IDC Japan、国内中堅中小企業IT市場予測~震災の影響で経済は減速、データセンター需要は増大
IDC Japan株式会社は、国内中堅中小企業(従業員規模:999人以下) IT市場の2011年~2015年の市場予測を発表した。2011年の国内中堅中小企業IT市場規模は、東日本大震災の影響により、3兆3810億円、対前年比マイナス8.6%と大幅な減速を予測。ただし、2012年には金融を除く各産業分野でプラス成長に回復すると見ている。
調査では、東日本大震災により生産拠点が甚大な被害を受けたことも今回の予測には織り込んでおり、経営体力に乏しい中堅中小企業では建物、設備の損壊などにより企業活動の再開が遅れていることを指摘。被災地以外でも、東北の生産拠点の被災によるサプライチェーンの寸断、福島第一原発の事故による電力不足、消費マインドの低下などにより多くの中堅中小企業で業績が悪化しており、IT支出は抑制傾向になっていると分析した。
IDC Japanでは、これらの要因により、2011年の国内中堅中小企業IT市場は大幅なマイナス成長を予測。しかし、2012年は、サプライチェーンの回復、復興需要の拡大によって中堅中小企業においても業績が回復する企業が増加することから、IT市場もプラス成長に回復すると分析している。
産業分野別の分析でも、2011年は東日本大震災の影響により全ての産業分野でマイナス成長を予測しているが、中でも製造(前年比成長率:マイナス11.4%)、金融(同マイナス10.7%)では2桁のマイナス成長を予測。
一方で、情報サービス(同:マイナス5.9%)では、震災の影響を若干受けるものの、データセンター需要が拡大しており、またインターネットサービス事業者の場合は消費者の自粛による消費マインド低下の影響が比較的小さく、堅調に業績を伸ばす企業が多いことから、マイナス幅は比較的小幅にとどまるとみている。
今回の調査の詳細なレポートについてIDC Japanは、「国内中堅中小企業IT市場 2010年の実績と2011年~2015年: 東日本大震災による影響を考慮」(J11120104)として発行している。