F5ジャパン、SDNをアプリケーションレイヤにまで拡張するHyper-V向けソリューション


 F5ネットワークスジャパン株式会社(以下、F5ジャパン)は25日、ネットワーク仮想化環境向けゲートウェイソリューション「Microsoft Windows Server 2012 Hyper-V向けネットワーク仮想化ソリューション」を発表した。2013年第1四半期の提供開始を予定する。

 一般的なSDNは主にレイヤ2/3を対象として検討が進められているが、このソリューションは、SDN(Software-Defined Network)を補完・強化し、アプリケーションレイヤ(レイヤ4-7)までの拡張を行うもの。管理性や柔軟性の改善を目的に、レイヤ2/3ネットワーク構築にSDNを導入している企業ユーザー、IaaS/SaaSプロバイダ、ソフトウェアベンダーに特に有効という。

 製品としては、F5ジャパンのアプリケーションスイッチ「BIG-IP Local Traffic Manager(LTM)」の仮想ソフト版である「BIG-IP LTE Virtual Edition」を、Windows Server 2012 Hyper-V上で稼働可能とし、BIG-IPがアプリケーション向けに提供する機能を、マイクロソフト製品で構築されたクラウド/仮想ネットワーク環境でも利用できるようになる。

 具体的には、今後提供される予定の日本マイクロソフトの管理製品「System Center 2012」へのプラグインと、Hyper-V拡張スイッチ向けのエージェントソフトが、オーバーレイ型仮想化技術「NVGRE」で実現されるネットワーク仮想化環境と連動して動作し、BIG-IP LTM Virtual Editionを含めたネットワーク仮想化環境を集中して管理・設定できるようになる。

 また、ハイブリッドクラウド環境の構築や移行時に、物理ネットワークで使っていたポリシーやIPアドレスをそのまま利用できるため、柔軟かつ容易な移行とコストの削減が可能とした。

 なおこのソリューションでは、データセンター内、あるいはデータセンターをまたいだ場合でも仮想マシンを簡単に移動できることから、共有インフラをより有効に活用し、コスト効率を高められる点もメリット。加えて、SDNに対応することで、物理IPアドレスのマッチングやパケットルーティングが適正に行われるよう手動のスイッチ設定といった、これまでのネットワーク管理に仮想マシンがしばられる必要がなくなる点も、大きな強みとした。

 さらには、仮想マシンの移動に合わせてBIG-IPプラットフォームで提供するADNサービスも移動できるので、部門単位で利用されるWebアプリケーションを別のデータセンターに移動した場合にも、セキュリティポリシー、アクセス制御、高速化機能、広域負荷分散、WAFなどの機能や設定を同時に移動可能。ユーザーは移動を意識することなく、それまでと同じようにアプリケーションを利用できる。

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(石井 一志)
2012/10/25 16:37