富士通、ビッグデータ活用を支援するソフト群を体系化

クラウドサービスのノウハウをオンプレミス向けに提供


オンプレミス型製品の体系図

 富士通株式会社は23日、ビッグデータの活用を支援するソフト製品を開発し、新たに体系化したと発表した。ビッグデータ活用の標準技術である並列分散処理や複合イベント処理を行う製品群を「Big Data Platform」、利用シーンに応じたビッグデータ活用の製品群を「Big Data Middleware」とし、順次グローバル販売していく。

 富士通は、ビッグデータ活用のクラウドサービス「データ活用基盤サービス」をすでに展開している。今回のソフト群は、クラウドで磨いた技術や運用ノウハウを、オンプレミスでもより使いやすく利用できるよう製品化したもの。セットアップや運用の工数を削減する「スマートソフトウェアテクノロジー」、「基幹システムで培った独自技術」、「パートナー製品やOSSを組み合わせたエコシステム」を特徴とし、さまざまな分野で活用され始めているビッグデータの活用を支援する。

 ラインアップは「Big Data Platform」「Big Data Middleware」の2種類。それぞれいくつかのソフト製品で構成されている。

 「Big Data Platform」に含まれるのは、並列分散処理を実現する「Interstage Big Data Parallel Processing Server V1」と、複合イベント処理を実現する「Interstage Big Data Complex Event Processing Server V1(以下、CEPS V1)」の2製品。

 並列分散処理ソフトでは、「Apache Hadoop」に独自の分散ファイルシステムを統合しデータの信頼性を向上。業務システムとのファイル共有でデータ転送を不要にすることで処理性能も向上させている。すでに2012年2月に発売済みとなっており、価格は60万円(税別)から、出荷時期は5月末より。

 複合イベント処理ソフトでは、独自の高速フィルタ技術により、大量のイベントを業務システムのマスタデータと自動的に照合し、必要なイベントを絞り込める。フィルタに定義する絞り込みルールは、業務で使う名称・用語で分かりやすく、少ない記述量で定義できるのが特徴という。こちらは新製品で、価格は600万円(税別)から、出荷時期は8月末より。

 一方の「Big Data Middleware」に含まれるのは、高速エクストリームトランザクション処理を実現する「Interstage eXtreme Transaction Processing Server V1」、高信頼データベース「Symfoware Server V11」、高精度な分析予測を実現する「Interstage Business Analytics Modeling Server」の3製品。

 高速エクストリームトランザクション処理ソフトでは、高速インメモリデータ管理ソフト「Primesoft Server」で実績のある、インメモリ分散キャッシュ技術による高速処理と、最大3重化の冗長構成でデータを保護する高信頼性を実現した。こちらも新製品で、価格は120万円(税別)から、出荷時期は5月末より。

 「Symfoware Server V11」は従来より提供されている高速データベース。今回は機能強化を図り、SSDに最適化した並列I/O技術により、大量データを従来比10倍で高速に格納できるようになっている。加えて、高圧縮技術でデータ量を1/5に削減可能という。価格は、プロセッサライセンスが160万円(税別)より、クライアントライセンスが50万円(税別)より。出荷時期は6月末より。

 高精度な分析予測ソフトでは、機械翻訳技術で日本語を解釈し、さまざまな事象を時系列に関連付ける。例えば、クレーム内容からリコールにつながるキーワードを自動抽出。クレームの件数だけでは予測できないリコール発生の予兆などを早期に検知し、迅速な対処を可能とする。こちらも新製品で、2012年度上期に発売する予定。

 富士通では「プラットフォームからミドルウェアまで一貫して提供できる強みを生かし、今後はビッグデータに最適な垂直統合アプライアンスも提供する」としている。

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