CTCが運用サービス拠点「ROC」をリニューアル、自動化でコストダウンを図る新サービスを提供


リモートオペレーションセンター
CTCテクノロジー 取締役 執行役員 マネージメントサービス担当役員の五十嵐公厚氏

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)は18日、顧客企業のITシステムをリモート運用する「リモートオペレーションセンター(ROC)」(東京都千代田区)をリニューアルすると発表した。システム運用の自動化機能を追加したほか、従来の監視機能を一新し、ROCを使用した効率的なシステム運用サービスを提供するという。

 CTCでは従来、顧客のシステム稼働状況をリモート監視し、障害を検知した場合に手動で遠隔対応を行ってきた。運用サービスとしては、ごく一般的な姿であるが、CTCテクノロジー 取締役 執行役員 マネージメントサービス担当役員の五十嵐公厚氏は、「運用サービスは、お客さまのシステムをよく知っていて、業務形態を熟知しているような、“スーパーエンジニア”が必要とされることが多く、属人的、労働集約的」という点を指摘。「ビジネスとして脆弱」だとする。

 また、システムのクラウド化が進行することによって、「お客さまとシステムが1対1で対応していた時代は終わり、エンジニアが駆け付ければすむ、というものではなくなっている」(五十嵐取締役)点も問題で、運用サービス提供体制の見直しが必要になっているという。

 そこでCTCでは今回、ROCをリニューアルし、自動化によって運用管理負荷を軽減するための取り組みに、本格的に着手した。リニューアルのキーワードは、「効率化」「迅速化」「見える化」で、まず「効率化」では、「あらかじめ運用プロセスを定義しておき、そこに定義された事象が起きると自動で処理を行う『RBA(Run Book Automation)』技術によって自動化を図った。これによって、処理時間の効率化と、人が介在することによるヒューマンエラーの削減を実現する」(CTCテクノロジー マネージメントサービス第2本部 リモートオペレーションセンター 部長の原眞由彦氏)とした。

 もちろん、すべてを自動化できるわけではないため、RBAで対処しきれない分については、障害の切り分けと保守の手配などをROCのSEが行い、リモートで対応可能な範囲については、手動で障害対応する仕組み。ただ、自動化設定が増えれば運用コストも削減できる余地が高くなるため、サービスインの1年後には、最大60%自動化率を目指している。

 迅速化でも、RBA技術のメリットが生かされており、自動対応・復旧によって、「今まで少なくとも30分かかっていた作業が、2分程度に短縮できる」(原部長)とした。

ROCとは今回のリニューアルのポイント
ROCポータルの画面イメージ

 また「見える化」では、ユーザー企業向けのポータルWebサイト「ROCポータル」を提供。グラフィカルな表示で、障害情報やシステム情報などを確認できるのみならず、ドリルダウンして見たい情報を詳しく表示したり、Web情報を自動で帳票化したりすることも可能だ。原部長は、「一般的な保守では、ベンダーが何をやっているか、どう対応したかなどが分かりにくいが、ポータルによる見える化によって情報が共有できるし、当社とお客さまで同じ画面を見ながら提案もできる」と述べ、そのメリットを強調した。

 具体的なサービスメニューとしては、システム監視と障害切り分けを種とした「SMS Incident Support」、システム改善提案なども付加した「SMS Service Support」、定常・非定常業務を含めた運用業務全般を支援する「SMS Advance Support」の3種類を用意。CTCでは、これらのメニューの利用によって、システム運用コストを最大で30%削減できるとしている。価格はSMS Incident Supportが30万円/月から、ほかの2つが個別見積もりで、このほかに、業種に特化した安価な運用パッケージ「Availシリーズ」にも適用するとのこと。

 なお、マネージドサービス全体では、売上高50億円、ユーザー数250社程度とのことだが、CTCでは3年後に、これを100億円、500社程度まで拡大したい考え。その中で、「既存の個別にアサインする方式の運用サービスは、爆発的に伸ばすのは難しい。当社のお客さまは、アッパー・ミドル層が多いが、ROCによる自動化とコストダウンで、その下の層も獲得していきたい」(五十嵐取締役)との位置付けを示している。

ROCでは、4名のオペレーターと2名のSEが5直体制で勤務し、現在は40社70システム(7000台)の運用を行っているという。特に拡張を行わずに、1万2000台までの対応が可能なほか、さらなる拡張の必要があるときは、規模を柔軟に拡大できるとのこと
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