ミラクル・リナックス、企業向けシステムバックアップ製品の新バージョン
最新のサーバー仮想化環境「VMware vSphere 5」に対応
ミラクル・リナックス 代表取締役社長の児玉崇氏 |
ミラクル・リナックス株式会社は6日、エンタープライズ向けシステムバックアップ製品の新バージョン「MIRACLE System Savior(以下、MSS)V1R4」を年内に発売すると発表した。
「MSS」は、複雑化するエンタープライズ環境向けにOSSベースで開発されたシステムバックアップソフト。従来まで、エンタープライズ用途を意識したシステムバックアップソフトは存在していなかったが、同社では、現場のニーズに基づいたエンタープライズ向けの製品を日本HPコンサルティングと共同で企画、開発。最新のサーバー、Windows、Linux、仮想化環境、SANboot/FCoE/FCマルチパス構成など、他製品では対応しない複雑で先進的ITシステムに対応するとともに、24時間365日サポートや7年間長期サポートなど、企業用途の要件を満たすシステムバックアップソフトウェアとして、2010年から「MSS」を販売しているという。
新バージョンのリリースにあたってミラクル・リナックス 代表取締役社長の児玉崇氏は、「当社の強みは、OSを継続開発していること、オープンソースソフトウェア(OSS)をサポートしていること、高い開発力をもつことの3点に集約される。そして、この3つの強みをベースにビジネス拡大に取り組んでいるが、その重点ソリューションのひとつが『MSS』だ。『MSS』は、業界で唯一の企業向けシステムバックアップ製品であり、当社の3つの強みが統合されたソリューションとなっている。今回の新バージョンでは、さらに複雑化が増しているサーバーシステム環境において、シンプルかつ確実にバックアップが取れるよう機能強化を図った」と述べている。
MKTインターナショナル 代表取締役社長の赤井誠氏 | システムバックアップに対する要求 |
また、日本HP時代に「MSS」の企画・開発に携わったMKTインターナショナル 代表取締役社長の赤井誠氏は、「企業におけるシステムバックアップでは、サーバーを稼働させるOS全体をバックアップする必要があり、以前からマルチOSへの対応やサービスレベルの明確化などエンタープライズサポートが課題となっていた。さらに、今後のクラウド時代に向けては、これらに加えて、仮想化テクノロジーや新しいハードウェア技術への対応も求められるようになる」と、クラウド時代では企業向けシステムバックアップ製品に対する要求がさらに高度化すると指摘。「『MSS』であれば、こうしたエンタープライズの要求に応えていくことができる」との考えを示した。
新バージョンでの機能強化点は、サーバー仮想化プラットフォームの最新版「VMware vSphere 5」への対応と、最新のI/O仮想化テクノロジー「HPバーチャルコネクト」への対応の2つ。
ミラクル・リナックス システムエンジニアリング本部 本部長の鈴木庸陛氏 | 「MIRACLE System Savior」の製品概要 |
ミラクル・リナックス システムエンジニアリング本部 本部長の鈴木庸陛氏は、「世界で最も導入実績のあるサーバー仮想化プラットフォームの最新版に対応することにより、仮想化環境でも確実にシステムバックアップが可能となった。また、仮想ゲストOSだけでなく、vSphere本体のシステムバックアップにも対応しており、オフライン・バックアップの製品で『VMware vSphere 5』への対応は世界初になる」としている。
一方、「HPバーチャルコネクト」は、10Gbs EthernetやFCoEに対応した最新のI/O仮想化テクノロジー。「クラウドの普及にともない、サーバー、ストレージ、ネットワークの集約化が求められている。今回、このニーズに応えるため、システムバックアップソフトウェアとして世界で初めて、『HPバーチャルコネクト』に対応した。これにより、FCoEやマルチパスなど活用した『HPバーチャルコネクト』を使ったシステムも確実にシステムバックアップが可能になった」(鈴木氏)という。
今後のロードマップについて児玉氏は、「来年4月をめどに、メジャーバージョンアップのV2をリリースする計画だ。そして、このV2にあわせて、日本IBMとの協業を行い、IBM System xシリーズへの正式対応を予定している。現在は、日本HPプラットフォーム向けの販売が中心だが、これを機にパートナーの販売チャネルもさらに拡大する」との方針を明らかにした。