シスコシステムズが2013年度の事業戦略、「Excite Nippon!」をビジョンに新たなステージへ
11月には「IoTインキュベーションラボ」を開設
シスコシステムズ 代表執行役員社長の平井康文氏 |
シスコシステムズ合同会社は10月23日、2013年度の事業戦略に関する記者説明会を開催した。あわせて、同日、Internet of Things(IoT)の実現に向けた研究開発を推進する「Internet of Things(IoT)インキュベーションラボ」を11月に開設することを発表した。
2013年度に向けた事業方針について、代表執行役員社長の平井康文氏は、「当社は、これまでの2年間、『Ignite Japan』をビジョンとして、ITからBT(ビジネステクノロジー)への取り組みに注力し、大きな成果をあげてきた。これを受け、2013年度は、『Excite Nippon!』を新たなビジョンに掲げ、次のステージに向かう。『Excite Nippon!』では、Connected Cloud(クラウド連携)、Connected People(新しいライフスタイル)、Connected Everything(ビッグデータ創出)――の大きく3つの事業分野に注力していく」と説明。「3つの異なる事業分野をつなぐことで、価値を創造することができる企業は当社だけである」と力を込めた。
そして、これら3つの事業分野を、同社のインテリジェントネットワークアーキテクチャによって支えていくという。「Connected Cloudではデータセンターアーキテクチャ、Connected Peopleではコラボレーションアーキテクチャ、Connected Everythingではボータレスネットワークアーキテクチャをそれぞれ柱として、これらをSecure-Xアーキテクチャで下支えする」(平井氏)としている。
また、同社では、「Excite Nippon!」のビジョンのもと、“ヒューマンネットワークを通して私たちの明日をつなぐ”という、将来へとつながる大きな事業目標も設定。「この事業目標を実現するべく、『Customer Partnership』、『Corporate Citizenship』、『Cisco Family』の3つの戦略事業分野を確立するとともに、これらを包括する戦略として『独自能力としてのシスコカルチャー、我々の体験、アドホクラシー』を展開していく。そして、社会に徳を還元する“社徳”を創出していく企業を目指す」(平井氏)との考えを示した。
事業戦略説明会に合わせて、開設が発表された「IoTインキュベーションラボ」は、「Excite Nippon!」の3つの事業分野のうち、「Connected Everything(ビッグデータ創出)」に含まれる取り組みとなる。同社では、あらゆるものがつながる未来のインターネットの姿を「IoT」として捉え、これまでも、その実現に向けたアーキテクチャの研究開発に取り組んできた。「IoT」では、スケーラブルで新たなアプリケーションビジネスを創出するインターネットアーキテクチャの発展に向けて、クラウドコンピューティング、モバイルインターネットに加え、新たなコンセプトとして、フォグコンピューティング(Fog Computing)の分野に取り組んでいる。
Internet of Things(IoT)時代の到来 | シスコのIoTアーキテクチャ |
そして、今回開設する「IoTインキュベーションラボ」では、企業、学術研究機関、政府、標準機関などとの連携・コラボレーションを図りながらエコシステムを構築し、IoTに係わるテクノロジーリサーチ、先進IoTソリューションの開発、具現化に取り組んでいくという。具体的には、アライアンスパートナーとの協創による日本発のIoTイノベーション推進として、センサーやデバイスなどへのIoTプロトコルスタックの搭載開発支援を行うほか、サービスプラットフォームプロバイダーとの連携、国内外におけるフィールド実証実験を行う。また、IoTテクノロジーリサーチ活動として、IoTの発展・普及に向けた学術研究機関と共同研究や、インターンシップを通じた人材育成プログラムを実施する。
シスコシステムズ 専務執行役員 ボーダレスネットワーク事業統括の木下剛氏 |
「IoTインキュベーションラボ」は、ボーダレスネットワーク部門の直属となり、ラボテクニカルアドバイザーとして、シスコフェロー、JP Vasseur(ジェーピー・ヴァサール)を加えた当初10人の体制でスタートする予定。専務執行役員 ボーダレスネットワーク事業統括の木下剛氏は、「IoTによって、インターネットに大きな変革が始まろうとしている。『IoTインキュベーションラボ』の開設を機に、アライアンスパートナーとともに、IoTの姿を日本が主導になって立ち上げていく。さらに、国内にとどまらず、世界に向けてIoTを発信していきたい」と意欲を見せた。