大規模市場でVMwareをいかに追うか、日本マイクロソフトの仮想化戦略

導入社数ではすでに1位の「Hyper-V」


業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長の梅田成二氏

 日本マイクロソフト株式会社は7日、仮想化戦略に関する説明会を開催。先行するVMwareをいかに追いかけるか、どのような価値を市場に提供するか――。業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長の梅田成二氏が説明した。

 同氏はまず「x86サーバー市場は50~60万台でほぼ横ばいだが、その中で稼動する論理サーバー数に目を向けると2ケタ成長が続いている。来年は物理サーバーよりも論理の方が多くなると予測され、実はサーバー市場は大きく伸張していると見ることができる」と市況を説明。

国内サーバーの出荷状況。出荷台数こそ横ばいだが、仮想化用途の普及が拡大している論理サーバー数は2ケタ成長が続くと予測
ライセンス出荷総数でVMwareまであと一歩のHyper-V
中堅・中小規模ユーザー向けの取り組み

 それに併せ、Hyper-Vのシェアも伸張しているとし、「2010年にはVMwareの35.5%に対して、Hyper-Vは32.1%と、あと一歩のところまで追い上げている」(梅田氏)と述べた。この躍進の理由には、「サーバーOSの標準機能で提供している点」「対応ハードウェアの豊富さ」「性能の向上」「Windows Server 2008 R2でのLive Migration対応」のほか、「先行するVMwareが大企業に注力する一方で、日本マイクロソフトは中堅・中小、あるいは部門サーバーなどでの導入に注力したことが挙げられる」という。

 実際、中堅・中小向けに「Hyper-V認定資格」「Hyper-V Direct(コールセンター)」「Hyper-V 仮想化推奨ハードウェア」などの取り組みを充実させた結果、2万台といわれる中堅・中小市場の仮想サーバーソフトに限って言えば、VMware(25%)に対してHyper-V(39%)とシェアを逆転させている。

 また、仮想化ソフトのライセンス出荷総数ではVMwareに後塵を拝すものの、導入企業数で見るとすでにHyper-Vは1位に躍り出ているという。

Hyper-Vは中堅・中小、部門サーバーでの導入が先行。同市場ではVMwareのライセンス出荷数を抜いているというライセンス出荷総数ではまだVMwareに負けるものの、導入企業数ではHyper-Vがトップ

 次の狙いは大規模市場での追い上げだ。現時点では、同市場で67万台といわれる仮想サーバーに対して、VMwareが42%、Hyper-Vが24%のシェアという。ここへの取り組みとして今後、プライベートクラウド用途の検証済みハードウェアや実装ガイドを提供する「Hyper-V Cloud」や、Citrixとの協業によるVDI市場への取り組み強化をスタートさせる。VDI市場に対しては、デスクトップ仮想化ライセンスの見直しや、Windows Server 2008 R2 SP1の新機能「Dynamic Memory」「RemoteFX」(詳細は別記事参照)を訴求する。

台規模ユーザー向けの取り組み。プライベートクラウドの推奨構成を検証済みハードウェアとして提供する「Hyper-V Cloud」を展開VDI市場でもライセンスの見直しやWindows Server 2008 R2 SP1の新機能で取り組みを強化する

 これらの施策により、仮想化市場でのトップシェアを狙うとともに、「自社設置とクラウドのシームレスな接続」を目指していく考えだ。

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