Windows 7を「移行支援」「仮想化」「クラウド」でさらに加速させる~マイクロソフト

IEの互換性検証ツールを提供開始、Windows Intuneも2011年上半期に


 「この良い流れを次の1年もキープしたい。そのための施策を今後も打っていく」――。マイクロソフト株式会社は12日、発売後ほぼ1年が経過したWindows 7の、法人向けビジネスの現状に関する説明会を開催。コマーシャルWindows本部 業務執行役員 中川哲本部長が、現状と、Internet Explorer(IE)の互換性検証ツール提供を始めとする、次の施策を説明した。

コマーシャルWindows本部 業務執行役員 中川哲本部長

 Windows 7の法人向けボリュームライセンスの販売は、2009年9月から開始されているが、2009年11月には228社の企業が早期採用を表明。ボリュームライセンスを購入した企業も、発売後8カ月が経過した2010年5月末の約5360社が、現在では8208社まで増加するなど、順調に普及が進んでいる。

 また、世界の全PCの17%以上がWindows 7で稼働しているという調査結果が出されているし、OEM PC導入を含め、「国内法人の、実に4社に1社のお客さまが、Windows 7からのダウングレードをせずに、使いはじめていただいている。事例数も、テレビ朝日など19社いただいている」(中川氏)状況で、出荷後1年の状況としては、非常に順調な数字なのだという。

 今後についても、中川氏が引用したIDCの調査によれば、2009年度に15%程度だった「1年以内に導入予定」という企業が、2010年度は43%程度に増加。一方でWindows XPを継続利用したいという企業は13.6%減少しており、Windows 7の導入意欲は非常に高いことが見て取れる。


Windows 7は好調に導入を広げているというボリュームライセンス契約社数は、8208社まで増加した

 中川氏は、この好調の理由について、「市場に、Windows 7が快適に動く良いハードウェアがたくさん出てきたことが大きい」とコメント。さらに、マイクロソフト側の施策によってさらなるドライブをかけたいとし、“3年以内に60%の企業がWindows 7を展開する”という目標を達成するため、1)ビジネスPCの移行促進、2)デスクトップ仮想化(VDI)、3)クラウド、といった3つの観点で取り組みを強化するとした。


Windows 7の展開施策

SIパートナー向けに「IE 移行検証ツール」を提供、移行のハードルを引き下げる

IE 検証移行ツールの概要

 まず1)では、ボリュームライセンスで最大15%引きのキャンペーンを行っているほか、パートナーと移行支援サービスの拡充を図る。さらに、顧客へのアンケートによって、OSとWebブラウザが変わることによる、Webアプリケーション検証の手間が移行のネックになっていることを把握。その部分で移行企業を支援するために、「IE 移行検証ツール」の提供を発表した。

 中川氏によれば、日本では、「Webアプリケーションの動作について、ページ単位で検証していくのがしんどい、という声が強かった」とのことで、特に、トランザクションが流れるかどうか、といった根本的な問題ではなく、画面のズレに関しても直せという要求をエンドユーザー部門から強く受けてしまうのだという。そこでマイクロソフトでは、「こうしたズレを検証するツールがあれば、移行が進むだろう」との思惑から、国内でツールを開発した。

 このツールでは、IE 6とIE 8を自動起動して、任意のページのキャプチャを連続して取得することが可能。取得した画面については、レイアウトのズレや表示の有無などの差分を抽出し、適合率をレポートできるほか、色深度や表示位置については、“ゆらぎ”の設定を行え、微少な差異であれば指摘しないようにできるので、修正に必要な作業効率の見積もりを効率化できるという。

 中川氏によれば、すでにベータ版を一部の顧客で試したところ、非常に大きな反響が合ったとのことで、マイクロソフト パートナーネットワークのデスクトップコンピテンシーパートナーを通じて提供し、顧客の負担を取り除いていくとしている。


取得用ツールはコマンドラインから動作する比較用のツールでは、IE 6とIE 8の画面の際を指摘する機能も備えた

VDIも推進、クラウドサービス「Windows Intune」も提供予定

移行に際してVDIを活用するケースも注目されている
クラウドサービスのWindows Intuneが提供される予定

 2)のVDIについては、非常に大きな成長が見込まれる市場のため、マイクロソフトもシトリックスとの協業で取り組みを深めている状況。2010年年4月~9月と2009年4月~9月を比較した場合、販売ライセンス数が240%に増加しており、「この市場がいかに伸びているかを、販売数からも実感できる」(中川氏)のだという。

 また最近では、VDIを移行に利用するケースも増えてきたとのこと。VDIを利用すると、PCにインストールされているのと別のOSを配信できるが、例えば移行の初期段階では、Windows XPを標準OSに定め、Windows 7のPCにはWindows XPを配信。逆に移行の後期には、Windows 7を標準OSにして、社内に残っているWindows XPのPCにWindows 7を配信する、といった使い方をすれば、システム管理部門は、移行の初期・後期ともに、1つのOSに注力してメンテナンスを行えば良く、作業の効率化が図れるのだ。

 また3)のクラウドでは、米国において、主に中小企業向けに提供されている管理サービス「Windows Intune」を国内で展開することを、あらためて強調した。これは、クラウドベースのPC資産管理・セキュリティ管理機能とウイルス対策機能、Windows 7 Enterpriseへのアップグレードサブスクリプション(アップグレード権と利用権)をセットにしたサービスで、米国では、PC1台あたり月額11ドルで提供されている。

 中川氏は、企業内でクラウドサービスを利用する機会が増える中で、「クラウドを使うということは、インターネットに接続するということで、セキュリティがポイントになっている」という点を指摘。Windows Intuneであれば、「PCの土台をパッチ管理で固められるほか、インターネットの出口もウイルス対策機能でカバー可能。Windows 7 Enterpriseの持つHDD暗号化機能も利用できる」として、そのメリットを訴えた。

 なお、利用可能OSはWindows XP SP3以降で、提供時期については、2011年上半期を予定しているとのこと。

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