国内ITサービス市場は2014年まで低成長で推移、市場規模は5兆4658億円に-IDC Japan予測


国内ITサービス市場 投資額実績および予測:2008年~2014年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は5日、国内ITサービス市場について、2014年までの予測を発表した。

 それによると、2010年の国内ITサービス市場は、一部では回復傾向が見られるものの、海外経済の減速、円高といった企業業績への懸念から、国内企業はITサービスを含むIT支出に関して慎重姿勢を崩していない。このため、市場は2年連続のマイナス成長になり、前年比1.3%減の4兆9541億円になる見通しという。

 IDC Japanは、2011年以降、これまで凍結されてきたシステム更改や、M&Aによるシステム統合、環境対応や国際会計基準対応などのコンプライアンス投資が成長を後押しする一方、企業の中にはITサービス支出を成長分野である海外に振り向け、国内向けの支出は横ばいとするところもあるので、成長率は決して高いものにはならないとの観測を示す。

 こうした状況を受け、2009年~2014年の年間平均成長率は1.7%、2014年の国内ITサービス市場規模は5兆4658億円になると、IDC Japanでは予測している。

 なお、成長への回帰後も、2008年以前に比べて低い成長率で推移することが見込まれる国内ITサービス市場では、ベンダーが勝ち残っていくためには、差別化戦略の遂行が欠かせないとのこと。IDC Japan ITサービスグループグループマネージャーの寄藤幸治氏は「ITサービスベンダー各社は、国内の経済状況を常にウォッチしつつ、まずは『ニューノーマル(新たな常態)』に沿ったローコストの提案で顧客との関係を維持し、中長期的には付加価値の増大による売り上げ/利益の極大化を図って行くべき」と分析している。

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(石井 一志)
2010/10/6 06:00