フライトシステムコンサルティング、iPadを使うクレジットカード・銀聯カード決済ソリューション


今回発表したプリンタ一体型の決済端末P25-iMを手に持って見せるフライトシステムコンサルティング 片山圭一朗社長

 株式会社フライトシステムコンサルティングは12日、2010年9月より販売しているiPhone用クレジットカード・銀聯カード決済ソリューション「ペイメント・マイスター」で、iPhoneだけでなく、iPadおよびiPod touchにも対応する決済端末2機種を2月より販売開始する。

 新しく発売する決済端末は、iPhone、iPod touch、iPad/iPad 2に対応するプリンタ一体型の専用決済端末「P25-iM」と、iPad 2に対応するケースタイプの決済端末「D-Holster for iPad」の2機種。

 「P25-iM」は、磁気カードリーダーつきプリンタでiPhone/iPod Touch/iPadとはBluetoothで接続する。クリップベルトが付いており、腰に装着することも可能。てのひらサイズで、販売店店内だけでなく、営業先で決済するなどの外出先での利用もできる。

 「D-Holster for iPad」は、ケースタイプのiPad一体型決済装置。磁気リーダー、接触ICリーダー、FeliCa対応のNFCリーダーライター、二次元バーコードリーダー機能を備える。プリンタは内蔵しないため、レシート印刷にはBluetooth対応のプリンタを別途用意する必要がある。iPad 2対応のケース型で、厚みが違う初代iPadには対応しない。今後発売されるiPadには専用アダプタを別売するため、iPad本体を買い換えても利用できるという。

ペイメント・マイスター対応の決済端末3製品。中央と右が今回発表された端末iPad版の画面。画面が広いために、多くの情報を一覧できる

 「ペイメント・マイスター」は決済のバックヤード処理は三菱UFJニコス株式会社が行い、フライトシステムコンサルティングがiOS対応の決済端末と専用アプリを提供するソリューション。iPhone用のペイメント・マイスターは時間や場所を選ばずに素早く決済できることから、すでに東急ハンズ梅田展など店舗内での決済から、外出先での決済用途まで幅広く利用されている。セキュリティ面ではクレジットカード業界における国際的なセキュリティ基準PCI DSSの関連規格であるPCI PTSで推奨する暗号化方式DUKPTに対応。

 銀聯(ぎんれん)カードは中国国内の銀行間のネットワーク決済を行う上海の「中国銀聯」(China UnionPay)が発行するカードで、発行枚数は22億枚超。ATMで現金引き出しができるだけでなく、日本におけるデビットカードのように、店頭での買い物の支払いにも利用され、代金は口座から即時引き落としとなる。

ペイメント・マイスターの特徴ペイメント・マイスターの処理の流れ
ペイメント・マイスターサービス概要図


大企業で社内の業務管理システムともつなぎこんで利用可能

 片山圭一朗社長は発表会でまず、欧米市場でスマートフォンやタブレットを利用した電子決済が普及しつつある状況を説明。「欧米ではすでにさまざまなクレジットカード決済を行う装置が多数出ている。スマートフォンやタブレットを使った電子決済も普及しつつある米国では、現在の決済高が年間1兆円規模、2015年までには現在の13倍、17兆1200億円まで拡大するとの予測が出ている(US Mobile Payment Group調査)」。

 日本でも、家賃やコンビニなどクレジットカードが利用できる場面が増えたことで、人口は減っているがカードの発行枚数は3億枚と増加しているが、片山社長は、日本市場でスマートデバイスによる新しい決済方法を普及させるには、(1)セキュリティ、(2)銀聯カード対応、(3)レシート印刷対応の3つの鍵が必要だと述べた。

 (1)のセキュリティについては、日本市場はセキュリティ意識が高く、セキュリティ面が担保されていないと普及しないという。これには、クレジットカードのビジネスモデルが日本とアメリカでは違うという事情もあり、「アメリカでのクレジットカードは8割がリボルビング払いで、平均金利は10数パーセントと言われている。金利が高いから、多少セキュリティの甘い決済方法で事故があって補償をしても、普及させた方が利益が出る。一方、日本では翌月一括払いが圧倒的に多く、クレジットカード会社は加盟店からの数パーセントの手数料で運営しているので、大きな損害が出ると赤字になってしまう」と説明した。

 (2)の銀聯カードについては、中国ではいまだに外貨持ち出しの法規制があるため、富裕層は数百万という買い物をするが、こうした高額の買い物はカードでの決済になる。このため、中国からの観光客を呼びたいのであれば、銀聯カード対応は重要だという。また、日本国内では現在、全国のいろいろな都道府県で中国人観光客を呼び寄せるための補助金制度がたくさんあるので、銀聯カード対応のシステム導入に際しては、こうした補助金を利用するできる場合が多いという。

 銀聯カードには暗証番号の入力が必要だが、今回発表した2製品はともに暗証番号入力ができるため、富裕顧客をVIPルームで接客した後にいざ決済となったとき、レジ前まで誘導して暗証番号を入力してもらう必要がなくなる点も特長だという。

 (3)については、欧米ではペーパーレスの決済が進んでおり、スーパーなどでもタッチスクリーンに電子サインを行うようになっており、片山社長が先日訪れた韓国でも、小さなたばこ屋さんでも電子サインになっていたという。一方日本では、アップルストアが当初、カード決済は電子サインにしていたが、紙のレシートで欲しいという客が多いため、現在では電子サインは使われておらず、最初から紙のレシートを出力してそれにサインする方式となっている、と実際の例を紹介した。

米国でのモバイル決済取引予想日本のカード発行枚数

 今回の製品ついて片山社長は、「iPhone版を発売した当初から、iPad版はないのかと言われ続けてきた」と述べ、日本では初代iPadを500台、1000台といった規模で導入している企業が多くあり、中古車販売、美容院、エステ、契約書の確認などすでにいろいろなところで使われていると説明。例えば保険の契約は、1回目の保険料を収納しない限り効力が発生しないが、iPadとペイメント・マイスター端末を利用することで、支払いプランや保障内容をiPadの大きな画面で顧客に説明した上で、その場で契約までを済ませることができる。

 片山社長は今後について、「日本ではすぐれたPOSアプリがすでに複数あるので、弊社は端末を提供するような形での提携も行いたい。また、繁忙期などに既存のPOSレジと合わせて利用していただくケースも増えてくると考えている」とコメント。自社のみでの提供にはこだわらず、他社POSアプリと組み合わせての販売なども積極的に行っていく考えを示した。

iPhone用ソリューションの利用シーンiPad用の利用想定シーン
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(工藤 ひろえ)
2012/1/13 11:25