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Datadog Japan、「DASH 2026」で発表された最新ソリューションを解説 AI時代のシステム可視化と自律運用への道筋
2026年8月28日 12:00
監視やオブザーバビリティのクラウドプラットフォームを提供するDatadog Japan合同会社は、米Datadogが6月に米国で開催した年次カンファレンスイベント「DASH 2026」で発表されたAI時代に向けたソリューションを紹介する記者説明会を、8月27日にオンラインで開催した。
企業がAIを活用する時代に、AIアプリケーションやインフラなどを安定して運用するための課題と、それに対するDatadogのソリューションが語られた。
AI時代における運用での課題と、Datadogが目指すシステム全体の可視化とOperations Loopの実現
まず、Datadog Japan合同会社 Regional Vice President, Enterprise Sales執行役員の高橋祐介氏が、AI活用のシステム運用について語った。
現在、AI活用が企業の規模や業種を問わずに急拡大しており、それを支えるITインフラへの投資も急拡大している。「AIが、単なる業務効率化のためのツールではなく、新たなサービスの開発やビジネスプロセスの変革を支える重要な技術になっている」と高橋氏は語る。
それによって、運用面で新しい課題も出てきた。まず、企業が管理する対象が、従来のアプリケーションやクラウドインフラに加え、AIエージェントやAIモデルなどに広がり、これらを安定して運用しなければならなくなった。
量だけでなく複雑さも増しており、システム全体の可視性が確保できなくなっているほか、障害対応の複雑化、AI活用にともなう新たなセキュリティ問題も増えている。それに加えてIT人材不足が続き、「企業は限られたリソースで、より複雑な環境を効率的に運用するという課題に直面している」と高橋氏は指摘する。
さらに現在では運用の課題はIT部門にとどまらず、システム障害やセキュリティインシデントが発生すると、収益への悪影響や顧客体験の低下など、事業に直接影響するようになっている。
「AI時代において企業が継続的にイノベーションを進めるためには、AIやクラウドを導入するだけではなく、複雑化する環境全体を可視化して、安全かつ効率的に運用するための仕組みが必要になる」(高橋氏)。
この課題に対応したAI時代の運用のあり方として、まず管理対象の広がりについては、AI関連を含むシステム全体を把握できるエンドツーエンドの可視性が求められると高橋氏は言う。そして、それを実現するためには、アプリケーションから、インフラ、AIモデル、AIエージェントまで統合的に可視化して管理できる単一のプラットフォームが重要になる。「Datadogはこれらを可視化しシステム全体をエンドツーエンドで把握できる環境を提供する」と同氏は語った。
さらに、可視化するだけでなく、問題の検知から対応、改善といったループを効率化して高速化することも重要となる。DatadogではこれをOperations Loopと呼んでおり、DASH 2026で発表したDatadogの最新ソリューションがOperations Loopを支援するという。
DASH 2026で発表された4分野の新機能
高橋氏の説明内容を背景として、DASH 2026で発表された最新ソリューションについて、Datadog Japan合同会社 Director of Solutions Engineeringの守屋賢一氏が解説した。
守屋氏はまず、AI時代において企業の運用・開発に対してDatadogが提供する4つの価値として、運用の迅速化と安定化を図る「AIオペレーション」、AIやクラウドの利用状況を可視化することによる「コスト最適化」、脅威シグナルを可視化して迅速に対応できるようにする「セキュリティ」、AIエージェントが検知から修復までのオペレーションを実行する「Bits AIによる自律運用」を挙げた。
AIオペレーションの新機能
1つ目は「AIオペレーション」。ここではOperations Loopを高速化することが重要になり、それをAIで支援する機能が発表された。
具体的な機能として、まず「Bits Chat」。Datadogに自然言語で質問して、システムの状況を把握し、分析につなげる、AIによるオペレーションの機能だ。
特徴としては、まずDatadogに集約されているさまざまなオブザーバビリティのデータにアクセスできる。また、Datadogのどの画面からもチャットを開始でき、現在開いている画面の情報をふまえて対話できるため、見ている情報をプロンプトに入れることなく伝えられる。
