IDC Japan、クラウドサービス市場における通信事業者の市場機会と課題を分析


 IDC Japan株式会社は21日、クラウドサービス市場における、国内通信事業者の市場機会や課題についての分析を発表した。

 2009年初頭から、国内通信事業者は相次いで新サービスを発表。自社の看板となるクラウドサービスを取りそろえ、ラインアップや機能の拡充、協業体制の強化に取り組んでいるという。

 その中でも、IaaSに注力している事業者が多いことが、国内通信事業者の特徴とのこと。その理由としてIDC Japanは、「もともとホスティングサービスを提供しており、サーバーの構築/運用のノウハウがあること」、「ネットワークを自前で保有していることからクラウドサービスにバンドルしやすいこと」、「VPN経由でよりセキュアなクラウド環境を利用できること」、「データセンターを各地に保有しており、ネットワークと組み合わせることで、より冗長性の高いクラウド環境を構築できること」などを挙げている。

 一方、SaaS領域については、コラボレーティブアプリケーションを除けば、パートナーのアプリケーションのラインアップが強化されているとのこと。

 また、クラウドサービスの市場拡大に伴い、国内通信業者には新たな市場機会が見込まれているが、一方では課題も存在している。例えば、SaaS領域では、Webなどオンライン経由のインバウンドユーザーから見た場合、自社のビジネスへの適合性を判断する材料が十分ではないと、IDC Japanは見ているという。

 IaaS領域でも、参入事業者の急増によって価格が急激に下落しているため、激しい価格競争に耐え抜くコスト競争力が求められている。これについてIDC Japanでは、「単純な価格競争を回避するために、信頼性や付加価値の高いサービスの訴求によって明確な差別化を実現できなければ、生き残りが難しい市場になる」と分析している。

関連情報
(石井 一志)
2010/12/21 17:46