日本HP、3万円台から購入可能なAthlon II NEO搭載マイクロサーバー

ProLiantサーバーとしては史上最小、21.4dBの静音性も実現


HP ProLiant MicroServer
エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括の宮本義敬マネージャー

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9日、同社ProLiant製品の中で史上最小を達成したエントリータワー型サーバー「HP ProLiant MicroServer(以下、MicroServer)」を発表した。オフィスでのファイルサーバー、中小グループでのアプリケーションサーバーといった用途を想定した製品。販売は、直販サイト「HP Directplus/Directpartner」専用モデルとして、同日より開始する。価格は3万5700円から。

 MicroServerは、高さ26.7×幅21.0×奥行き26.0cmのコンパクトなタワー型サーバー。木の葉がふれあう音と同等レベルという21.4dBの静音性を実現したほか、コンパクト型ながらも、メモリは最大8GB(4GB×2)、ディスクは最大8TB(2TB×4)を搭載可能にするなど、高い拡張性を備えている。

 エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 事業企画部の宮本義敬マネージャーによれば、日本HPがこうした小型かつ拡張性の高い製品を投入した背景には、「1ソケットのエントリータワーサーバーが好まれる」日本市場独特の事情がある。IDCの調査によると、ワールドワイドでは13.3%でしかないエントリータワー型サーバーの市場が、国内では32.0%を占めており、「この領域を制するものが、日本市場でナンバーワンを取ると言っても過大ではない」(宮本マネージャー)というのだ。

 こうしたエントリーサーバーが好まれるのは、中堅・中小企業や大企業の部門などでのサーバー利用が多いこと、また国土の狭さかから、省スペース型のサーバーが好まれることなどが理由。日本HPではこれまでも、エントリータワー型製品の市場投入や、まるごと半額キャンペーンの実施などで、継続してこの市場の攻略を図っていたが、今回、市場のニーズをさらに細かくくみ上げ、MicroServerが製品化された。

オフィスにおけるエントリーサーバーのニーズMicroServerの特徴

 そのニーズの1つが、オフィスにも設置可能なコンパクトサイズと静音性だ。従来は小型サーバーというと薄型の省スペースタイプが主流だったものの、そうすると搭載する冷却ファンも小型になってしまい、高回転にせざるを得ないため、騒音が大きくなってしまっていたという。

 しかしMicroServerでは、「立方体に近い設計にすることで大型ファンの搭載を可能にし、低回転でも安定してサーバーを冷やせる」(エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部の小川竜司氏)ようになった。さらに、容積が大きくなったため、内部に4基のHDD搭載が可能になったほか、高さを抑えて筐体の安定度が増した点もメリットで、「薄さにこだわらなくても、十分な小型化を達成するだけでなく、さまざまなメリットが得られた」(小川氏)とした。

製品の背面。大型のファンを搭載する前面を開けたところ。HDDはマウンタを利用することで、複雑なケーブリングを不要にした

 CPUは、省電力のAthlon II NEO N36L(デュアルコア、1.3GHz)を採用し、サーバー全体の消費電力を削減。電源も、従来製品の半分程度にあたる、200W電源での対応を可能にしている。メモリはECCのDDR3メモリで、オンボードSATAコントローラはRAID 0/1をサポートする。

 また、最小構成で3万5700円からの提供という低価格も目玉の1つ。対象として狙っている中堅・中小企業史上は、価格にとてもシビアな領域で、ここでの競争力獲得のため、「低価格を実現するために、サプライチェーンからロジスティクスまでを綿密に計画して、どうすれば低コストを実現できるかという点を、R&Dの面以外でもワールドワイドで取り組んだ」(宮本マネージャー)とのこと。日本HPでは、価格を含め、これらの特徴をアピールしてオフィスに最適なサーバーとして、積極的に提案していくとしている。

 最小構成の3万5700円では、メモリ1GB、160GB SATA HDD、光学ドライブなし、OSなしといった構成で、DVD-RWドライブ、リモートアクセスカードキットを追加すると4万9350円になる。インターフェイスはUSB 2.0×7、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T、PCI Express Gen2 x16、PCI Express Gen2 x1などを備えている。

 「エントリータワー領域はボリュームが大きく、中堅中小市場など、今まで当社がアドレスできなかったところをとっていきたい。2010年の第1~第2四半期はシェア1位を狙えるところにつけているが、MicroServerによって現在のシェアを大きく広げ、念願の、市場シェア年間ナンバーワンを取りたい」(宮本マネージャー)。

関連情報