「構造化データと非構造化データの境を取り払う必要がある」~日本オラクルがビッグデータ戦略を説明


専務執行役員 製品事業統括兼テクノロジー事業統括本部長の三澤智光氏
ビッグデータを取り扱うためのさまざまな分野で、ソフトウェアやエンジニアードシステムを提供しているという

 「ビッグデータを受け取って瞬時に仕分けするとともに、それらを管理し、分析し、さらにシステムを連携させる。こうした各エリアに対して、ソフトだけでなくエンジニアードシステムを含めて提供できるのが、他社との差別化ポイントになる」――。日本オラクル株式会社は22日、ビッグデータ戦略に関する説明会を開催。専務執行役員 製品事業統括兼テクノロジー事業統括本部長の三澤智光氏は、自社の強みをこうアピールする。

 “ビッグデータ”という言葉自体は、話題に上らない日がないくらい盛んに聞かれるようになっているし、企業が扱うデータ量が格段に増え、“データ爆発”とも呼べる状況になっているのは確かだ。ただし現実には、「構造化・非構造化などそれぞれのデータタイプや、そのライフサイクルによって、求められる技術スキルやプロダクトはまったく異なり、お客さまは何から手を付けていいのかがわからない」(三澤氏)とのことで、ビッグデータへの取り組みが進んでいるとはまだまだいえない状況なのだという。

 これに対して三澤氏は「ビジネスに重要なヒト・モノ・カネのデータは構造化データに入っている」という点を指摘し、「これと、ノイジーなデータが含まれる非構造化データから必要なものを引っ張り出して、構造化データにマッチングさせることで、新しいビジネスが生まれてくる。境を取っ払う必要がある」との指標を示す。

 この、“境を取っ払う”ためにオラクルが用意しているものが、コネクタ群である「Oracle Big Data Connectors」で、HadoopからOracle Databaseへ高速にデータをロードするための「Oracle Loader for Hadoop」、Hadoopのタスクをつなげて1つのジョブであるかのようにする「Data Integrator Application Adapters for Hadoop」、HDFS上のデータに対してR言語処理を可能にする「Oracle R Connector for Hadoop」、RDBから透過的にHDFS上のファイルを見えるようにする「Oracle Direct Connector for HDFS」が提供されている。


扱う情報の種類によって求められる技術、スキルが違うため、活用がなかなか進みにくいというさまざまな領域で製品をそろえるとともに、“境を取り払う”ためのコネクタ製品も用意されている

 また、非構造化データの管理についても、Berkeley DBをもとに拡張され、大量のデータを保持するのに適した「Oracle NoSQL Database」や、ClouderaのHadoopディストリビューションを用いたエンジニアードシステム「Oracle Big Data Appliance」を提供。分析については、Oracle Databaseをエンジンとして利用するRの実行環境「Oracle R Enterprise」を用意するなど、全方位で製品を持つほか、ExadataやExalogicに代表されるようなエンジニアードシステムを提供できるため、他社にはない価値を提供できるのだという。

ビッグデータ利活用の3ステップ

 ただ、ビッグデータの使い方をまだきちんと見いだせていない企業では、こうした製品を活用しても、すぐに結果を出せるわけではない。そのためにオラクルでは、3段階でのビッグデータ活用を推奨している。

 1つ目の段階は構造化データの利用で、既存の業務系・情報系データベースに蓄積されたデータを、コスト削減と売り上げ向上に貢献する仕組みとして確立すべき、と三澤氏は説明する。そして、その次の段階で既存の構造化データと非構造化データを融合。さらにその後、データマイニングや統計解析などの高度なデータ分析へと移行することにより、それぞれの企業・事業にとって価値がある洞察を導き出せるようになるとした。

 なお三澤氏は、構造化データ利用の例として、全日本食品株式会社がExadataなどを用いて構築した販売促進システム「ZFSP」の例を紹介。このシステムを使って顧客の購買履歴に応じた個別の特売チラシを提供した結果、購買履歴商品のヒット率が通常のチラシの50~60倍になり、売り上げも10%以上向上したと説明している。

関連情報
(石井 一志)
2012/3/23 06:00