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日本IBM、4000超のデジタルワーカーと協働するIBMでの実践事例を紹介
エージェント型AIの拡張を支援する「IBM Enterprise Advantage」を国内でも本格提供へ
2026年8月27日 06:15
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は25日、「『経営基盤のためのAI』の実践とIBM Enterprise Advantage」に関する報道向け説明会を開催した。
説明会の冒頭、執行役員 CAIO (Chief AI Officer)兼 副CTOの早川勝氏は、「本日お伝えしたいことは3点。1点目は、個別の業務を効率化するだけではこの格差を乗り越えられず、導入した数の多さは成果の大きさにつながらないこと。2点目は、AIと協調・協働するという前提で仕事そのものを作り変える必要があること。それを企業全体で運営する能力が競争力を左右し始めている。3点目は、当社が自社実践を通じて得た運営モデルを確立し、そのベストプラクティスを活用し続けられる『IBM Enterprise Advantage』を一般提供開始すること。この3点が今回の発表のポイントとなる」と説明。AIを同僚として迎え、共に働く時代の経営にプラスとなるベストプラクティスを紹介した。
また、日本IBM 常務執行役員 成長戦略統括事業部長の川上結子氏は、IBMがAIを活用する現状について、「現在、IBMの同僚は人間だけではない。デジタルワーカーと呼ぶソフトウェアの働き手が4000を超え、450を超えるプロジェクトで人のチームと並んで働いている。コンサルタント、アーキテクト、エンジニアなど、人が担ってきた職種にそれぞれデジタルワーカーが存在している。人が方針を決め、責任を持ち、倫理的な判断、そして例外への対応を行う。AIツールを導入したという話ではなく、働くチームの構成そのものが変わった。同僚が人間だけではなくなった。IBMは、デジタルワーカーを比喩ではなく従業員として扱っている」と説明した。
川上事業部長はさらに、「アプリケーションアーキテクト、データエンジニアといった職種のAIを、人間の社員と同じチームに追加している。デジタルワーカーは社員と同じスキル認定バッジを取得し、認定を受けて初めて現場に配備される。使われなくなれば退役する」と述べ、AIについても人間と同様、認定を受けて現場に配備しているとした。
さらにAIと協働するために、IBM全社の業務フローを490に分解。70プロセスをAI前提で再設計し、その結果、2025年には約45億ドルの生産性向上効果があったという。
「人事、IT、ファイナンスなど企業活動全般で150を超えるAIユースケースを実践している。効果は生産性向上で45億ドル規模。生んだ原資はハイブリッドクラウドとAIへの投資、M&Aなどに再投資している。AIを導入したから効果が出たという話ではなく、AIとの協働を前提に業務そのものを作り変えるという作業を続け、全社に広げることで得られた効果だ」(川上事業部長)。
また、全社展開によるAI導入の成果を阻むものとしては、次の4つの要因がある。
1)業務をどう再設計するか
AIを組み込む際に業務プロセスを再設計することが必要。個別の業務ごとにAIが乱立すると、業務全体の成功からかえって遠ざかることに。
2)自社の知識をどうAIに与えるか
汎用モデルだけでは、自社業務に対応できない。
3)人とAIをどう働かせるか
ツールを導入し研修をしても、働き方そのものは変わらない。経営層の認識と従業員の実態には大きな差がある。
4)どう統制しROIを管理するか
部門ごと、領域ごとの管理のままでは、拡大した時に採算もままならない状態となる。
「この4つの課題を解決するためには、4つの課題はいずれも業務レベル・基盤レベルの2つの層で、課題も業務の再設計だけではなく、再設計と実行拡大を続ける企業運営の仕組みが必要になる。業務レベルは、AIと協働するよう業務を作り変えていくことを指す。分析し、再設計し、設計図として残す。用語やデータをAIが使える形にする。その手順に沿って人とAIが分担して働き、使った量とコスト、効果を把握する。基盤レベルは、それを企業として回し続けることを指す。同じことを1つの業務ではなく、企業横断で共通化し、資産として管理し続けていく」(川上事業部長)。
ではIBM自身はどう取り組んだのか。川上事業部長は、「業務を作り変えるとは、具体的に何をすることになるのか。IBMのアプローチは、まずは業務のマクロ分析からで、全体像から洗い出し、コストと効果を見積もって対象を絞る。いきなり作り始めないことが要点となる。次に業務再設計。AIを前提とした姿に、業務を組み直す。AIが参照する自社の知識、投資対効果もこの段階で設計する。3つ目が構築設計書を基にエージェント型アプリの開発。検証し、本番へ移行する。4つ目が運用。動かしながら監視し、評価して直し続けていく。作ったものは共有し、再利用する。こうした取り組みによって、AI導入の成果を阻む4つの要因を順に解決していく」と説明した。
IBMでは、この経験を基に、変革の方法論をプラットフォームに取り込んだ「IBM Enterprise Advantage」を2026年5月からグローバルで提供しているが、日本での本格提供は年内中となる見込みだ。
IBMの専門家チームFDU(Forward Deployed Unit)を活用することで、さらに変革拡大を加速可能となる。同社では、年内に10件のFDUによる導入を目標にしているという。
IBM Enterprise Advantageは、IBMサービスのノウハウ・方法論を詰め込んだオールインワンのAIプラットフォームをマネージドサービスとして提供するもので、契約中は常に最新に更新して提供される。
コンポーネントとしては、「CBM.ai」「Process Studio」「Context Studio」などさまざまなものが用意されている。
「CBM.ai」は、AIを用いた業務変革のためのマクロ分析を行うもの。全社の業務を俯瞰(ふかん)して投資対効果の大きい領域を特定する。業務俯瞰図の上で、生成AIの潜在性をヒートマップ化し、価値創出の可能性をユースケースと共に提示することが可能だ。
「Process Studio」は、AIを前提とした業務再設計を行うもので、人に左右されない品質を確保し、AIを前提に業務を再構築する。IBMの方法論に基づき、AIエージェントが業務の再設計・設計書の整備を担い、投資対効果まで算定するとのこと。近日中に提供を始める予定だ。
「Context Studio」は、企業知識のコンテキスト化を行うもの。社内に散在する企業知識を整備し、業務変革の段階から変革後の運用まで一貫したコンテキストとしてAIに提供することで、汎用AIを自社の業務が分かるAIへと転換させることができる。
「Agent Studio」は、環境非依存でのエージェントSDLC(Software Development Life Cycle)。増え続けるエージェントを、乱立させずに一元的に運用できる。設計から監視までのライフサイクルを、異なる基盤をまたぎながらノーコードで管理することが可能となった。
「Product Workbench」は、SDLCの統合管理を行うもので、近日提供予定となっている。AIエージェントが開発工程の全体を統合管理し、エージェント型AIアプリと従来型アプリを構築することで、構想から本番稼働までの期間を短縮する。
「Advantage Insights」は、AIの利用量とコストを可視化するもの。AI投資の採算を可視化し、継続・拡大・停止を判断。複数のAIプラットフォームにまたがるトークン消費量・経済性・ROIを、単一のビューで可視化する。こちらも近日提供予定となっている。
「AI Workspace」は、人とAIが協働する場。IBMが自社で実現した働き方を顧客の現場でも再現するもので、企業内の知識に根ざした統制の効いた場において、誰もがAIエージェントを作り、共有し、再利用できるとした。
なお、IBM Enterprise Advantageの提供形態は、利用する企業が選ぶ環境に構築し、必要なコンポーネントをサブスクリプションで提供する。














