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南海電鉄と日立、「CMOSアニーリング」を活用した乗務員・車両運用計画の自動作成システムを構築開始

 南海電気鉄道株式会社(以下、南海電鉄)と株式会社日立製作所(以下、日立)は14日、量子コンピュータを疑似的に再現する日立独自技術「CMOSアニーリング」を活用し、鉄道の乗務員運用計画および車両運用計画を自動で作成・評価するクラウド型システムの構築を開始すると発表した。従来は熟練者のノウハウと手作業に大きく依存していた大規模かつ複雑な計画を、高速かつ高精度に自動作成できるシステムを実現するという。

 今回構築を開始するシステムは、従来、熟練者の知見と手作業に依存していた乗務員の配置計画と、列車ダイヤに基づく車両の割り当て・循環計画の自動作成を可能とし、運用計画作成業務全体の効率化を図るものだ。

 列車ダイヤ作成後、多くの制約条件を同時に満たす乗務員運用計画の作成には、これまで数カ月を要していたが、このシステムを利用すると1週間程度で作成可能になる。これにより、ダイヤ改正のたびに集中する業務負荷を大幅に軽減するとともに、スケジュール短縮を実現するとしている。

 さらに、仮想の列車ダイヤに対して、その運行に必要となる乗務員数の検証も短期間で行えるようになる。このため、今後見据えているワンマン運転の拡大や、なにわ筋線開業に向けた将来輸送計画の検討、災害時の対応計画(BCPダイヤ)策定への活用も期待されるとのことだ。

 一方、車両運用計画では、車両形式や運用制約、検査・点検計画、留置条件などを考慮しながら、効率的な車両割り当ておよび循環計画を短時間で作成できるようになる。特に、事故や故障などの突発事象により運用が乱れた際にも、最終入庫情報が確定次第、翌日以降の再計画を短時間で実施できるため、業務負荷の軽減につながるとした。

 さらに新システムでは、自動作成された計画に対し、それぞれの運用における評価指標を自動計算して可視化する仕組みも備える。具体的には、乗務員運用計画においては各種制約の充足に加え、必要要員数や勤務ごとの拘束時間、休憩時間などを、また車両運用計画においては、検査・点検を実施した車両数などの指標を計算・可視化する。これらの結果をもとに、計画担当者は計画案の妥当性や改善余地を把握しながら、複数案を比較・検討して最終判断を行えるとした。

 なお、このシステムで活用されているCMOSアニーリングは、量子コンピュータの技術を応用した日立の独自技術で、多くの制約条件を同時に考慮しながら最適な組み合わせを短時間で導き出すことを得意としている。2025年度に南海線で実施した効果検証では、乗務員運用計画業務では、手作業で従来数カ月かかっていた作業を、約1週間に短縮できることが確認された。一方、車両運用計画では、従来は確認作業を含めて約20日間かかっていた1カ月分の策定を数日程度に短縮できたとのこと。

 この結果を踏まえ、両社は、対象線区を南海線・空港線および高野線・泉北線へ拡大し、2027年度以降のダイヤ改正から業務プロセスを見直すことを前提に、このシステムの構築を進める考えで、2027年度中の稼働開始を目指して取り組みを進めるとしている。