・灯油など旧EDIシステムを利用していたすべての取引を、2013年3月末までに「T.EDI.O.S.」へ移行していく予定とのことだ。


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