「特に日本はハイブリッドクラウドへの期待が大きい」、ヴイエムウェア

ハイブリッドへの取り組みを加速


vForum 2011展示会場の様子

 ヴイエムウェア株式会社は、仮想・クラウド環境の管理を簡素化・自動化する管理製品群の国内出荷を11月より順次開始する。

 今回出荷するのは、管理製品をスイート化したもので、仮想・クラウド環境のより一元的な管理を実現する。ラインアップは「VMware vCenter Operations Managementスイート」「vFabric Application Managementスイート」「VMware IT Business Managementスイート」。

 「VMware vCenter Operations Managementスイート」では、「VMware vCenter Operations」がスイートとして大幅に強化され、キャパシティ管理の「VMware vCenter Capacity IQ」、構成管理の「VMware vCenter Configuration Manager」、課金管理の「VMware vCenter Chargeback」、ならびにアプリの依存関係を可視化する「VMware vCenter Infrastructure Navigator」が密接に統合されている。これにより、クラウドインフラ全体の状態を容易に把握できるようになるという。

 「vFabric Application Managementスイート」では、アプリ管理基準を統合して開発者と運用担当者の作業を一体化し、効率化する2つの新しいソリューションが含まれる。1つは「vFabric AppDirector」。標準化されたテンプレートやコンポーネントライブラリ、展開ワークフローで構成されたブループリントを通じて、あらゆるクラウドへのアプリのリリース/展開を標準化・自動化する。もう1つは「vFabric Application Performance Manager」。仮想・クラウド環境でアプリのパフォーマンスをプロアクティブに管理する。これらによりビジネスで求められるアプリの変更にITが速やかに対応し、アプリのパフォーマンスや可用性に対する動的な管理が実現するという。

 「VMware IT Business Managementスイート」は、「IT Finance Manager」「IT Service Level Manager」「IT Vendor Manager」の3モジュールで構成。これらを同時に使用することで、幅広い財務データへのアクセスを実現するほか、ITの資本、運用費用、保守費用の状況を明確にする分析・モデル化が可能になるという。

米VMware 仮想化/クラウドプラットフォーム事業担当 上級副社長のラグー・ラグラム氏
ハイブリッドクラウドスタック

 これらを踏まえ、米VMware 仮想化/クラウドプラットフォーム事業担当 上級副社長のラグー・ラグラム氏は、「ハイブリッドクラウド」の重要性に言及。「ハイブリッドクラウドへの旅は、仮想化からスタートし、セキュリティ、堅牢性、柔軟性が重要になる。これにより、IT as a Serviceを実現するために、単一プロダクトを提供するのではなく、ソリューションの提供が重要になる。VMwareではハイブリッドクラウドスタックの整備・提供、サービスプロバイダなどとの提携を進めている」と説明した。

 VMware Service Provider Program(VSPP)はグローバルで6400社に達し、国内だけでも、ソフトバンクやNTT Com、CTCをはじめ、60社を超える。外部のクラウドと連携を図り、ワークロードの移行を実現する「VMware vCloud Director」などにより、「ハイブリッドクラウド」への取り組みをより一層強化する考えを示した。

 特に日本はハイブリッドクラウドへの期待が大きいという。アジア太平洋地域の6141社(うち日本は多国籍企業274社、国内企業1,283社、公共セクター83団体)に対して、Forrester Researchが行った「クラウド コンピューティングに関する意識調査」によると、クラウドを利用・検討したいとの回答が71%に到達。そのうち、ハイブリッドクラウドを支持する回答が35%に上り、パブリッククラウドやプライベートクラウドを単独で利用したいという回答を上回った。

クラウドの推進要因ハイブリッドクラウドを利用・検討したいという回答は35%

 Forrester Researchと提携するITR 代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志氏は「ハイブリッドクラウドを支持する傾向は大企業ほど強い。大手になればなるほどシステム数が多く、そのすべてを一気にクラウドに移行するのは非現実で、既存システムを活用しながらクラウドを生かすケースが増えるためだ。これはレガシーマイグレーションの歴史と深く関係しており、90年代半ばにオープン化の波がきた欧米や、最近になって経済発展を遂げたアジア地域と比べ、ちょうど波に乗るべきタイミングでバブルが崩壊した日本には、そのまま重いレガシーシステムが多く残ってしまった。だからこそ、日本でいまハイブリッドクラウドへの関心が高まっている」と日本における期待の大きさの理由を説明。「その分、クラウドの統合管理の成熟も日本が最も進む可能性がある。ここでハイブリッドクラウド利用の確固たるモデルケースを確立できれば、世界に対して一歩先んじるチャンスにもなる」としている。

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