日本IBM、顧客のビッグデータ活用を支援~社内横断「チーム・ビッグデータ」も設立


松山雅樹氏氏

 日本IBMは10日、ビッグデータを用いた高度な分析により、顧客の売上拡大やビジネス課題の解決を支援するソリューションを発表した。

 新ソリューションは、ビッグデータを分析して、次に起こすべき最適なアクションを、販売員やコールセンター、メールといった顧客接点にタイムリーに提示する「ネクスト・ベスト・アクション」と、社内のさまざまなデータを可視化し、お客さまの課題の原因特定などを瞬時に行う経営管理ダッシュボード「CFOパフォーマンス・インサイト」。併せて、「チーム・ビッグデータ」として社内を横断して設立し、顧客のビッグデータ活用を支援していく。

 昨今、アナリティクスに注力するIBMでは、2005年以降、30社の買収に160億ドルを投入したほか、1万人を超える技術者、アナリティクスに特化した9000人のコンサルタント、民間業界では世界最大級という数学研究部門の推進などに取り組んでいる。また、コア・ソリューションとして「グローバル経営ダッシュボード」「統合リスク管理」「グローバルサプライチェーン最適化」「カスタマ・インサイト」「情報活用基盤」「コンテンツマネジメント」の6つを体系化している。

アナリティクスに注力「チーム・ビッグデータ」を設立

コア・ソリューション概要
ネクスト・ベスト・アクション概要
CFOパフォーマンス・インサイト概要

 今回の新ソリューションは、これらのコア・ソリューションに含まれる。「ネクスト・ベスト・アクション」は、コンタクトセンターやスマートフォンからの情報、顧客からのメール、Webストア購買履歴、SNS書き込みからの膨大なリアルタイム情報をチャネル統合システムに統合し、顧客の自動分類をした後、最適なフォロー活動を推奨するもの。例えば、「このお客さまはこのクーポンを提示すれば購買につながる」など、具体的なアクションを提示するという。

 一方のCFOパフォーマンス・インサイトでは、経営層向けのダッシュボードを提供。さまざまな経営指標の因果関係を分析し、原因特定を支援したり、What-if分析が行えたりする。ステータスは青・黄・赤の目印で表示し、売上拡大や顧客の課題解決のための指標や切り口を設定すると、問題箇所を予測する。通常ならそこからドリルダウンして原因を探るのだが、「CFOパフォーマンス・インサイトでは原因特定まで自動で行い、通常では気づかない指標間の相関に気づかせてくれるのが優位点」(グローバル・ビジネス・サービス事業 ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーションパートナーの松山雅樹氏氏)という。

 両サービスともに企画支援サービスを用意しているのも特徴で、現状の情報からどのようなロードマップを描くのかを検討したり、To-BeモデルやAs-Is分析結果を日本IBMのメンバーとともに検討することが可能だ

 IBMの顧客でもビッグデータはさまざまな業種で適用が始まっている。例えば、カタリナマーケティングでは、1日4000億件以上のPOSデータを分析し、新タイプのコーヒークリームを試してみる可能性の高い顧客などを特定し、個々の顧客に合わせたクーポンを発行するなどして、クーポン回収率が高まり、キャンペーンのROIが30%向上したという。

 また、日本海事協会では、船舶に取り付けられた30万ものセンサー情報を収集し、船舶の異常検知分析を行い、メンテナンスなどに役立てているという。

 こうした業種ごとの要求に的確に応えるために、新設した「チーム・ビッグデータ」では、「データプラットフォーム」「先進アナリティクスソリューションチーム」のほか、「業種別担当チーム」を設け、エンジニア、コンサルタント、研究者から成る支援体制を整えている。

関連情報
(川島 弘之)
2012/5/10 15:18