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KDDI、AIサービスの拠点となる「大阪堺データセンター」を稼働開始

大阪堺データセンター外観

 KDDI株式会社は22日、「大阪堺データセンター」の稼働を開始したと発表した。大阪堺データセンターでは、GPUおよびGoogleの生成AIモデル「Gemini」のオンプレミスサービスなどの提供を通じ、製薬業界・製造業界をはじめとするさまざまな分野でのAI社会実装を目指していくとしている。

 大阪堺データセンターは、KDDIが2025年4月に取得したシャープ堺工場跡地の大規模な電力・冷却設備を再利用している。KDDIが海外M&Aで得た評価手法を応用し、評価項目を設備の耐震・耐久性や用地の環境リスクといった事業の成否を分ける重要項目に絞り込むことで、用地取得までの期間を短縮した。

 また、海外で他施設をデータセンターへ転用した経験を活用し、必要な改修や検証作業を早期に見極めて新設工事を最小限に抑え、設計・施工期間を短縮したことで、大阪堺データセンターを半年という短期間で構築し、稼働を開始した。

 大阪堺データセンターの建物規模は地上4階、延べ床面積は約5万7000㎡で、再生可能エネルギー由来の電力を100%利用している。大阪の主要な産業・商業エリアから約15キロメートルというアクセス性に優れた大阪堺データセンターを通じて、低遅延かつ信頼性の高いAIサービスを提供する。

 従来の空冷方式に加えて水冷方式の一種である直接液体冷却を導入し、直接液体冷却を導入し、NVIDIA GB200 NVL72をはじめとした計算能力が高いAIサーバーを稼働させている。また、KDDI Telehouse 渋谷データセンターでの検証で確立した水冷方式に特化した設備設計・運用に関するガイドラインにより、安定して高度な計算能力を提供する。

 大阪堺データセンターは日本国内で運用するため、Geminiなどの利用においても、データのソブリン性(主権性)に配慮した管理体制を実現している。国内法令・規制のもとでの適切なデータ管理により、国外への不適切なデータ移転や第三者による支配に関するリスク低減に寄与する。監視カメラ映像を含む映像データや企業の機微情報など、機密性の高いデータも国内で保管・管理したまま、AIの学習・推論に活用できる。

 最大100Gbpsの広帯域なインターネットに加え、機密性の高いデータを安全に扱える閉域網(KDDI Wide Area Virtual Switch 2)と、さまざまなパブリッククラウドとの広帯域な閉域接続が可能なマルチクラウドゲートウェイを提供する。信頼性の高いネットワークを用途に応じて選択することで、全国に分散されたデータを安全に大阪堺データセンターに集約でき、大規模なデータセットを用いたAIの学習・推論環境を実現する。

 活用事例としては、KDDIとKDDIグループの株式会社医用工学研究所は、武田薬品工業株式会社とともに、2026年4月以降、大阪堺データセンターを活用し、AIによる医療ビッグデータの多角的な分析を行い、患者への新たな価値創出に向けた探索的なプロジェクトに取り組む予定だ。

 また、企業の計算リソースの可視化・管理・最適化の実現、計算力のシェアリングにより、最適な計算環境の提供を目指すモルゲンロット株式会社とともに、大阪堺データセンターを活用し、製造業界をはじめとする製品設計における流体解析の高速化・高度化を支援するとしている。

NVIDIA GB200 NVL72を設置したサーバーラック
サーバーを冷却する水冷設備
効率的な冷却を可能にするターボ冷凍機
ターボ冷凍機の熱を排熱する冷却塔