ウチダスペクトラム、オープンソースを活用したエンタープライズ検索製品を提供

米Lucid Imaginationと戦略的業務提携を発表


 ウチダスペクトラム株式会社は18日、米Lucid Imaginationと戦略的業務提携を発表。日本およびアジアにおけるエンタープライズサーチ事業の拡大に乗り出すことを明らかにした。

エンタープライズサーチ 取り組みの軌跡

 ウチダスペクトラムは、内田洋行の関連会社で、ソフトウェアライセンス販売、エンタープライズサーチビジネス事業などを手がけており、エンタープライズサーチ分野においては、2005年に製品をリリース。2008年からは現行製品であるSMART/InSight G2を提供してきた。

 一方、Lucid Imaginationは、Apacheにおいて、トップ5プロジェクトに位置づけられているオープンソース検索エンジン「Lucene/Solr(ルシーン/ソーラー)」の主要開発者が在籍している企業だ。これを用いた検索技術を、アップルやセールスフォース・ドットコム、AT&TやeBay、国立スミソニアン博物館などの大手顧客に提供。今後は、日本およびアジア市場での展開を加速する考えを示している。

 具体的な提携内容は、ウチダスペクトラムが提供するSMART/InSight G2と、LucidWorks Enterprise(LWE)を組み合わせた製品を、日本国内およびグローバルに販売。ウチダスペクトラムは、Lucid Imaginationの製品、サービスを日本およびアジアにおけるマスターリセラーとして展開する。また、両社は、クラウド時代を見据えたエンタープライズサーチ構築に向けたアジアにおける市場開拓および製品開発を共同で行う。

「SMART/InSight G2 Open」の構成と、パートナー向けに提供する検索技術

 5月末から両社の技術を組み合わせた「SMART/InSight G2 Open」を出荷。「これまでの製品に比べて、価格で半分、性能で5倍。結果として約10倍という圧倒的な価格性能比を実現するエンタープライズサーチアプリケーションの提案が可能になる。この価格性能比は無限大に広がっていくだろう。エンタープライズサーチにおいて次のステージに踏み出す提携になる」(ウチダスペクトラムの町田潔社長)としている。

 同製品は、サーチアプリケーションサーバー「SMART/InSight G2 Enterprise」、エンタープライズサーチサーバー「LucidWorks Enterprise」およびソフトウェア開発キットで構成し、価格は1600万円。追加料金は1サーバーあたり200万円。利用サーバー数は4台までとなり、1サーバーあたりの最大インデックス数は1000万となっている。そのほか、サーバー利用数を無制限としたパッケージも用意している。

 また、パートナー向けに検索技術をサブスクリプション型で提供。LucidWorks Enterprise Protectionが年間640万円、Solr Enterpriseが年間240万円となっている。

ウチダスペクトラムの町田潔社長

 町田社長は、「エンタープライズサーチの対象は、グループ、事業部門、全社といった規模へと広がりをみせ、さらにサプライチェーン全体や企業グループのコールセンターなども対象になってきた。そして、今後は、ソーシャルメディアやライフログデータ、センサーデータまでもが対象になり、オンプレミスとクラウドの境界を越えたビッグデータ時代がやってくる」と、現在の状況を説明。

 その上で、「エンタープライズサーチは、こうした時代の変化にあわせて、高いパフォーマンス、拡張性、柔軟性、ローコストがさらに求められており、今回の提携によって、ユーザーニーズや時代の変化に対応できるようになる。経済性が高く、オープンソースならではの早い技術進化とともに、信頼性の高い効率的なアプリケーションの開発が可能になる。大手企業だけではなく、イーコマース事業者やクラウド事業者にも提供していくことになる」とした。

ウチダスペクトラム Head of International Businessのラフール・アガルワラ氏

 一方、アジアへの展開については、ウチダスペクトラム Head of International Businessのラフール・アガルワラ氏が、「欧米に比べると、アジア地域ではエンタープライズサーチの活用が遅れている。その点でも市場性が大きい」とコメントするとともに、すでに、中国最大のイーコマースサイトであるタオバオ(淘宝)では、インタラクティブクリックログ分析システムとして、SMART/InSight G2とSolr、Hadoopを活用していることを紹介。「8億以上の商品品目を管理し、一日あたり数10億のクリックを分析して、利用傾向の掌握や利用環境の改善などにつなげている」などとした。

 IDCの調べによると、エンタープライズサーチ市場は、2013年度まで年率10%以上で成長し、約3000億円の規模に達するという。日本では約100億円の市場規模が見込まれているという。

 今回の提携によって、日本市場においては、今後数年で30億円規模の売上高を目指す。

 これまでにも、日本マイクロソフトのFast SearchやジャストシステムのConceptBaseを利用したSMART/InSight G2を提供してきたが、「並売は進めていくものの、コストやパフォーマンスの観点から、今回発表した製品に移行していくことになるだろう。検索技術のベンダーとの方向性の違いなども背景にある」とした。

 会見では、ドイツに出張している、Lucid Imaginationのエリック・グリーズCEOが、テレビ会議システムを使用して参加。「当社は、サーチ分野におけるレッドハットともいえる企業。Luceneプロジェクトは10年前の2001年に開始され、Solrプロジェクトは2006年1月からスタート。現在、約4000ものアプリケーションで利用されている。特にここ数年では、大手企業における利用が増加しており、150社以上の著名な企業が利用している。Solrは、拡張性、パフォーマンスにおいて、現在市場で提供されているものよりも優れたものになっている。成長が著しいアジア市場において、今回の提携は極めて重要である。両社の提携によって、オープンソースの企業導入で課題となるロードマップの提示や品質保証が実現されることになる」などと話している。

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