また、対話を通じて分析した結果を、ダッシュボードやノートブックなどの共有可能な成果物として作成できる。これにより、得られた知見をチーム全体で共有でき、以後の対応に寄与できる。
さらに、アラートが発生したときの調査や、日常的なシステムの健全性確認、セキュリティ脅威の分析を、Bits Chatが支援する。
「Bits Chatにより、人による判断とAIによる支援を組み合わせた、より迅速で効率的なオペレーションを実現できる」と守屋氏はまとめた。
次の機能は、「Data Observability」。これはAIのオペレーションをDatadogで管理する機能で、AIが参照するデータの品質と信頼性を維持するためのオブザーバビリティを実現する。
特徴としては、通常よりも欠損値が大きく増加しているといったデータの品質低下などの問題を早期に検知し、ビジネスへの影響を未然に防ぐ。また、原因特定から復旧対応までの対応を迅速化する。さらに、パフォーマンスを最適化し、コストを削減する。
「AIエージェントが正しく機能するためには、データが正しいかどうか、どのパイプラインを経由しているか、適切なガバナンスが適用されているかなどを把握する必要がある。Data Observabilityは、こうした課題に対して、信頼できるデータ基盤を維持する助けになると考えている」」(守屋氏)。
コスト最適化の新機能
2つ目は「コスト最適化」。AIやクラウドのコストを可視化し、利用状況を分析し、そのうえで適切なリソース配分を検討するものだ。
具体的な機能としては、「Cloud Cost Management」だ。AIやクラウドのコストを一元的に可視化して、チームやサービスごとの利用状況やコストを把握し、最適化につなげる。
また、オブザーバビリティデータとコストの情報を組み合わせることで、削減だけではなく、実際のリソースの利用状況やパフォーマンスをふまえて、パフォーマンスを維持しながら余剰リソースを最適化できる。
さらに、ダッシュボード操作やAIとの対話でリソース利用を最適化するだけでなく、コスト最適化のレコメンデーションの機能も備える。例えば、Kubernetesクラスターで、大きすぎるリソースを縮小することでコスト削減が可能であるとレコメンデーションで示してくれるという。
AI関連のセキュリティの新機能
3つ目は「セキュリティ」。AIエージェントやAIアプリケーションを安全に開発・運用するための新機能がDASH 2026で発表された。
発表されたものとしては、AIエージェントのガードレール「AI Guard」、リスクを優先順位づけする「Runtime Prioritization Engine」、セキュリティイベントの分析や脅威の調査を効率化する「Bits Security Analyst」「Bits Threat Hunting」などがある。
このうち「AI Guard」は、プロンプトインジェクションや、不正なツール呼び出し、ジェイルブレークなどのリスクからAIシステムを保護するためのガードレールだ。保護対象はカスタマーエージェントおよびコーディングエージェントで、実行時にリスクを判定してブロックする。
また「Runtime Prioritization Engine」は、AIが日々大量に脆弱性を発見するようになり、対応が追いつかないことへの対策だ。リアルタイムのオブザーバビリティデータとセキュリティデータを組み合わせることで稼働中の環境におけるリスクの重要度を動的に評価し、優先順位づけする。これによって、脆弱性アラートへの対応の負荷を軽減できるという。
Bits AIによる自律運用の新機能
4つ目は「Bits AIによる自律運用」だ。DatadogのAIエージェントBits AIを大幅に機能拡張したという。つまり、Operations Loopにおいて、障害発生時のインシデント対応を支援する「Bits for SRE」だけでなく、インシデント発生前にインフラの問題を自律的に解決する「Bits for Infrastructure」へと拡張した。
このとき、Datadogに蓄積されている幅広いコンテキスト情報が重要になると守屋氏は言う。単一のアラートやログだけではなく、蓄積されたテレメトリーデータや、システムの構成、アプリケーションのソースコードなどさまざまな情報を組み合わせ、自動化された継続的なエージェントとして動作する。
発表された機能の例としては「Bits Infrastructure Operations」がある。インフラ環境を継続的にモニタリングして分析し、問題を検知すると、あらかじめ定義されたガードレールの範囲内で対応を自律的に実行する機能だ。例えば、Kubernetes環境でメモリ不足によってコンテナが再起動を繰り返すクラッシュループが発生した場合に、原因を自動的に調査し、リソース設定の見直しなどをガードレールの範囲内で実行するという。











