ニュース

日本オラクル、ビッグデータ活用を支援する「Oracle Big Data Appliance」

他のビッグデータ関連製品も多数用意、顧客の活用を支援

Oracle Big Data Appliance

 日本オラクル株式会社は23日、ビッグデータの活用を支援するエンジニアードシステム「Oracle Big Data Appliance」を、同日より提供開始すると発表した。

 日本オラクルが提供するエンジニアードシステムとは、ハードウェアとソフトウェア、ネットワークなどの関連システムを組み上げ、検証と最適化を済ませた形で提供する製品。Big Data Applianceは、その中でもビッグデータの取り扱いに特化したもので、ソフトウェアとしては米Clouderaのエンタープライズ向けHadoopディストリビューション「Cloudera's Distribution including Apache Hadoop(CDH)」を中核に構成されている。

 製品戦略統括本部 製品戦略ソリューション本部 プリンシパルセールスコンサルタントの下道高志氏は、従来の方法でHadoopシステムを構築するには、ハードウェアとソフトウェアの導入から最適化まで、非常に手間がかかる作業が必要という点を指摘。「エンジニアードシステムにより迅速な導入が可能で、お客さまには本来の業務に集中してもらえる利点がある」と、その価値を説明する。

 また、Cloudera製品を用いることについては、「エンタープライズに対する方向性が当社と同じだ。確実に、実用的な機能をお客さまに提供でき、大規模にも対応する。また重要なのは、Clouderaによる管理、実証が行われてから確実なパッチが提供できる点。こうしたことから、CDHの商用版の最新のものをBig Data Applianceでは提供している」とした。

製品戦略統括本部 製品戦略ソリューション本部 プリンシパルセールスコンサルタントの下道高志氏
Cloudera製品を選択した理由

 このほかのソフトウェアコンポーネントは以下の通り。

・Oracle Linux 5.6
・Java Hotspot VM
・Cloudera Manager
・Open Source R Distribution
・Oracle NoSQL Database
・Oracle Big Data Connectors

 一方ハードウェアは、Sun Fire X4270 M2×18ノードと、40Gbps InfiniBandネットワークを利用しており、ラック単位でのスケールアウトに対応するほか、データベースのエンジニアードシステムである「Oracle Exadata」にも同じInfiniBandで接続できる。

 下道氏は、「10Gigabit Ethernetでいいじゃないか、という声があるかもしれないが、MapReduceはネットワークを非常に酷使するため、ボトルネックをなくすには、速くてロスの少ないInfiniBandが最適。なお、次世代のHDFS(Hadoop Distributed File System:Hadoop分散ファイルシステム)ではデータブロックのプール化が行われ、ブロック間はネットワークでアクセスすることになる。この時、ネットワークが遅いとパフォーマンスが出ないので、広帯域がますます重要になる」として、InfiniBandを採用している理由を解説している。

ほかのビッグデータ対応製品もアピール

 日本オラクルではまた、ビッグデータに対応するための他製品もさまざまリリースしており、これらに対する説明も行われた。

 まず、ECサイトなどWebアプリケーションのフロントエンドでは、大量のデータをハンドリングするために分散データベース/ファイルシステムを使いたい、というニーズがあるというが、「エンタープライズレベルの可用性がなかったり、可用性を担保するとデータの一貫性が保証できなかったり、それを解決するとパフォーマンスが出なくなったり、といった課題があった」(執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 製品戦略統括本部長の山本恭典氏)のだという。

 そこで日本オラクルでは、2006年に米Oracleが買収したSleepycat SoftwareのオープンソースデータベースであるBerkeley DBをもとに、「Oracle NoSQL Database」を製品化。オープンソースだと保守がなく、エンタープライズレベルで使えないという声を払しょく。きちんとした製品を提供することで、顧客のニーズに応えているとした。

執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 製品戦略統括本部長の山本恭典氏
Oracle NoSQL Databaseの概要
Hadoopによるバッチ処理の課題を解決する
製品戦略統括本部 テクノロジー製品推進本部 担当シニアマネジャーの岩崎将之氏

 また、Hadoopの現実的な活用としては、主にメインフレームで行われているようなバッチ処理を、Hadoopによる分散処理で処理時間を短縮しようとする試みが多く行われるようになっているが、製品戦略統括本部 テクノロジー製品推進本部 担当シニアマネジャーの岩崎将之氏は、「バッチ処理を高速化しても、もとの環境や他システムとの連携のためのロード時間で相殺されてしまう」という課題を指摘する。

 これを解決するための製品が、HadoopからOracle Databaseへ高速にデータをロードするためアダプタ「Oracle Loader for Hadoop」だ。これによって、ロード時間の劇的な高速化を実現するため、トータルでの処理時間も短くなり、メリットが出しやすくなる。

 またビッグデータに関する別の課題としては、「多様なデータを処理するために、システムを個別に開発する傾向があり、データやアプリケーションが散在してしまう」といったものがある。こちらに対しては、Oracle Databaseを中核にして、データの統合・活用を図れる製品を提供する。

 それが、MapReduce処理開発を簡素化する「Oracle Data Integrator」や、HDFSへOracle Databaseから直接アクセスできるようにする「Oracle Direct Connector for HDFS」、HDFS上のデータに対してR言語処理を可能にする「Oracle R Hadoop Connector」といった製品群で、これらによってユーザーを支援すると、日本オラクルではアピールしている。

 「現在は、当社からの提案を待つまでもなく、ほぼすべてのお客さまがビッグデータへの関心をお持ちだが、まずはOracle DatabaseやExadataのお客さまに対してビッグデータの活用を提案していく。具体的には、HDFSやKVSを使っている、あるいは使おうとしているWebサービス系、Hadoopによるバッチの高速化を図りたい企業、Rを使っているが、ほかの商用製品を利用されている企業などを主な対象としたい」(山本執行役員)。